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45話
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『ねぇねぇ』
また呼んでる、よね?さすがに聞き間違えじゃないよ。だけど、周りの皆には聞こえてないみたい。誰かが助けを読んでいるのかも。
あっちから聞こえたよね。
『こっちだよ、こっち。』
やっぱり僕の事呼んでいるよね?
あれ、なんだか行かなくちゃ行けない気がする……。
ウィリアムは、ボッーとしたまま歩きだした。前には、馬車へ向かう侯爵達が歩いていたが、進行方向とは違う向きにウィリアムは歩いていった。
しばらくすると、ウィリアムは正気に戻った。誰かの呼び声が聞こえ、彷徨う様に歩いたこと。自分がみんなと通っていた道を逸れた事を思い出した。
「え、あれここどこ?みんなは……?」
みんなどこに行ったの。迷子になっちゃったの?怖いよ、お兄様は、お母様、お父様は?
ウィリアムの目には涙が溜まっていた。心細さと恐怖から涙が溢れ出てきた。
「ふ、ふぇ ふぇ うぅ、うわぁぁぁぁぁぁん お母様ぁ、お父様ぁ どこぉー。」
ウィリアムは、ついに泣き出してしまった。だが、周囲には鳥のさえずりと風が木を揺らす音だけが返ってくる。鳥が飛び立つ音がし、ビクッと肩を震わせ涙が頬を伝う。
どちっちの道に行ったらいいのか分からずにウィリアムは、重い足を1歩1歩持ち上げ踏み出した。しばらく、大きな声で泣き喚いていた。
どの木も同じに見える、どっちに行ったらいいの。辺りも暗くなってきた、寒くなってきたよぉ皆どこにいるの。
ガサガサ 、ガサガサ
すると、背後から音がした。
「はっ___何?ごわぃぃ。」
ウィリアムは、べそべそ涙を流しながらもおそるおそる後ろを振り返った。
その頃、侯爵達の様子はすぐにはウィリアムがいなくなったことに気が付かなかった。
「別荘についたら、お風呂の準備ができているはずだから私とルーカスとウィリアムで風呂に入ろう。」
「三人で、ですか?」
「あぁ、たまにはいいだろう。」
「そうね。仲睦まじい親子だわ。」
(ウィルと二人でお風呂に入る予定だったのにな。ウィルは、父上のこと好きだから父上にウィルを取られちゃうかもな。……あれ?)
ルーカスは、何か違和感を感じていた。ふと、横に視線を向けた。
「え……。」
ルーカスは、驚き足をピタリと止めた。
「どうしたの?急に立ち止まっ………て……はっ___。」
そこには、先程まで一緒に歩いていたであろうウィリアムの姿がなかった。忽然と姿を消したのだ。
「___ウィリアムはどこに行った!」
侯爵も状況を掴めたようで、ウィリアムの行方を探した。
「ウィリアムがいないなんて……さっきまで、ここにいて…いて…」
侯爵夫人は、ウィリアムのいなくなったことに気が付き、笑みが消え、顔色が真っ青になった。今にも倒れそうだ。
「ま、まさか___森の奥地に!」
辺りはもう、薄暗くなっており日が沈む頃であった。子供が一人で歩くには、危険過ぎるのだ。侯爵夫人は、最悪の想定を数々想像していた。
「も、申し訳ございませんっ。」
「私の不手際でこのような失態を犯しましたっ。」
2人の騎士、そうウィリアムの専属騎士サイラスとアルノが謝ったのだ。この二人は、ウィリアムを危険から守るために後ろから着いて行くような形で警備していたのだ。
「2人には、後で罰を与えるっ。今は、ウィリアムの捜索に尽力しろっ。」
「はっ。」
2人は、真剣な顔つきになった。
(いや、この二人がこんな失態を犯すとは思えない。一体何が起きたんだ。それに、ウィリアムは一人でいることを好まない。自分で歩いていったとは到底思えねいのだ。もしかして、微かに魔力が漂ってはいたが、まさか___外部からの魔法の影響か!?そうなれば、この2人がウィリアムの失踪に気が付かないのも納得がいく!私としたことが…あらゆるリスクを想定していればこのようなことはっ…。)
侯爵は、自分の責任だと強く心に刻んでいた。
また呼んでる、よね?さすがに聞き間違えじゃないよ。だけど、周りの皆には聞こえてないみたい。誰かが助けを読んでいるのかも。
あっちから聞こえたよね。
『こっちだよ、こっち。』
やっぱり僕の事呼んでいるよね?
