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出会いと別れ
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「二時間くらいはおちょくってたかな」
当時を思い出してか、楽しそうに笑って彼が言う。
そして疲れ果てた警官がとうとう、彼を召喚させたというわけだ。車から降りた石丸さんは真っ黒なスーツに黒光りする革靴を履いていて、鋭い視線で史弥さんを睨みつけたそうだ。こいつもヴァンパイアか、と悟ったその時、彼は目の前にいた、と史弥さんはぽつりと言った。まるで、今でもその光景が信じられない、とでも言うかのようだった。
突然目の前に現れた石丸さんは、表情一つ変えずに史弥さんを思い切り殴り飛ばしたそうだ。ふいうちを喰らってもろにパンチを横っ面に受けた彼は足場にしていた看板から崩れるように転げ落ちて、地面に激突する直前で体制を整えて着地を決めた。慌てて顔を起こすと、そこには石丸さんが立っていて、抵抗する間もなく腕を取られ、あっという間に両腕を背中に回されて手錠を掛けられていたと言う。
パトカーに押し込まれると、乗って来た警官の代わりに石丸さんが運転席へと座り、彼の乗って来た黒い車には、遠慮がちに人間の警官がおずおずと乗り込んだそうだ。
そのまま留置所へと連れていかれた二人は、保護者へと連絡をして迎えを待つこととなる。しかし史弥さんはそれを頑なに拒んだ。困り果てた警官は、やはり石丸さんへと助けを求めた。なぜか彼は最初から史弥さんの調書を担当はせず、他の警官が担当する様子をじっと見ていたそうだ。
だんまりを決め込んだ史弥さんの前に座った彼は、何も言わず、ただそこでじっとしていた。
「じっと、て……何もしないで?」
思わず口を挟んだ私に、彼は笑って頷いた。
「そう。ただそこにいて、俺を見てた。何も言わずに」
やがて痺れを切らせた史弥さんが口を開けば、石丸さんは先ほど彼を殴った時と同じように表情をぴくりとも変えずに、こう言ったそうだ。
「お前、甘いもん好きか」
わけがわからず、しかしなぜか素直に首を横に振ってその質問に答えた彼に、石丸さんは「俺もだ」と答えた。そしてそのまま席を立った彼が数分後に戻ると、手にはブラックの缶コーヒーが二つ握られていたそうだ。一つを彼の前に置くと、もう一つを開けて口を付けた。そしてそれを持ったまま、親友が母親に連れられて帰宅したことを告げた。だから何だと食って掛かった史弥さんに、石丸さんはやはり表情を変えずに返した。「お前には、信用できる人が一人もいないんだな」と。
その言葉は史弥さんの怒りを刺激し、またそれと同時に、今まで抑え込んできた一つの感情を酷く揺さぶった。それを必死に隠そうと顔を逸らした彼に、石丸さんは更に続けた。
「友人のことは信用しているようだが、母親が飛んで迎えに来てくれる彼が羨ましくて素直になれないか」
深くナイフを突き刺してえぐる様にそれを回した彼に、史弥さんは怒鳴りつけた。
「知ったような口を叩くな。お前に何がわかる。俺の気持なんか、誰にも……」
史弥さんが彼の動きに気付くよりも早く、やはり石丸さんは動いていたそうだ。気付けば彼の顔面は銀色の机に思い切り叩きつけられていて、その大きな音に驚いた警官が何人か様子を見に来た程だった。彼等を追い返すと、石丸さんは静かに口を開く。ちなみにその間も頭を机に押し付けられて、身動きすら取れず、彼曰く「人生最大の屈辱だった」そうだ。
「お前のような甘ったれたクソガキの言い分など聞く気は毛頭ない。惨めで哀れな自分に一生酔いしれていたいなら勝手にしろ。だが少しでも自分を変えたいと思ってるなら、今ここで俺に誓え」
