平成25年、あれから2年目の恋

みなわなみ

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健太

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 俺の名は、坂本健太。
 神戸の大学の2回生。21歳やけど。

 今は夏休みを利用して、ボランティア活動に参加してる。
 瓦礫がれきの撤去や仮設住宅の清掃、地元住民の話し相手になるなど、内容はいろいろ。

 俺が3つの時に阪神・淡路大震災があった。
 俺はあんまり覚えてないけど、家族は多くのボランティアに助けられたらしい。
 小さい頃から、誰彼と言わず聞かされてきた。
 そやから、俺もいつか誰かの力になりたいと思ってた。

 東北で大きい地震があった時は、受験の追い込みやった。
 浪人生であとがなかったから、とりあえず寄付だけで済ませた。

 去年は大学の1回生で覚えることが多かった。
 なんとか、短期のボランティアに数回行けた。
 今年は、やっと腰を据えてボランティアができる!
 それでこの街に来た。


 最初、ここで慣れんかったんが、海が東にあること。
 神戸っ子は「海側=南」やから、

(海は東、海は東…)

 って頭の中で繰り返して作業してた。

 作業も慣れへんかって、最初は色々迷惑をかけた。
 最近やっと慣れてきて、街を探検できるようになった。

 そんなとき見つけたのが「海音Shion」。

(静かやな…やってんのかな)

「すいません、お店やってますか?」

 店の中にいた女の人が頷いてくれた。
(ええ感じの店やけど…だんまりか…)

「カフェラテ、お願いします」

 女性がコーヒーを入れ始める。

(へぇ。若いのに、見事やな)

 すべての作業が洗練されて無駄がない。
 俺は引き込まれるように、彼女の所作を見ていた。

(けど、なんやな…、なんか、完璧すぎるちゅうか…壁があんなぁ…)

「あの、お姉さんって、いつもそんなに無口なんですか?」

 あ、口が勝手にしゃべってしもた…。
 彼女は一瞬、こっち向いたけど、再びコーヒーカップに視線を戻した。

(やってしもた。無礼者やわな…)

 ちょっと苦笑いして、明日の予定を確認するのにスマホに目を落とした。


 そのあと、運ばれてきたカフェラテに、ちょっとビビった。
 きめ細かな泡がめっちゃきれいで、香りが豊潤。

「ありがとう」

 飲むまでにも期待が高まってたけど、飲んで驚いた。

「うわ、めっちゃうまい‼ 神戸でもこんなうまいのんに当たったことがない‼」

 思わず声が出た。
 神戸でも老舗から話題の店まで大概の店に通ってきた。
 けど、遜色そんしょくない。いや、個人的には上や。
 こんなところで、こんな幸せに当たるとは!

「はぁ~、おいしい!」

 そうも言ったけど、彼女はなんの反応も示さんかった。
 ええわい。

 けど、それから、ほぼ毎日のように「潮音」に通ってる。
 
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