StoryTeller~無気力少女の異世界道中~

翠漣

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フランタール脱出編

全ては女神様の思惑通り~Side 久城正貴

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それは、勇者3人が彼らの部屋を訪れる少し前まで遡る。

時刻は深夜0時をだいぶ過ぎたあたり。俺こと久城正貴は、担任であった瀬川諒先生と未だ寝ずに話し合っていた。

「皇さんと一緒に脱出すると言ったは良いですが、具体的にどうするおつもりで?」
「あー…どうすっかな。」
「まさかのノープランですか…」
「当たり前だろ。話聞いて直ぐにプラン立てれるほど頭よくねぇよ。」
「貴方教師でしょうが。」
「…とりあえず荷造でもすっか?」
「…持ってく物、あります?」
「………」
「………」

作戦をたてようとするものの、肝心な立案に必要な情報を持つ人皇さんがいないため、どうしようもない。持っていくものといっても、訓練用の武器なんかは訓練毎に没収されるし、地図とか本とかは当たり前だけど渡されていないし、この世界に来た時に持っていたものは腕時計とカバンと教科書とノートと筆記用具…あと飴玉くらいか。しかも全部アイテムボックスの中に入っているし、わざわざカバンに詰めることもないと思うんだが…。

「脱出した後手ぶらで歩いていたら、不思議な目で見られんじゃねえか?ついでに言えばアイテムボックスって貴重なスキルなんだろ?ステータスにもユニークってあるし。」
「なるほど、一理ありますね。…でも肝心の物を詰めるカバンがありません。教科書などを入れていた日本製のリュックでは目立つのでは?」
「俺が持ってる。」
「…いつ調達したんです?そんな暇と伝手、ありました?」
「いや、なんかアイテムボックスの中にもともと入ってたっていうか…」
「…俺のアイテムボックスの中には何も入ってなかったですけど…何故でしょう?」
「俺と久城の違いとして考えられることとしては、職業とか…種族とかか?」
「…他の人にも確認をとって集計してみれば分かる気もしますが、どちらかというと職業な気もしますね。」
「あー、あのメガミサマ、特典が云々言ってたしな。……でもよ、あの女神。」

“特典が何か明言してねぇんだよな”

先生のその発言にハッとする。記憶を探り、思い返す。あの女神は何と言っていた?

“”まず一つ目、異世界召喚に応じる道の利点は、申した通り第二の人生を今のまま歩める点です。こちらを選ぶ場合、急に異世界へ行ってもすぐに死んで終わりですので、私達神からを与えますし、人によっては世界に適応するために種族なんかも変わるかもしれません。“”

“”一方欠点ですが、不明な点が多いという点です。例えばですが、召喚された国がどんな国かは分かりません。良い国とは限らないということです。また、付くです。特典を使いこなせなければ、異世界で簡単に死んでしまう可能性もあります。“”

「転生ルートを選ばせてくれたこと自体は、女神サマの言葉でいう“お詫びに”だろう。じゃあ“特典”は?俺も思い返すまでは、例の女神と出会った狭間で種族やいくつかのスキルを選ばせてくれたことだと思っていた。でもあの女神、これが特典だとは一言も言ってねぇんだよな。言ってることも矛盾甚だしい。すぐに死なせないために特典を与えるっつってんのに、世界に合った物か分らん特典って、どういうこった?それに、あの時の【これで特典並びに設定を終了します。】ってアナウンス、このアナウンスも最初と最後でしか聞こえなかった。途中で出てきたのは“指定”とか“設定”って単語だけ。“特典を決めろ”とは一言も言っていない。」
「じゃあまさか…あの時の選択は…特典の中には入っていない?」
「あぁ…むしろ特典こそが一番目玉のだった可能性が高い。」

どうやらあの女神もただ者ではなかったらしい。腰が低かったから、無意識のうちに侮っていたが、アレも確かに“神”なのだろう。…評価を修正せねば。

「…じゃあ先生の特典はその謎カバンってことですか?」
「えっ…。なんか…もしそうならしょぼいな…まぁ完全ランダムならそういうこともあるんだろうが…」
「俺にも何かあるんでしょうか…」
「どうだろうな…お前の場合職業が勇者だろ?しかも平均的に高ステータス。なんかもうそれが特典って言われても納得できるよな…」
「「うーん…」」

結局分からない事が増えただけのような気がしたが、これもまた情報だ。
脳内で整理しながら、明日もある訓練に備えて俺たちも眠ることにしたのだった。
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