7 / 12
7* 伝わる鼓動
しおりを挟む
悪びれる事もなく、うふふと楽しそうに笑う笑顔は天使のようなのに…
何でそんな妖艶で小悪魔な性格に育ってしまったのか。
寄宿学校の友人たちの影響か?
それとも…
お兄様たちの影響かしら…
「リア、聞いてる?」
「何?」
「酷いなぁ」
「酷いのはどっちよ」
恋人の将来が心配になり現実逃避している間に何か喋っていたらしく、ムスッと拗ね唇を尖らせるシーフに呆れる。
大人と青年の間を彷徨う男性らしさを思わせる恋人の仕草にドキドキしていると言うのに、今度は無邪気な少年のように甘えた声で誘惑する。
さっきから感情が揺れ動かされ過ぎて、思考と、心と身体がついて行けない。
こっちの身にもなってほしい。
「フローリア、リア? またボーっとしてる」
チョンと唇の上にシーフの指があてられ、返事をしようとして口を開いたせいで、シーフの指が舌に触れる。
「んっ、リアも食べたいの?」
「馬鹿」
唇の上をなぞるように指を動かすシーフの手を叩き落とす。
「痛いなぁ」
「嘘ばっかり」
「嘘じゃない。リアと一緒にいると、ここがね? 苦しくて、ずっと痛いんだ」
叩き落した私の手首を掴み、シーフが自分の胸に押し付ける。
手から伝わるドクドクと脈打つシーフの鼓動に合わせて、また自分の鼓動まで耳元で響くぐらい大きく跳ねる。
折角落ち着いて来たと思ったのに…
「ねぇ、リア知ってる?」
シーフの胸元から視線を外し、見上げるとシーフは優しくて哀しい笑顔を浮かべていた。
「心臓の鼓動の脈打つ回数って決まっているんだって」
「え?」
「一生のうちに、だいたい二十億回なんだって。鼠や猫も馬も、寿命の年数は違うけど、鼓動の回数は同じで、鼓動がゆっくりか、速いかの違いだっていう説があるんだ」
ふぅーっと長い溜め息を吐くと、シーフは私の胸の上に頭を乗せ、耳をくっつける。
「ふふっ。リアもドキドキしているね」
「…生きているんだから当たり前でしょ?」
「そうだね」
「そうよ」
クスクス笑うシーフの柔らかい髪を撫でる。
何だか急に、そうしたくなったのだ。
いつもと少し違うシーフが、遠くへ行ってしまうようで、少し怖い。
「フローリア」
「何?」
呼吸に合わせて上下する胸に顔を埋めるシーフに視線を送る。
「…ううん。何でもない」
「眠いの?」
「…そうだね。リア、もうちょっとこうしてて」
「少しだけよ?」
「うん」
甘えてくる恋人の髪を撫でていたのに、触れ合う体温の心地良さに、いつの間にか抱き締められたまま眠ってしまった。
「フローリア… 愛してる」
眠ってしまった私は、起き上がり自分の腕の中に囲うように抱き締めなおしたシーフの、切なそうな声は届かなかった。
何でそんな妖艶で小悪魔な性格に育ってしまったのか。
寄宿学校の友人たちの影響か?
それとも…
お兄様たちの影響かしら…
「リア、聞いてる?」
「何?」
「酷いなぁ」
「酷いのはどっちよ」
恋人の将来が心配になり現実逃避している間に何か喋っていたらしく、ムスッと拗ね唇を尖らせるシーフに呆れる。
大人と青年の間を彷徨う男性らしさを思わせる恋人の仕草にドキドキしていると言うのに、今度は無邪気な少年のように甘えた声で誘惑する。
さっきから感情が揺れ動かされ過ぎて、思考と、心と身体がついて行けない。
こっちの身にもなってほしい。
「フローリア、リア? またボーっとしてる」
チョンと唇の上にシーフの指があてられ、返事をしようとして口を開いたせいで、シーフの指が舌に触れる。
「んっ、リアも食べたいの?」
「馬鹿」
唇の上をなぞるように指を動かすシーフの手を叩き落とす。
「痛いなぁ」
「嘘ばっかり」
「嘘じゃない。リアと一緒にいると、ここがね? 苦しくて、ずっと痛いんだ」
叩き落した私の手首を掴み、シーフが自分の胸に押し付ける。
手から伝わるドクドクと脈打つシーフの鼓動に合わせて、また自分の鼓動まで耳元で響くぐらい大きく跳ねる。
折角落ち着いて来たと思ったのに…
「ねぇ、リア知ってる?」
シーフの胸元から視線を外し、見上げるとシーフは優しくて哀しい笑顔を浮かべていた。
「心臓の鼓動の脈打つ回数って決まっているんだって」
「え?」
「一生のうちに、だいたい二十億回なんだって。鼠や猫も馬も、寿命の年数は違うけど、鼓動の回数は同じで、鼓動がゆっくりか、速いかの違いだっていう説があるんだ」
ふぅーっと長い溜め息を吐くと、シーフは私の胸の上に頭を乗せ、耳をくっつける。
「ふふっ。リアもドキドキしているね」
「…生きているんだから当たり前でしょ?」
「そうだね」
「そうよ」
クスクス笑うシーフの柔らかい髪を撫でる。
何だか急に、そうしたくなったのだ。
いつもと少し違うシーフが、遠くへ行ってしまうようで、少し怖い。
「フローリア」
「何?」
呼吸に合わせて上下する胸に顔を埋めるシーフに視線を送る。
「…ううん。何でもない」
「眠いの?」
「…そうだね。リア、もうちょっとこうしてて」
「少しだけよ?」
「うん」
甘えてくる恋人の髪を撫でていたのに、触れ合う体温の心地良さに、いつの間にか抱き締められたまま眠ってしまった。
「フローリア… 愛してる」
眠ってしまった私は、起き上がり自分の腕の中に囲うように抱き締めなおしたシーフの、切なそうな声は届かなかった。
0
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
一条さん結婚したんですか⁉︎
あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎
嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡
((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜
⭐︎本編は完結しております⭐︎
⭐︎番外編更新中⭐︎
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる