StoryTeller~無気力少女の異世界道中~

翠漣

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フランタール脱出編

覚醒

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朝起きて、本(魔導書)を見て、ステータスをチェックしたら、頭がおかしいことになってた。

「……………なんだこれ。」

私の今の心情はこの一言に尽きる。何が起きたかって?…こっちが知りたい。

──────────────────────
【スメラギ コウノ】
年齢 18
性別 女
種族 兎人
職業 召喚士

〖ステータス〗
MP  5000
ATK  500
DEF   40
MAG  1250
AGI   2250
LUK 《ERROR》

〖スキル〗
隠蔽Lv.─     看破Lv.─
召喚Lv.1
索敵Lv.─     韋駄天Lv.─
暗殺術Lv.1     忍び足Lv.3
短剣術Lv.1     MP超回復Lv.─
闇魔法Lv.1     無詠唱Lv.─
鷹の目Lv.─    暗視Lv.─
結界術Lv.─

〖ユニークスキル〗
アイテムボックスLv.—
精霊の導きLv.1
全言語Lv.1
覚醒Lv.1

〖称号〗
リュリューエルの加護
精霊達の興味
闇精霊の加護

──────────────────────

………。なんだっけ、こういうの。誰だかが言ってた。えーっと…あぁ、谷口君だ。谷口君が言ってた。総じて色々ヤバかったり強かったりすることを…確かチート?とか言うんだって。
…そういえば谷口君に言われたなぁ…『皇さんみたいな人をリアルチートって言うんだよ』って。別に普通だったと思うんだが…そのリアルチートとは久城君の為の言葉じゃないかなぁ。

まぁ、それは今はどうでもいい。それより、これだ。ステータス、おかしい。何が起きた。
前のステータスの何倍だよ?完全に紙防御、攻撃特化型、スピード狂状態。MPの桁とか0の数1、2個位おかしくない?
…まぁ、この世界で生きる上では良いことだろうけど、なんか人としての一線越えるのはさすがにしないよね?ね?…不安だ。今はともかく、これからが。
…こうなった原因は…まあほぼ確実に魔導書の覚醒だろうねぇ。
さて、一旦無理やり納得する事にして、落ち着きます。
「皇さん?行かないの?」
「…私も呼ばれてるのー?」
「うん、多分。今日は全員集合って言ってたし…いつもなら有能な皆さんとか、皇さんを貶めるような言い方するのに今日は全員って。…あ、わ、私は別に皇さんのこと無能とか思ってないからね?職業って言っても専用のスキルや職業に合ったスキルが育ちやすくなるってだけらしいし!それって、別に召喚士だって召喚スキルが上がりやすくなるってだけで、他のスキルも使えるし一概に無能ってわけではないってことで…!!」
「…ふふ、奈華ちゃん必死~。気にしなくて言いよ。フォローしてくれようとしたんだよね、ありがとー。」
「え、あ、…うぅ…。」
「ふふ、じゃあ、行こっか。」
「はいぃ。」

奈華ちゃんと2人で集合場所へ向かった。



「明日、皆さんには実践を通じた訓練をしてみていただきたいと思います。」

私たち全員を集めて王女様が言った。
どうやらステータスは高いのになかなか皆が強くならないことにイライラしているようだ。
そりゃそうだよねぇ…ついこの前まで戦ったことなんてない一般人だったんだし。いくらスキルがあろうと圧倒的に慣れと経験が足りないもん。逆になんですぐに出来ると思ってるのか。

「明日の朝、皆さんにはダンジョンに潜って頂きます。難易度は初級ですので、皆さんのステータスでしたら簡単にクリア出来るでしょう。兵士は道案内に数人だけつけますが、最低限のことを教えたらあとは手助けさせませんので、皆さんの力で頑張ってクリアしてくださいね。」

……おかしい。初級のダンジョンなんて、この辺にあったっけ?地図によると確か中級上位のダンジョンしかこの辺りにはなかったと思うんだけど…。王家が保有する初級ダンジョンなのかな?国が保有するダンジョンもあり、それは基本地図に乗らないって書いてたし。弱過ぎるダンジョンは国が所有して宝物庫とすることもあるかららしいけど…。あの王女様だし怪しいと思うのは私だけかなぁ?