彼の言っている意味が全くわからず、彼はただ石丸さんを口汚く罵っていたそうだ。彼の言葉を借りれば「葉月には聞かせることも出来ないほど酷い言葉の羅列で、思い出すだけで恥ずかしくて堪らない」そうだ。
頭を押さえつけていた手を離すと、史弥さんは立ち上がって石丸さんを睨みつけた。鼻や顎が痛くて堪らなかったそうだけど、ヴァンパイアならではの丈夫さで幸い腫れたりすることはなかった。
顔を上げた史弥さんは、先ほど石丸さんが言った言葉の意味を考えた。そして、石丸さんの冷たく見える瞳の中に見出した真剣さに縋りつくように、声を振り絞った。
「俺は……自分を、変えたい」
小さなその声を聞いて、石丸さんは力強く頷いた。
史弥さんは仕方なく連絡先を伝え、迎えに来た母親と数週間ぶりに顔を合わせたそうだ。母親は石丸さんに頭を下げると、史弥さんを一瞥して目も見ずに口を開いた。
「恥ずかしい。あんたって子はどこまで親に迷惑をかければ気が済むの」
早口でそう言った母親は、史弥さんの方を見向きもせずにその場を立ち去ろうとしたそうだ。その際、他の警官達、つまり人間には一度も頭を下げなかったと言った。そんな彼女に、石丸さんは背後から声をかけた。
「アーレンスさん。あなたのご子息は、痛ましい程苦しんでいます。あなたの役目は彼を責めることじゃない。きちんと叱って、道を正してやることだ」
自分よりも若いであろう石丸さんにそう言われたことが母親のプライドを傷つけたのか、彼女は何も言わずに足早にそこを立ち去ったそうだ。仕方なく後をついていこうとする彼を呼び止めた石丸さんは、連絡先の書かれた名刺を渡して「いつでも俺を頼れ」と言ったそうだ。
「帰りの車の中は無言だったけど、後部座席に座ってこっそり泣いたよ。石丸さんの言葉が、凄く嬉しかった。だから、家についてすぐに荷物を纏めて家を出た」
「え?」
驚いた私に、彼は得意げに笑った。
彼が言うには、久しぶりに帰宅した長男には父も弟も興味を示さなかったそうだ。迎えに来た母親でさえも、何か言いたげに視線を一度合わせただけで、何も言わずに主人と次男のいる居間へと向かった。そこで二階の自室へと駆け込んだ彼は、少ない荷物を纏めて外へと飛び出した。そして、すぐに石丸さんに連絡をした。
高校を卒業するまで面倒を見てくれ、とそう言ったらしい。この言葉に仰天したのは私だけで、石丸さんは何も言わずに史弥さんを迎えに来たそうだ。しかし迎えに現れた彼が顔を見るなり、やはり力任せに殴られた。
「信じられる? 一晩で三回も痛めつけられたんだよ。それも、何の前触れも無しに。あの人、どこかちょっとおかしいよね」
そう彼は笑ったが、私に言わせれば史弥さんも充分どこかがおかしいと思った。
石丸さんは彼の無計画さを叱り、そのまま嫌がる彼を引き摺って彼の家へと連れ帰ったそうだ。呼び鈴に答えて顔を見せた母親は二人を見て大層驚いたそうだ。その場で父親を呼び、奥から現れた父親も二人を見て狼狽えたと言う。そして両親の許可も得ずにずかずかと家へと上がり込んだ石丸さんは、驚く弟を無視して、史弥さんの首根っこを掴んだまま居間へと入り込んだ。離せだとか、お前を信じた俺が馬鹿だったと騒ぐ史弥さんに一言黙る様に告げ、彼は史弥さんの父親へと自らの名を名乗った。彼が刑事だと知った父親は更に驚き、息子が一晩に二度も補導されたのかと怒りを露わにしたそうだ。情けないと声を荒げた父親に、石丸さんは想像だにしない行動に出た。
父親よりも大声で、それも威厳のあるあの声で、怒鳴りつけたそうだ。史弥さんではなく、彼の家族を、だ。
「あんた方はそれでも人の親か。自分の息子がこれだけ苦しんでいるのに、こうも変わりやすくSOSを出しているのに、一体何をしているんだ」