あれ、なんだか行かなくちゃ行けない気がする……。
ウィリアムは、ボッーとしたまま歩きだした。前には、馬車へ向かう侯爵達が歩いていたが、進行方向とは違う向きにウィリアムは歩いていった。
しばらくすると、ウィリアムは正気に戻った。誰かの呼び声が聞こえ、彷徨う様に歩いたこと。自分がみんなと通っていた道を逸れた事を思い出した。
「え、あれここどこ?みんなは……?」
みんなどこに行ったの。迷子になっちゃったの?怖いよ、お兄様は、お母様、お父様は?
ウィリアムの目には涙が溜まっていた。心細さと恐怖から涙が溢れ出てきた。
「ふ、ふぇ ふぇ うぅ、うわぁぁぁぁぁぁん お母様ぁ、お父様ぁ どこぉー。」
ウィリアムは、ついに泣き出してしまった。だが、周囲には鳥のさえずりと風が木を揺らす音だけが返ってくる。鳥が飛び立つ音がし、ビクッと肩を震わせ涙が頬を伝う。
どちっちの道に行ったらいいのか分からずにウィリアムは、重い足を1歩1歩持ち上げ踏み出した。しばらく、大きな声で泣き喚いていた。
どの木も同じに見える、どっちに行ったらいいの。辺りも暗くなってきた、寒くなってきたよぉ皆どこにいるの。
ガサガサ 、ガサガサ
すると、背後から音がした。
「はっ___何?ごわぃぃ。」
ウィリアムは、べそべそ涙を流しながらもおそるおそる後ろを振り返った。
その頃、侯爵達の様子はすぐにはウィリアムがいなくなったことに気が付かなかった。
「別荘についたら、お風呂の準備ができているはずだから私とルーカスとウィリアムで風呂に入ろう。」
「三人で、ですか?」
「あぁ、たまにはいいだろう。」
「そうね。仲睦まじい親子だわ。」
(ウィルと二人でお風呂に入る予定だったのにな。ウィルは、父上のこと好きだから父上にウィルを取られちゃうかもな。……あれ?)
ルーカスは、何か違和感を感じていた。ふと、横に視線を向けた。
「え……。」
ルーカスは、驚き足をピタリと止めた。
「どうしたの?急に立ち止まっ………て……はっ___。」
そこには、先程まで一緒に歩いていたであろうウィリアムの姿がなかった。忽然と姿を消したのだ。
「___ウィリアムはどこに行った!」
侯爵も状況を掴めたようで、ウィリアムの行方を探した。
「ウィリアムがいないなんて……さっきまで、ここにいて…いて…」
侯爵夫人は、ウィリアムのいなくなったことに気が付き、笑みが消え、顔色が真っ青になった。今にも倒れそうだ。
「ま、まさか___森の奥地に!」
辺りはもう、薄暗くなっており日が沈む頃であった。子供が一人で歩くには、危険過ぎるのだ。侯爵夫人は、最悪の想定を数々想像していた。
「も、申し訳ございませんっ。」
「私の不手際でこのような失態を犯しましたっ。」
2人の騎士、そうウィリアムの専属騎士サイラスとアルノが謝ったのだ。この二人は、ウィリアムを危険から守るために後ろから着いて行くような形で警備していたのだ。
「2人には、後で罰を与えるっ。今は、ウィリアムの捜索に尽力しろっ。」
「はっ。」
2人は、真剣な顔つきになった。
(いや、この二人がこんな失態を犯すとは思えない。一体何が起きたんだ。それに、ウィリアムは一人でいることを好まない。自分で歩いていったとは到底思えねいのだ。もしかして、微かに魔力が漂ってはいたが、まさか___外部からの魔法の影響か!?そうなれば、この2人がウィリアムの失踪に気が付かないのも納得がいく!私としたことが…あらゆるリスクを想定していればこのようなことはっ…。)
侯爵は、自分の責任だと強く心に刻んでいた。
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