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15話
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しばらくすると、エリスが部屋に戻ってきた。
「ウィリアム様、ただいま戻りました。今日中に、材料の方と道具を用意してくれるそうです。薬草のお取り寄せは、次回から執事のべラード様に…。」
エリスは、ウィリアムの様子を見て動きが止まった。
「魔物の血液でも…。この葉を生成しても…、」
ウィリアムは、ブツブツと声に出しながら本に集中していた。エリスが戻ってきた事も気づかなかった。もちろん、声も聞こえていない。
(すごい集中力。このような様子のウィリアム様は、初めて見る。文字を覚えたとはいえ、難しい用語も多いはずなのに理解している様子だわ。)
エリスは、今はそっとしておくのが最善だと認識し自らの仕事をこなし始めた。エリスが掃除を始めたところ、ウィリアムはちょうど本を読み終えた。
「ふぅー。読み終わった。結構時間かかっちゃったな。」
「ウィリアム様、もう読み終わったのです…か?」
「え、うん。」
エリス、いつの間にかお部屋に戻っていたんだ。僕気が付かなかった、どれくらい待っていてくれたのかな。さすがに、時間がかかりすぎちゃった。
「ウィリアム様、素晴らしいです!これほどの分厚い本を読み終えるなんて!」
「え、僕す、ごい?」
「はい!とっても!」
「えへへ、そうかなぁ。」
ウィリアムは、照れくさそうに笑った。
本を読み終えただけで、褒められるなんてちょっと恥ずかしいなぁ。てっきり、時間がかかりすぎたのかと思ったよ。
「先程、材料をクリス様にお伝えしましたのでもう少ししたら届きますよ。それと、今後はべラード様にお申し付け下さいとの事です。」
「わかった!ありがとう。」
コンコン
誰かが、ドアをノックした。誰が来たのかな?もしかして、クリス!?もう届いたのかな。早く作りたいなぁ。
「私が見てきますね。」
そう言うと、エリスは来客を見に行ってくれた。
「まぁ、侯爵様。」
「ウィリアムに用があるのだが…」
「お父様!」
ウィリアムは、侯爵が来たことが分かると
すぐに駆けつけた。侯爵は、そんなウィリアムを見て抱き抱えた。
お父様に会う度にいつも抱っこしてもらっている気がするな。でも、お父様の太陽のような匂いが大好き。
「ウィリアム、これからいいものを見せてやろう。」
「いいものですか?」
「あぁ、きっと喜ぶぞ。」
そう言うと、侯爵はウィリアムを抱き抱えたまま歩き出した。
「ウィリアム、先日買った本は目を通したのか?」
「はい!興味深い事がたくさん載っていましたっ。」
ウィリアムは、目を輝かせながら侯爵の質問に応えた。
「どこまで、読んだんだい?」
「基礎薬学の本を読み終えました!」
「…読み終えた?」
「はい!」
(ウィリアムが買った本は、全て厚みがあり難しい用語も多かったはずだ。今まで、気づくことは出来なかったが、ルーカス同様、先天的な能力が高いのかもしれんな。確かに、その兆候はあった。単語を使い文を作るなど、大人のような言葉遣いをすることも子供らしからぬ行いが多々あった__。)
侯爵は、ウィリアムの"天賦の才"に気付きかけていた。
「ウィリアム様、ただいま戻りました。今日中に、材料の方と道具を用意してくれるそうです。薬草のお取り寄せは、次回から執事のべラード様に…。」
エリスは、ウィリアムの様子を見て動きが止まった。
「魔物の血液でも…。この葉を生成しても…、」
ウィリアムは、ブツブツと声に出しながら本に集中していた。エリスが戻ってきた事も気づかなかった。もちろん、声も聞こえていない。
(すごい集中力。このような様子のウィリアム様は、初めて見る。文字を覚えたとはいえ、難しい用語も多いはずなのに理解している様子だわ。)
エリスは、今はそっとしておくのが最善だと認識し自らの仕事をこなし始めた。エリスが掃除を始めたところ、ウィリアムはちょうど本を読み終えた。
「ふぅー。読み終わった。結構時間かかっちゃったな。」
「ウィリアム様、もう読み終わったのです…か?」
「え、うん。」
エリス、いつの間にかお部屋に戻っていたんだ。僕気が付かなかった、どれくらい待っていてくれたのかな。さすがに、時間がかかりすぎちゃった。
「ウィリアム様、素晴らしいです!これほどの分厚い本を読み終えるなんて!」
「え、僕す、ごい?」
「はい!とっても!」
「えへへ、そうかなぁ。」
ウィリアムは、照れくさそうに笑った。
本を読み終えただけで、褒められるなんてちょっと恥ずかしいなぁ。てっきり、時間がかかりすぎたのかと思ったよ。
「先程、材料をクリス様にお伝えしましたのでもう少ししたら届きますよ。それと、今後はべラード様にお申し付け下さいとの事です。」
「わかった!ありがとう。」
コンコン
誰かが、ドアをノックした。誰が来たのかな?もしかして、クリス!?もう届いたのかな。早く作りたいなぁ。
「私が見てきますね。」
そう言うと、エリスは来客を見に行ってくれた。
「まぁ、侯爵様。」
「ウィリアムに用があるのだが…」
「お父様!」
ウィリアムは、侯爵が来たことが分かると
すぐに駆けつけた。侯爵は、そんなウィリアムを見て抱き抱えた。
お父様に会う度にいつも抱っこしてもらっている気がするな。でも、お父様の太陽のような匂いが大好き。
「ウィリアム、これからいいものを見せてやろう。」
「いいものですか?」
「あぁ、きっと喜ぶぞ。」
そう言うと、侯爵はウィリアムを抱き抱えたまま歩き出した。
「ウィリアム、先日買った本は目を通したのか?」
「はい!興味深い事がたくさん載っていましたっ。」
ウィリアムは、目を輝かせながら侯爵の質問に応えた。
「どこまで、読んだんだい?」
「基礎薬学の本を読み終えました!」
「…読み終えた?」
「はい!」
(ウィリアムが買った本は、全て厚みがあり難しい用語も多かったはずだ。今まで、気づくことは出来なかったが、ルーカス同様、先天的な能力が高いのかもしれんな。確かに、その兆候はあった。単語を使い文を作るなど、大人のような言葉遣いをすることも子供らしからぬ行いが多々あった__。)
侯爵は、ウィリアムの"天賦の才"に気付きかけていた。
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