空気がびりびりと震えるほどの迫力で怒鳴った彼は、少しトーンを落として続けた。
「お前たちは親失格だ」
当時を思い出してか、楽しそうに笑って彼が言う。
そして疲れ果てた警官がとうとう、彼を召喚させたというわけだ。車から降りた石丸さんは真っ黒なスーツに黒光りする革靴を履いていて、鋭い視線で史弥さんを睨みつけたそうだ。こいつもヴァンパイアか、と悟ったその時、彼は目の前にいた、と史弥さんはぽつりと言った。まるで、今でもその光景が信じられない、とでも言うかのようだった。
突然目の前に現れた石丸さんは、表情一つ変えずに史弥さんを思い切り殴り飛ばしたそうだ。ふいうちを喰らってもろにパンチを横っ面に受けた彼は足場にしていた看板から崩れるように転げ落ちて、地面に激突する直前で体制を整えて着地を決めた。慌てて顔を起こすと、そこには石丸さんが立っていて、抵抗する間もなく腕を取られ、あっという間に両腕を背中に回されて手錠を掛けられていたと言う。
パトカーに押し込まれると、乗って来た警官の代わりに石丸さんが運転席へと座り、彼の乗って来た黒い車には、遠慮がちに人間の警官がおずおずと乗り込んだそうだ。
そのまま留置所へと連れていかれた二人は、保護者へと連絡をして迎えを待つこととなる。しかし史弥さんはそれを頑なに拒んだ。困り果てた警官は、やはり石丸さんへと助けを求めた。なぜか彼は最初から史弥さんの調書を担当はせず、他の警官が担当する様子をじっと見ていたそうだ。
だんまりを決め込んだ史弥さんの前に座った彼は、何も言わず、ただそこでじっとしていた。
「じっと、て……何もしないで?」
思わず口を挟んだ私に、彼は笑って頷いた。
「そう。ただそこにいて、俺を見てた。何も言わずに」
やがて痺れを切らせた史弥さんが口を開けば、石丸さんは先ほど彼を殴った時と同じように表情をぴくりとも変えずに、こう言ったそうだ。
「お前、甘いもん好きか」
わけがわからず、しかしなぜか素直に首を横に振ってその質問に答えた彼に、石丸さんは「俺もだ」と答えた。そしてそのまま席を立った彼が数分後に戻ると、手にはブラックの缶コーヒーが二つ握られていたそうだ。一つを彼の前に置くと、もう一つを開けて口を付けた。そしてそれを持ったまま、親友が母親に連れられて帰宅したことを告げた。だから何だと食って掛かった史弥さんに、石丸さんはやはり表情を変えずに返した。「お前には、信用できる人が一人もいないんだな」と。
その言葉は史弥さんの怒りを刺激し、またそれと同時に、今まで抑え込んできた一つの感情を酷く揺さぶった。それを必死に隠そうと顔を逸らした彼に、石丸さんは更に続けた。
「友人のことは信用しているようだが、母親が飛んで迎えに来てくれる彼が羨ましくて素直になれないか」
深くナイフを突き刺してえぐる様にそれを回した彼に、史弥さんは怒鳴りつけた。
「知ったような口を叩くな。お前に何がわかる。俺の気持なんか、誰にも……」
史弥さんが彼の動きに気付くよりも早く、やはり石丸さんは動いていたそうだ。気付けば彼の顔面は銀色の机に思い切り叩きつけられていて、その大きな音に驚いた警官が何人か様子を見に来た程だった。彼等を追い返すと、石丸さんは静かに口を開く。ちなみにその間も頭を机に押し付けられて、身動きすら取れず、彼曰く「人生最大の屈辱だった」そうだ。
「お前のような甘ったれたクソガキの言い分など聞く気は毛頭ない。惨めで哀れな自分に一生酔いしれていたいなら勝手にしろ。だが少しでも自分を変えたいと思ってるなら、今ここで俺に誓え」
彼の言っている意味が全くわからず、彼はただ石丸さんを口汚く罵っていたそうだ。彼の言葉を借りれば「葉月には聞かせることも出来ないほど酷い言葉の羅列で、思い出すだけで恥ずかしくて堪らない」そうだ。
頭を押さえつけていた手を離すと、史弥さんは立ち上がって石丸さんを睨みつけた。鼻や顎が痛くて堪らなかったそうだけど、ヴァンパイアならではの丈夫さで幸い腫れたりすることはなかった。
顔を上げた史弥さんは、先ほど石丸さんが言った言葉の意味を考えた。そして、石丸さんの冷たく見える瞳の中に見出した真剣さに縋りつくように、声を振り絞った。
「俺は……自分を、変えたい」
小さなその声を聞いて、石丸さんは力強く頷いた。
史弥さんは仕方なく連絡先を伝え、迎えに来た母親と数週間ぶりに顔を合わせたそうだ。母親は石丸さんに頭を下げると、史弥さんを一瞥して目も見ずに口を開いた。
「恥ずかしい。あんたって子はどこまで親に迷惑をかければ気が済むの」
早口でそう言った母親は、史弥さんの方を見向きもせずにその場を立ち去ろうとしたそうだ。その際、他の警官達、つまり人間には一度も頭を下げなかったと言った。そんな彼女に、石丸さんは背後から声をかけた。
「アーレンスさん。あなたのご子息は、痛ましい程苦しんでいます。あなたの役目は彼を責めることじゃない。きちんと叱って、道を正してやることだ」
自分よりも若いであろう石丸さんにそう言われたことが母親のプライドを傷つけたのか、彼女は何も言わずに足早にそこを立ち去ったそうだ。仕方なく後をついていこうとする彼を呼び止めた石丸さんは、連絡先の書かれた名刺を渡して「いつでも俺を頼れ」と言ったそうだ。
「帰りの車の中は無言だったけど、後部座席に座ってこっそり泣いたよ。石丸さんの言葉が、凄く嬉しかった。だから、家についてすぐに荷物を纏めて家を出た」
「え?」
驚いた私に、彼は得意げに笑った。
彼が言うには、久しぶりに帰宅した長男には父も弟も興味を示さなかったそうだ。迎えに来た母親でさえも、何か言いたげに視線を一度合わせただけで、何も言わずに主人と次男のいる居間へと向かった。そこで二階の自室へと駆け込んだ彼は、少ない荷物を纏めて外へと飛び出した。そして、すぐに石丸さんに連絡をした。
高校を卒業するまで面倒を見てくれ、とそう言ったらしい。この言葉に仰天したのは私だけで、石丸さんは何も言わずに史弥さんを迎えに来たそうだ。しかし迎えに現れた彼が顔を見るなり、やはり力任せに殴られた。
「信じられる? 一晩で三回も痛めつけられたんだよ。それも、何の前触れも無しに。あの人、どこかちょっとおかしいよね」
そう彼は笑ったが、私に言わせれば史弥さんも充分どこかがおかしいと思った。
石丸さんは彼の無計画さを叱り、そのまま嫌がる彼を引き摺って彼の家へと連れ帰ったそうだ。呼び鈴に答えて顔を見せた母親は二人を見て大層驚いたそうだ。その場で父親を呼び、奥から現れた父親も二人を見て狼狽えたと言う。そして両親の許可も得ずにずかずかと家へと上がり込んだ石丸さんは、驚く弟を無視して、史弥さんの首根っこを掴んだまま居間へと入り込んだ。離せだとか、お前を信じた俺が馬鹿だったと騒ぐ史弥さんに一言黙る様に告げ、彼は史弥さんの父親へと自らの名を名乗った。彼が刑事だと知った父親は更に驚き、息子が一晩に二度も補導されたのかと怒りを露わにしたそうだ。情けないと声を荒げた父親に、石丸さんは想像だにしない行動に出た。
父親よりも大声で、それも威厳のあるあの声で、怒鳴りつけたそうだ。史弥さんではなく、彼の家族を、だ。
「あんた方はそれでも人の親か。自分の息子がこれだけ苦しんでいるのに、こうも変わりやすくSOSを出しているのに、一体何をしているんだ」
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