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ごめんなさい、シオンくん
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「おい、莉緒から離れやがれ」
シオンくんの声?
目をあけた先、扉の前にシオンくんが仁王立ちしていた。
「シオンくん!」
どうして? 途中下車しなかった? わたしより先に戻ってるって、どういうこと?
「なんだ、ガキが増えただけか。お前も静かにしていろよ。大人しくしていれば痛いことはしないから」
猫なで声で言うけれど、脅しているのはわかる。わたしの首筋に冷たい物が触れたから。
ナイフ?
さぁっと血の気が引く。
「家族を傷つけられたら嫌だよなぁ? さぁ、部屋を開けな」
「脅してるつもりかよ?」
けれどシオンくんは気にする様子もない。そう言いながら一歩前に出る。
シオンくんの顔が険しくなって、紫色の目が金色に光った。
――えっ?
目の色が紫から金に変わった?
そう思った瞬間、「ぐわっ!」という男性の呻く声が聞こえる。
同時、ドサッと床に重たい物が落ちる音がした。
「……え?」
気がつくと、わたしにナイフを突きつけていた男性は、うつ伏せに倒れている。
そして目の前にはシオンくんが。
「ガキだと思ってなめたのが、運のつきだな」
そう言いながら、男性が握っているナイフを取り上げた。
「シオンくんが、倒したの……?」
「ああ、俺とレフは小さいころから体術を習ってるから」
それでも、大人に勝っちゃうのってすごい!
でも、いったいいつ、わたしの近くまで来たんだろう?
「は、早くてわからなかった……」
ポカンとシオンくんを見つめてしまう。
なんだか目の前が、シオンくんがぼやけて見える。
「ほら」
シオンくんがハンカチを渡してくれた。わたし、泣いてるんだ。
「あ、ありがとう……」
ハンカチをギュウと握りしめて目にあてる。後頭部を撫でる温かい手に、わたしは安堵してすすり泣いた。
「ごめんな……。莉緒を一人にするべきじゃなかったって、思い直して帰ってきたんだ。そうしたら、胡散臭い野郎が莉緒と一緒にエレベーターに乗り込んだところを見て、急いで階段で上がってきたんだ」
「上がってきたって……ここ……」
六十階じゃなかったっけ!?
「エレベーターより速く駆け上がってきたの!?」
「頑張っただろう? 俺、足ガクガク」
片足ずつブラブラさせるシオンくんだけれど、ぜんぜんそうじゃなかったよね……?
それに目が金色に光った。あれは幻?
見ると、いつものアメジストみたいな綺麗な紫色に戻ってる。
「――それより警察と、それと従業員呼ばないと」
「あ、う、うん……」
なんだかうまく誤魔化された気がする。でも、シオンくんの言う通りだ。
その後は警察がきて、真っ青になったホテルの支配人に土下座され、夜まで忙しくて、シオンくんへの疑問を追求する暇なんてなかった。
シオンくんの声?
目をあけた先、扉の前にシオンくんが仁王立ちしていた。
「シオンくん!」
どうして? 途中下車しなかった? わたしより先に戻ってるって、どういうこと?
「なんだ、ガキが増えただけか。お前も静かにしていろよ。大人しくしていれば痛いことはしないから」
猫なで声で言うけれど、脅しているのはわかる。わたしの首筋に冷たい物が触れたから。
ナイフ?
さぁっと血の気が引く。
「家族を傷つけられたら嫌だよなぁ? さぁ、部屋を開けな」
「脅してるつもりかよ?」
けれどシオンくんは気にする様子もない。そう言いながら一歩前に出る。
シオンくんの顔が険しくなって、紫色の目が金色に光った。
――えっ?
目の色が紫から金に変わった?
そう思った瞬間、「ぐわっ!」という男性の呻く声が聞こえる。
同時、ドサッと床に重たい物が落ちる音がした。
「……え?」
気がつくと、わたしにナイフを突きつけていた男性は、うつ伏せに倒れている。
そして目の前にはシオンくんが。
「ガキだと思ってなめたのが、運のつきだな」
そう言いながら、男性が握っているナイフを取り上げた。
「シオンくんが、倒したの……?」
「ああ、俺とレフは小さいころから体術を習ってるから」
それでも、大人に勝っちゃうのってすごい!
でも、いったいいつ、わたしの近くまで来たんだろう?
「は、早くてわからなかった……」
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「ほら」
シオンくんがハンカチを渡してくれた。わたし、泣いてるんだ。
「あ、ありがとう……」
ハンカチをギュウと握りしめて目にあてる。後頭部を撫でる温かい手に、わたしは安堵してすすり泣いた。
「ごめんな……。莉緒を一人にするべきじゃなかったって、思い直して帰ってきたんだ。そうしたら、胡散臭い野郎が莉緒と一緒にエレベーターに乗り込んだところを見て、急いで階段で上がってきたんだ」
「上がってきたって……ここ……」
六十階じゃなかったっけ!?
「エレベーターより速く駆け上がってきたの!?」
「頑張っただろう? 俺、足ガクガク」
片足ずつブラブラさせるシオンくんだけれど、ぜんぜんそうじゃなかったよね……?
それに目が金色に光った。あれは幻?
見ると、いつものアメジストみたいな綺麗な紫色に戻ってる。
「――それより警察と、それと従業員呼ばないと」
「あ、う、うん……」
なんだかうまく誤魔化された気がする。でも、シオンくんの言う通りだ。
その後は警察がきて、真っ青になったホテルの支配人に土下座され、夜まで忙しくて、シオンくんへの疑問を追求する暇なんてなかった。
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