3 / 18
健太2
しおりを挟む
初めて潮音に入った時、正直、怖いと思った。
まるで、彼女の周りだけ空気が違うみたいで。
そやけど、彼女の淹れるコーヒーは、なんでか知らんけど、めっちゃ美味しかった。完璧な味や。
完璧な味やけど、どっか寂しい。
そんなことってある?
(…気になるやん。寂しい味ってなんや…)
彼女の瞳は、いつも遠くを見とる。
海の向こうを。そこに誰かがおるみたいに。
俺は、彼女の瞳が、いつか自分の方を向いてくれるようにと願って、毎日このカフェに来るんや。
いや、まぁ俺の方でなくてもええねん。
なんか、周りを見てくれるようになったら。
「お姉さんのことなんて呼んだらええかな、マスター、ちゃうな。マダム、って年やないな。オーナー?潮音さん?」
「………美咲です」
「美咲さんって呼んでええの? ええ名前やな。俺は健太。坂本健太。よろしゅう!」
ニカッと笑って敬礼したけど、美咲さんは、笑わんかった。
(すべってしもた…)
まぁ、彼女は、あまり話してくれへん。
それでも、俺は話しかけた。
今日のボランティアの話、大学の友だちの話、そして、神戸の話。
俺は、絶対にこっちの震災のことには触れへんかった。
彼女が、その話をしたくないんやろうって、なんとなく感じたから。
けど、俺が話す神戸の震災の話は、美咲さんの心を少しだけ動かしたみたいや。
「美咲さん、おれの家族も、阪神・淡路の地震におうたんや。
その時、たくさんのボランティアが助けてくれたんやって。
俺は小さかったから、あんまり覚えてないけど、いろいろ聞かされた。
そやから、俺は、いつか誰かの力になろうと思って、ここに来たんや」
美咲さんは、何も言わなかった。
けど、彼女の瞳に、わずかに揺れたようにも見えた。
まるで、彼女の周りだけ空気が違うみたいで。
そやけど、彼女の淹れるコーヒーは、なんでか知らんけど、めっちゃ美味しかった。完璧な味や。
完璧な味やけど、どっか寂しい。
そんなことってある?
(…気になるやん。寂しい味ってなんや…)
彼女の瞳は、いつも遠くを見とる。
海の向こうを。そこに誰かがおるみたいに。
俺は、彼女の瞳が、いつか自分の方を向いてくれるようにと願って、毎日このカフェに来るんや。
いや、まぁ俺の方でなくてもええねん。
なんか、周りを見てくれるようになったら。
「お姉さんのことなんて呼んだらええかな、マスター、ちゃうな。マダム、って年やないな。オーナー?潮音さん?」
「………美咲です」
「美咲さんって呼んでええの? ええ名前やな。俺は健太。坂本健太。よろしゅう!」
ニカッと笑って敬礼したけど、美咲さんは、笑わんかった。
(すべってしもた…)
まぁ、彼女は、あまり話してくれへん。
それでも、俺は話しかけた。
今日のボランティアの話、大学の友だちの話、そして、神戸の話。
俺は、絶対にこっちの震災のことには触れへんかった。
彼女が、その話をしたくないんやろうって、なんとなく感じたから。
けど、俺が話す神戸の震災の話は、美咲さんの心を少しだけ動かしたみたいや。
「美咲さん、おれの家族も、阪神・淡路の地震におうたんや。
その時、たくさんのボランティアが助けてくれたんやって。
俺は小さかったから、あんまり覚えてないけど、いろいろ聞かされた。
そやから、俺は、いつか誰かの力になろうと思って、ここに来たんや」
美咲さんは、何も言わなかった。
けど、彼女の瞳に、わずかに揺れたようにも見えた。
4
あなたにおすすめの小説
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
離れて後悔するのは、あなたの方
翠月 瑠々奈
恋愛
順風満帆だったはずの凛子の人生。それがいつしか狂い始める──緩やかに、転がるように。
岡本財閥が経営する会社グループのひとつに、 医療に長けた会社があった。その中の遺伝子調査部門でコウノトリプロジェクトが始まる。
財閥の跡取り息子である岡本省吾は、いち早くそのプロジェクトを利用し、もっとも遺伝的に相性の良いとされた日和凛子を妻とした。
だが、その結婚は彼女にとって良い選択ではなかった。
結婚してから粗雑な扱いを受ける凛子。夫の省吾に見え隠れする女の気配……相手が分かっていながら、我慢する日々。
しかしそれは、一つの計画の為だった。
そう。彼女が残した最後の贈り物(プレゼント)、それを知った省吾の後悔とは──とあるプロジェクトに翻弄された人々のストーリー。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる