機械仕掛けの無能力者

angelica

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第1話 始まり

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  緊張のせいで少し震えている拳を握り、クリスフォード学院の校門をくぐる。ここから自分を磨く厳しい道のりと新たな仲間との胸踊る学園生活の始まりなのだと強く心に刻んだ。



 ここクリスフォード学院は主に戦争のための知識や体術、剣術、銃術、魔術を学ぶ学校である。特にこの学院は他の学院よりも圧倒的にレベルが高く入学試験でも筆記の他に様々なテストがあることで有名だ。
  だが、その中でも特に優秀な生徒は推薦という形で入学試験をスキップする事が出来る。
かという俺、緒形 利雄もその中の一人だが決して胸を張って歩けなかった…。
「え、あれが無能力者のくせに推薦で入った人?」
「あいつは無能力者だろ。なんで推薦貰えたのかさっぱりだぜ」
 すごい視線だな…。と思いながら同じ制服に身を包んだ生徒たちに見られている。その理由は自分でも分かっていた。なぜなら俺はなんの能力も持たない無能力者だからだ。この学院での常識としては魔力をもち魔力限器も並以上というのだが俺は魔力を一切持たない。なおかつ、俺は超優秀でなければ選ばれない推薦で入学したのだからこうなることは予想していた。
「ねぇ、そのあなた。どうしてエンプティがこんなとこにいるの。何も出来ないようなやつがこの学院には必要ないわ。早く退学でも何でもして出ていってもらえない?」
  突然学院の制服を着た女性に話しかけられた。薄桃色をした髪はとても綺麗で足が細かく、顔も俺の好みだったので話しかけられて嬉しかったのだが、ここまで言われるとだいぶショックだった。
「いや、そんな事言われても…いちよ推薦入学で入ったから学院には認められているんだけどなー」
  少し煽るように言ってしまった。自分をエンプティを馬鹿にされた事を内心は嫌だったみたいだ。エンプティとは魔力ないような人を示す差別用語のことだ。
まあ、間違っているのではないから否定はできなかった。
「はぁ?あなたみたいなエンプティが?そんなわけないでしょ」
そんなわけないでしょって言われても、事実を言っただけなんだよなーと思い自分の身分証明書を見せた。そこにはクリスフォード学院生の横に推薦の推という漢字が書かれていた。
「うそ!どうして!」
女性は目を見開いて証明書の推という字をまじまじと見た。
「そうよ、この男はエンプティなのに推薦入学者なのよ」
 俺たちの話に女性が割り込んできた。その人はリボンの色からして2年生ということが容易に分かった。
この女性はとても豊かな胸をしていて、とても清楚な感じだなと思った。
それにしても、どいつもこいつもエンプティ、エンプティってバカにしやがって!とイライラした。
「エンプティだけど推薦入学者だよ、お前らよりも優秀なんだよ」
 自慢してやった。少しスカッとした。
「へー、まー私も推薦入学者なんだけどねー。でもエンプティと一緒にされると腹が立つわね。どーせ弱いくせに。」
「そんな事もありませんよ、葉月ちゃん。彼結構やるんですよ?」
気が強い方の女性は五十嵐 葉月と言うらしい。
「紗夜先輩が言うと説得力があるわね。でも!信じられないはエンプティが私たちに適うはずがないわ!」
清楚な先輩は如月 紗夜と言うらしい。
それより葉月は言いたい放題言いやがってと思い、会話に入ろうとしたその時
「なら決闘してみますか?」
紗夜からとんでもない意見が出た。この学院では揉め事は全て決闘で決めるという校則があった。
だからと言ってエンプティが能力者、しかも推薦入学者に勝てるはずがないと葉月は思ったが紗夜にここまで言わせる利雄のことな気になった。
利雄はあまり乗り気ではなかった。人前ではあまり自分の«力»を使いたくはなかったからだ。
この学院に推薦で入学できたのもこの«力»があったからだ。なければこの学院に入学者試験も受けさせてもらえなかっただろう。
「いいわね、どう?私と決闘しない?ま、どうせ私が勝つけどねー」
ここまで言われたら自分のプライド的にも受けることにした。
「そうだな、やろうぜ、その決闘。みんなの前で泣きべそかいても知らねぇぞ?」
「やれるもんならやってみなさい。あなたのその無意味な自信、私が粉々にしてあげる」
「なら今からやりましょうか、その決闘。私が審判してあげるわ。」
葉月と俺の決闘が決まった。



利雄は運動着に着替え決闘場へ向かった。
決闘場はこの学院には6つある。どれもとてつもなく大きく使われる時は特殊結界が3重になっており、観客への影響がでないようになっている。
ルールは時間無制限のシンプルマッチ。特殊ルールとしては武器は幻想形態で使用することのみ。それ以外は何でもあり。エンプティには圧倒的に不利なルールだが俺にはあまり関係ない。むしろ武器の持ち込みが可能なのは少しありがたかった。
 利雄は決闘場に着き周りを見渡すと今さっき決まった決闘なのにこのギャラリーの量は途轍もなかった。
 紗夜も決闘場に着いた。
 いよいよ決闘が始まる。
 葉月は指輪の魔力触媒を、利雄は2丁の銃剣を構えた。
 「準備はOK?」
 「おう」
 「いけるわ」
 2人とも端的に答えた。
  「assenburu!」
 紗夜の掛け声で2人の戦いの火蓋は切って落とされた。

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