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第4章
白羅の夢と魔族の村
しおりを挟む白羅 side
「っん...ここは?...!?」
ナギアにいきなり魔法をかけられた僕は、部屋にいたはずなのに気がつくと見知らぬ村の広場に立っていた。
普通の村ならここが何処か聞けるが、周りを見ると角や翼が生えていたり、青白い肌をした人が沢山いた。
...そう、全員魔族だった。
とっさに剣を持とうとしたが、僕の手は宙をかいた。何故だと思い見てみると、腰にかけていた剣は鞘ごと消えていたのだ。
「くっ...どうすれば......?」
必死にこの状況を脱出しようと考えたが、僕はある事に気がついた。
「僕の姿が見えてないのか?
...いや、気にしていないだけか。
そういえば、ナギアさんが魔法をかけられた事で、僕はこの光景を見ているんだろう。
でも、物は触れられるし...魔族もリアルだ」
ナギアさんの魔法だと分かっていても、本物のような動きをする魔族に警戒しながら僕は魔族の村を探索した。
自分の思っていた暗い雰囲気のイメージではなく、魔族の人達は笑顔で話し合ったり、商売をしたりと活気があった。
「これが、魔族の生活なのか?
ナータリャクラ国の街とあまり変わらない...」
ドン!
「うわぁ!」
村をぶらぶらと歩いていると、小さい魔族...魔族の子供がぶつかってきた。
「いたたた...ごめんなさい!お兄ちゃん
怪我とかはしてないですか?」
「い、いや、大丈夫だ...」
「本当にごめんなさい。じゃあね!」
魔族の子供はそう言うと、もう1人の魔族の子供と一緒に何処かへ行ってしまった。
「話と全然違う...僕の見た魔族とも全然違うじゃないか...
こ、これはナギアさんが見せているやつだ。
真実だとは限らない!」
ズドォーン!!!
僕は冷静を保つため、ここにいる状況を再確認しながら魔法が解けるのを待とうとすると、遠くから爆発音のような音が聞こえた。
「何だ!?」
「きゃー!敵襲よ!みんな逃げ...」
「男共は武器を持て!!!
女子供が逃げ切るまで時間を稼ぐぞ!」
「お母さん!助けてぇぇぇ!!!」
「クルティアァァァ!!!」
「お前も逃げるんだ!」
「でも、私の子が...」
先程まで平和だった光景は爆発音を開始合図に地獄絵図に変わった。
子供は泣き叫び、男達は農具の鍬等を持ち攻めてきた敵の方に走っていった。
僕も攻めてきたのが誰なのか確認するために、魔族の男達の後を追うと信じたくない光景が広がっていた。
人族の何処かの国の兵士が、魔族の男女関係なく剣を突き刺して殺していたのだ。
「嫌だよ...死にたくなっ...っぐぅがぁぁ」
僕にぶつかってきた子供の魔族と一緒にいた子が、兵士に剣を突きつけられ口から血を吐いていた。
「や、止めろ!」
僕はその子に剣を突き立てる兵士を殴り飛ばし気絶させた後、子供の魔族の安否を確認するが既に手遅れだった。
「テール君...テール君は死んじゃったの?...ねぇ!死んでないよね!」
子供の魔族の死を確認した僕は、そっと地面に置くと、僕にぶつかってきた魔族の子供が目から涙を流しながら立っていた。
「...残念だけど、テール君は...」
「嘘...う、うあぁぁぁ!嫌だよ!何でぇテール君が死ななきゃいけなかったんだよぉ!」
「...今は逃げよう!行くぞ!」
「え、テール君!テール君!!!」
僕は泣き叫ぶ子供の魔族の強引に手を引いて、兵士が攻めてきた方向と逆の方向に走った。
逃げてる途中、魔族の人が何人も血を大量に流して倒れていたりしたが、傷から助けることが無理だと判断し、僕は逃げることを優先し走った。
「村が...僕の大切な村が...」
村から離れた高い場所に避難した僕と子供の魔族は遠くに見える村を見ていた。
兵士が家などに火をつけたのか村からは黒煙が上がり、人の叫び声や雄叫びがここまで響いていた。
「お兄ちゃん...僕の村は何で襲われなきゃいけなかったの?どうしてなの?毎日みんなで楽しく生活してたのに、悪い事何てしてないのに何でテール君も死んじゃったの!?
僕達が魔族だからなの?昔に戦争を起こしたから死ななきゃいけなかったの!?」
「ごめん...わからない」
「許さない...絶対に殺してやる!
僕から全てを奪っていったあんな奴ら殺してやる!!!」
「......」
僕は何か言って慰めようと思ったが、かける言葉が思いつかなかった。
子供の魔族の目は初めて会った時の純真な瞳ではなく、深く暗い、憎しみがこもった悲しい瞳に変わっていたのだった。
「!?...あれ?」
「おはよう、目が覚めたみたいだね」
「そ、そうだった。あれは夢だったんだ...」
あの子供の魔族の恐ろしいほど暗い瞳を見て数秒後、一瞬でブラックアウトして食事をしていた部屋に戻ったみたいだった。
あの光景が夢だった事を思い出し安堵しているとナギアが嫌なことを言った。
「あれは、本当にあった事の一つだよ。僕がイメージから作ると過激になる気がしたから、内容はある程度軽くして見せたんだ」
「え?...あれで軽い?」
「うん、本当はもっと残酷だと聞いたよ。女や子供は捕えられたりした後、人体実験に使われたり、性処理として利用されたりしたらしく、使えなくなったら処分されたんだと。
僕もこの話を聞いた時は胸糞悪くなったよ...」
なんて酷いんだ。
あの兵士達はあの人達にそんな事を...
そんな非人道的な行為が許されるはずが...
「白羅君、気がついてる?」
「...何がですか?」
「白羅君は今、あの兵士達をよく思ってないんだよ。そして、魔族の子供を助けた」
「...あ」
「もう少しだね、白羅君は村の魔族達の生活を見てどう思った?子供や大人達はどうだった?」
「楽しそうで幸せそうだった。種族が違うだけで街と変わらない...そんな活気のある村だったよ」
「僕が魔族を殺したり人族に肩入れしないのは、ああいう負の連鎖をなるべく起させない為だよ。
種族が違っても、家族や仲間を思いやる心は同じだ。白羅君にもそれだけはわかって欲しい」
「...わかった。僕は魔族を倒すことしか考えてなかった...」
「大丈夫だよ、人族や魔族、その他種族にも悪い人はいる。だけど、世の中には様々な個性を持った人がいるということを覚えていれば良いんだ。
元々人族だけの社会に居たんだから仕方ないよ」
「はい...」
僕は何故か、夢で見た子供の魔族を思い出して泣いていた。
あの子供にぶつかった時や助けた時、魔族だからと気持ちを考えて上げられなかった。
そして、やっとわかった後、あの子の気持ちを考えたら涙が止まらなかった...
例え夢だったとしても、僕はあの光景を忘れる事はないだろう。
ナギアさんは僕の泣き姿を月坂達に見せないように、月坂達に再び魔法をかけて起きないよう配慮してくれた。
僕はその場で泣き崩れるのだった。
======================
どうも!こんにちは
良いことを言いたいのに悲しい言葉しか思い浮かばない!
もっと表現力を上げたいです!
なんだろう...
教えることは出来たけどトラウマも植え付けてしまった感もありますね(^^;
まぁ、これで大人しくはなるでしょう!
(4章は他の章より長くなってしまいます。やりたい展開がまだあるので、サクサク書けたらと思ってます)
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