それより!私が此処を出ないといけないのは明日な訳なんだけど…ダンジョンに私は参加すべきなのかなぁ?

「ダンジョンには全員参加です。…もちろんそこの役立たずさんもですわ。死なないように頑張ってくださいまし。」

わざわざ小声で教えてくれました。兎人のおかげか耳が良くなったのはこういう時便利ですね。あー、王女様の顔めっちゃ笑顔だねぇ…あわよくば死んでこいってことだよねぇ。…ま、初級なら私のステータスで楽に逃げれるし!問題ないよね。てかむしろこのまま脱走した方がいいかなぁ…お金は侍女さん言いくるめてもらってあるし。

「では、皆さん明日の準備を始めて下さい。ダンジョンに持っていくものを自分で考えて兵士に伝えて下さいね。明日までに準備させますから、期限は3時までといたします。」

…私が頼んで準備してくれるのだろうか。仮に準備してくれてもボロかったり不良品だったりしそうなんだけど…ふみゅ~。

「…皇、大丈夫か?」
「おー、りょーたん。どーった?」
「いや…なんか悩んでるっぽかったしな」
「あー…いや、準備どうしようかなぁって。りょーたんは何持ってく?」
「…ふむ、とりあえず水とか?装備は訓練用の奴でいいと言っていたし…武器の予備とかかな。」
「そっかぁ…、あ、りょーたん。」
「なんだ?」
「りょーたんには伝えとこうかと…」

小声で言う。

“私、明日のダンジョンで脱走するね”

「なるほどな…まぁ、とりあえず俺はお前と行動するからよろしく。」
「……ぱーどぅん?」
「Pardonだ。」
「おー!流石りょーたん。数学の出来る文系!うらやましい!」
「…はぁ、とりあえず明日か。頑張るぞ。落ちこぼれと役立たずでなかなかいいコンビだろ。」
「…皮肉効き過ぎぃ…まぁ、でもありがとう。よろしく、りょーたん。」
「……おー。」

とりあえず笑ってお礼を言ったら真っ赤になったりょーたん。…知恵熱かねぇ?

水と保存食と簡単な装備だけ頼んで一足先に部屋に戻る。魔導書を取り出し、昨日見ていないページを確認しようと思います。



…否、思っていました。

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《目次》
シンデレラ
白雪姫
茨姫
不思議の国のアリス
人魚姫
美女と野獣
赤ずきん

[随時追加]

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…なんか増えてない?え、どういうことよ。…あ、昨日のステータス上昇ともしかして何か関係ある?

便利になるにこしたことはないけどさぁ…。
にしても、おかしくない?

ちょっと先にステータスから確認した方がいいかなぁ…。
うん。面倒だし、先に本でいっか。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【シンデレラ】
 ・ガラスの靴
  《異常フィールドによるダメージ無効》
  《魔攻↑ 魔防↑》
  《足運びや隠密に関わるスキルにマイナス補正》
  《ダンスにプラス補正》
 ・幸せの鳩
  《スキル[探索]を持つ鳩》
  《賢いため、情報収集に向いている。》
 ・肉そぎのナイフ
  《スキル[解体]の付与されたナイフ》
  《攻撃↑》
  《何故か刀身はいくら洗っても赤いまま》
 ・カボチャの馬車
  《スキル[結界]の掛かった馬車》
  《結界の効果はモンスター除け、物理・魔法耐性、侵入者排除、温度自動調整》
 ・銀のティアラ
  《魔攻↑↑》

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

あれ。こっちも項目増えてる。表示も変わってるし。
というか便利すぎない?システムバランス大丈夫なのかなぁ?
では次、白雪姫

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【白雪姫】
 ・毒の櫛
  《装備したり突き刺したりすると30秒で死に至る櫛。30秒以内に外せば問題はない。》
  《特殊効果:呪い:主人以外が外すことは出来ない》
 ・猛毒リンゴ
  《食べると死ぬ》
 ・7人の小人
  《それぞれ1人ずつ、[鍛冶][調薬][盗み][暗殺][大剣][重盾][罠]のスキルを持つ》
  《スキルの腕前は主人のレベルと連動》
 ・魔法の鏡
  《7日に1度しか召喚出来ない》
  《召喚すると3つだけ質問に答えてくれる》
 ・鉄の靴
  《防御↑↑》
  《嘘つきが履くと熱を帯び、装備者を焼き尽くす。》
  《特殊効果:煉獄の炎:この炎は対象が燃え尽きるまで決して消えない》

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怖っ!?これも完璧御本家様だよね!?てかリンゴ!リンゴの説明ぃぃぃ!超怖い!これは何?敵モンスターに食わせろってこと?分からんよ~。
小人のスキルはこれ完璧に盗賊説を引用してるし!
…白雪姫怖い。超怖い。シンデレラの方がマシだった気がするよぅ(泣)

若干涙目になりながらも次のページをめくる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【茨姫】
 ・眠り薬
  《100%の確率で睡眠状態になる薬》
  《特殊効果:呪い:主人が起きるのを許可しない限り眠り続ける。》
 ・茨の檻
  《主人の指定したものを中心にサークル状に茨が生える》
  《棘で傷を負うと60%の確率で麻痺又は睡眠状態になる。》
  《攻守両用》
 ・王子のレイピア
  《攻撃↑ 素早さ↑》
  《防御↓》
 ・快眠ベッド
  《大の大人が5人位は雑魚寝出来そうな大きなベッド》
  《寝た者の快眠が約束される》
 ・金のティアラ
  《防御↑ 魔防↑》
  《睡眠状態無効》

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

茨姫便利!!??え、便利過ぎて怖い!茨姫、恐ろしい子!!

では次ー、アリスはーっと…

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【不思議の国のアリス】
 ・時計ウサギ
  《スキル[付与魔法]を使いこなす白ウサギ》
  《スピード特化の支援型》
  《時計を持っている。この時計は絶対に狂わない》
 ・女王の従者
  《スキル[召喚]を使いこなす黒ウサギ》
  《スピード特化の支援型》
  《召喚で喚ぶのはトランプ兵達。最大53枚。》
 ・帽子屋
  《スキル[結界][細剣]を使いこなす強者》
  《黒のシルクハットを愛用している》
  《スキル[鑑定]の付与されたモノクルをかけている。》
  《余談ではあるが美人系のイケメンである》
 ・チェシャ猫
  《スキル[幻惑][隠密][分裂]を持つ紫色の猫》
  《黒のリボンを尻尾に付けている》
 ・ハンプティ・ダンプティ
  《自慢話の好きなイタズラ少年》
  《固有スキル[言霊]を持ち、言葉に好きな意味を込めて人で遊ぶ》
  《余談ではあるが将来が楽しみな美少年である》
 ・不思議なケーキ
  《一口サイズの可愛らしいタルトケーキ》
  《一口で食べると小さく、二口で食べると大きくなれる》
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

…余談に惹かれた私がいる。い、いや、別に男は顔とまでは思ってないよ?でもほら、顔もいいに超したことはないよね…?イケメンに惹かれて何が悪い!乙女だもの!しょうがない!

