小さな貴族は色々最強!?

谷 優

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46話

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    「ウィルが、ウィルがいないなんて。僕がしっかりと見ていれば。」

    「ルーカス、お前のせいだけじゃない。森の中だというのに、目を話していた大人の責任だ。」

ルーカスは、父親に慰められても深く悔やんでいた。"1番近くにいた存在なのに__"と。

    「ウィリアム!どこにいるの!ウィリアム!」
侯爵夫人は、焦ったように声を荒らげた。夜の森の怖さを知っているのだ。

    「ウィリアムー!」
    「ウィリアム様!近くにいるのでしたら返事をして下さい!」
     「ウィリアム様ー!」

各々、ウィリアムと名前を大きな声で叫んだ。だが、遠くにいるウィリアムには届くはずもなかった。

    「まずいな、もうすぐ日が完全に沈む。夜行性の魔獣達が目覚めてしまう。」

侯爵は切羽詰まった様子であった。

    「そ、そんな。ウィリアム___!」
 
    「チーム編成をするっ。2チーム体制で、捜索にあたれっ。私とリズ、ベリル、アルノで周辺を探す。サイラス、ガフェイン、エリスで反対方向を探せっ。見つけたら、通信石で知らせろっ。」

    「かしこまりましたっ。ご武運をっ___。」

ウィリアムの捜索が始まった。



~~~~~~~~~~~~~~~



   ウィリアムは背後からした音に驚いていた。

   うぅ、怖いよぉ。もしかして、さっき言ってた怖い魔獣さんだったりしてっ。ご、ごわいよぉ。

    あまり直視しないように、ゆっくりと後ろを向き瞼を薄く開けてみた。ウィリアムは、恐怖から手が小刻みに震えていた。

    「え……大きな、わんちゃん?」

その姿は、とても神々しく美しい銀色の毛並みが揃っていた。月明かりに照らされ、輝いているようにも見えた。大きな水色の瞳は、ウィリアムを写していた。

   僕よりも、大きなわんちゃんがいる。え、え、近づいてきた。僕ら食べられちゃうのぉっ。

ウィリアムは、再び涙が溢れてしまった。

  すると、ウィリアムの近くまで大きな犬は歩み寄りゆっくりと腰を下ろした。まるで、敵意は無いかのように、ゆっくりと。

     「驚かせてすまない。子供が、泣いている声が聞こえてな。」

大きな犬は、もふもふとした手でウィリアムの涙を拭った。

     「ふぇ、えぇ、わんちゃん、助けに来てくれたの。それに、お話できるの?ぐすっ。」

    「まぁな。我が来たのはあまりにも、悲しい声で泣いているから心配できてみたのだ。この森は、魔獣がうろついているし子供だけでの夜は危険なのだ。」

     「ふ、ふぇうぅ、うわぁぁぁぁぁぁん!うわぁぁぁぁん!み、みんなとは、ぐれちゃったのぉ!」

ウィリアムは、安心から涙が溢れ出た。縋るように、大きな犬に飛びつき、抱きしめた。

     「そうか、はぐれちゃったのか。それは、悲しいな。我が送り届けてやろう。」

     「うぅ、うぅぐすっ、ぐすっ、いいのぉ?」

    「あぁ、問題ない。人間の魔力なんてすぐに察知できるからな。連れて行ってやる。」

     「ほ、本当?」

     「そうだと言っている。」

     「あ、ありがとう。ぐすっ」

  こんなに、優しいわんちゃんと出会えて良かったよぉ。一人じゃ、本当に怖かったし、もしかしたら食べられてたかもしれないもん。

  大きな犬は、ウィリアムが乗りやすいようにかがみ込んだ。「よ、いしょっ」という、掛け声と共にウィリアムは、上に飛び乗った。
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