…とりあえず、皆さんハイスペックですね分かります。

段々続きを見るのが怖くなってきたぞー!でもほら、見とかないと危ないよね…。

ってわけで、続きいくぞー!どーん!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【人魚姫】
 ・魔女の薬
  《陸上生物が飲むと水中呼吸と潜水が、水生動物が飲むと肺呼吸と陸上活動が可能になる薬》
  《ただし、効果時間中は声が出なくなる》
  《無詠唱での魔法の使用は可能だが、威力は半減する。》
 ・王家の大船
  《主人の意思のまま海洋を駆ける豪華な大船》
  《ただし、嵐に弱いため注意が必要》
 ・銀のロザリオ
  《これを持って神に祈ると、一定時間、運気が跳ね上がるという》
  《魔攻↑↑》
 ・解呪のナイフ
  《スキル[解呪]と[即死]が付与されたナイフ》
  《どちらが発動するかは使用者の意のまま》
 ・悲哀のブーケ
  《死者に捧げる悲しみの花束》
  《アンデッド系モンスターを退ける》
  《アンデッド系モンスターに対してスキル[浄化]が30%の確率で発動する》
 ・姉妹の恨み
  《妹を死に追いやった王子と通りすがりの村娘を呪う姉達の怨みの結晶》
  《1年に1度しか使えないが、指定した相手を呪い殺すことができる》
  《デメリット:人を呪わば穴二つ。主人の寿命を減らす。》
  《減らされる寿命は呪い殺した人間の罪の数による。》
  《悪人ならば、減らされる寿命も少ないだろう。》

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

………。
見なかったことにしよう。

さて、お次は…美女と野獣?

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【美女と野獣】
 ・魔法のポット
  《常に温かな紅茶に満ちたポット》
  《美しい装飾が施されている》
 ・魔法のクローゼット
  《イメージした服が手に入る四次元タンス》
  《勿論、普通に買った服などもしまえる。》
 ・魔法の絨毯
  《空を飛ぶ美しい装飾の絨毯》
  《ただし、高くは飛べないため、森や山を一気に越えることはできない》
 ・銀食器
  《美しい装飾の施されている銀食器》
  《毒物を見破る》
  《また、スキル[解毒]によって、この食器を使って食べた毒物はその効力を発揮しない》
  《毒物以外をこの食器で食べると20%の確率で一定時間のステータス補正が入ることがある。》
 ・呪いの薔薇
  《スキル[魅了]をもつ薔薇》
  《対象の全ステータスを30%↓》

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

…ホントにシステムバランス大丈夫?茨姫に並ぶ便利さなんだけど。これは重宝しそうだ。

あ、次がとりあえず最後かな?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【赤ずきん】
 ・赤頭巾
  《名前の通り赤い頭巾》
  《目立つため、装備中はスキル[隠密]の発動不可》
  《スキル[料理]が付与されている》
 ・小さなケーキ
  《状態異常全回復》
  《一定時間、全耐性を付与》
 ・甘いワイン
  《一定時間ステータス上昇》
  《またはステータス異常を回復する》
 ・集血瓶
  《血を集めることに長けた瓶》
  《勿論、水などの液体も集めることはできる》
 ・裁ち鋏
  《布や毛皮を綺麗に裁つことができる鋏》
  《でも何でも裁つことができる鋏》
  《研げば研ぐほどよく切れる。》
  《スキル[裁縫]が付与されている》

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

……何でも…?え、まさか、ねぇ…。……怖いので考えないことにします。

てか集血瓶って、これまた御本家が元ネタだねぇ…何だっけ。おばあさんに化けた狼がおばあさんの肉と血を赤ずきんに食べさせるんだっけ?…カニバリズムェ…グロい。考えるの止めよう。これはあくまで道具。あくまで道具…。

後のページはまだ白紙だ。きっと経験とか召喚回数とかの条件が必要なんだと思う。多分召喚スキルのレベルが上がれば使いやすくなっていくはず。んー…楽しみなような、怖いような。美女と野獣的な道具が来る童話を切望する!白雪姫系はめっ!怖いのは無理です。

「にしても、明日のダンジョンどうしようかな。」

本ばっかり読んでいて、隠していない暗殺のスキルとか全然鍛えてないことに気づく。…ホントにどうしよう。

足手まといが決定した予感がする。

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感想 1

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みんなの感想(1件)

夜美華
2017.10.06 夜美華

主人公の性格がめっちゃ好きです!
これからも頑張って下さい(о´∀`о)

解除

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