23 / 96
ジークさんと取引
しおりを挟む
それからは、ジークさんが私の監獄を訪ねてくることが増えた。
基本的にお役御免を狙う私は、とにかく狂人化の呪いを何とかすることを目指したい。
別に腹黒美人と親交を深めたい訳では無いのだ。
「何でそんなにここに来るんですか?」
「ルナも俺から早く離れたいのだろう?だったら、少しでも早く呪いを解く知恵を出さなければな」
「それはそうですが、別にジークさんがここに居なくても調べられますよ?」
最近のジークさんは、私の事をルナと名前で呼ぶようになった。
お前呼びでも構わないけどね、ぶちのめすだけだけど。
「ジークさんと一緒に居ると良い案が浮かびそうにありません。なので、ドラゴンさんになってください」
分かりやすく半眼になるジークさんに、さらに詰め寄って畳みかける。
「ドラゴンさんのお腹を撫でれば、もっと良い案が浮かんで来る筈です!」
「・・・」
ジークさんは暫し無言だったが、いつもの溜息を飲み込んでから口を開いた。
「条件がある」
お?
ドラゴンさんとの楽しい時間を過ごす為なら、その条件飲みましょう!
「俺の婚約者になれ」
は?
やっぱ飲みません。
「お断りします」
「即答か」
「私に何の得があるんですか?そもそもジークさんと早く離れたいのに、婚約したら一緒にいなきゃいけなくなるじゃないですか!」
ジークさんは私に流し目をよこしながら、意地悪そうに口角をあげた。
「ルナには得ばかりだと思うが?」
「まるで貴方には得が無いような言い方ですね?」
「そうでもない。言った通り、ルナには竜眼がある。危険を察知することが出来るのは俺にとって大きな利点だ」
「では、私が貴方の婚約者になるデメリットは?」
「命を狙われる婚約者を守る手間」
「手間だと言うなら婚約者にしなければ良いでしょう。是非、他の方でお願いします」
腹黒美人の婚約者なんて絶対ごめんだ!
こういう上から男は、ホント女をモノ扱いする。
それまではチヤホヤしておいて、いざオーケーすると途端に掌返した真逆の行動をとる。
釣った魚に餌をやらない男なんて、世の中ゴマンといるのだ。
「それほど手間でもない。ルナ、お前は強いのだろう?」
「強くても、100%命を狙われると分かっているのに、進んで婚約者役になろうとする馬鹿はいないと思います」
何を上から目線で宣うのか。
自分の危機回避に、私を合法的に近場におけるようにしたいだけなのだろう?
近場の警報器扱い。
私にメリットなんて無いじゃん!
「私の納得できる利がありません」
「俺の狂人化の呪いが解ければ開放してやろう。どの道、呪いが解けなければお前も国から追われるだけだ」
確かに、このままでは闇魔法使いとして帝国から追われ、命を狙われることになる。
ジークさんの呪いを解呪できれば、ジークさんも私と一緒に居る必要はなくなるし、私も帝国から追われることは無くなるのよね?
うーん、今だけ共同戦線張るべきか。
「闇魔法使いだと、バレなければいいだけなのでは?」
「残念ながら、既にあのポーションの出所がお前であることは知れている。だからこそ、お前をここに匿っているのだからな。凡そ、闇魔法が付与されていることも調べられているだろう」
まじかー。
遅かりし何がしさん。
お金に目が眩んでクセポを編み出した結果がこれかー。
それにしてもこの人、ああ言えばこう言う。
私の退路を断つのが楽しいのか、ジークさんはご機嫌だ。
「俺の側が一番安全だろうよ」
「むう・・・」
「お前の望みだ、たまに竜の姿になってやらん事もない」
うっ!
そう来たか。
追い詰められた私は、目先の美味しそうな餌に正常な思考回路が吹っ飛んでしまった。
「たまにではダメです!毎日です!それと、ポテ腹を撫でさせるんです!でなきゃ、その役はやりません!」
「・・・いいだろう、交渉成立だな」
むうー。
掌で転がされている気がする。
「さっきから、お前って連発してますよね!」
そう言ってジークさんに指を突き付けた瞬間、ジークさんが眩い光に包まれドラゴンさんに変わった。
「そうだったか?だが、俺ドラゴンであれば問題ないのだろう?」
あざとく、ちびドラに変身したジークさんはしてやったりの口調だった。
くっそう。
ちびドラさんじゃあ怒れない。
私はちびドラさんの首根っこを掴んで膝の上に後ろ向きに座らせると、仕返しとばかりに思いっきりポテ腹を撫でまわした。
「おい、乱暴だぞ」
「何言ってるんですか?婚約者としての触れ合いの一環です」
ちびドラさんは一瞬動きを止めた後、チラッと私を振り返った。
「ほう、お前が触れ合いを求めるのであれば、俺にも考えがある」
むっ。
何か企んでいるな?
ならば受けて立とう。
だが、先ずは私のポテ腹攻撃を存分に味わって貰おう。
本当にマシュマロのような柔らかい揉み心地と、何というか、きゅっきゅっとした肌触りが絶妙なのだ。
ひとしきり堪能させて頂いた後、ハタとある事に気が付いた。
「ところで、無事呪いが解けたら、この契約婚約は解消になるんですよね?」
後ろ向きに座ったままのちびドラさんの耳が、一瞬ピクッと動いた。
「・・・まあ、お前の働き次第だな」
むむ?
解消してくれないの?
「そこ、大事なんで明確にしておきましょう?」
「その時は、お前の好きにすれば良い」
うっし!
言質取りましたー笑。
俄然やる気になってきましたよ。
解呪までの間、ちびドラさんを愛でまくり、解呪の後は国を出て世界を堪能する旅に出る。
そんでもって、人生のパートナーを見つけてハッピー異世界ライフを楽しむのだ。
ちびドラさんの魅惑のポテ腹に目が眩んだ私は、その後、次々と起こる厄介な出来事に後悔する事を分かっていなかったのだった。
基本的にお役御免を狙う私は、とにかく狂人化の呪いを何とかすることを目指したい。
別に腹黒美人と親交を深めたい訳では無いのだ。
「何でそんなにここに来るんですか?」
「ルナも俺から早く離れたいのだろう?だったら、少しでも早く呪いを解く知恵を出さなければな」
「それはそうですが、別にジークさんがここに居なくても調べられますよ?」
最近のジークさんは、私の事をルナと名前で呼ぶようになった。
お前呼びでも構わないけどね、ぶちのめすだけだけど。
「ジークさんと一緒に居ると良い案が浮かびそうにありません。なので、ドラゴンさんになってください」
分かりやすく半眼になるジークさんに、さらに詰め寄って畳みかける。
「ドラゴンさんのお腹を撫でれば、もっと良い案が浮かんで来る筈です!」
「・・・」
ジークさんは暫し無言だったが、いつもの溜息を飲み込んでから口を開いた。
「条件がある」
お?
ドラゴンさんとの楽しい時間を過ごす為なら、その条件飲みましょう!
「俺の婚約者になれ」
は?
やっぱ飲みません。
「お断りします」
「即答か」
「私に何の得があるんですか?そもそもジークさんと早く離れたいのに、婚約したら一緒にいなきゃいけなくなるじゃないですか!」
ジークさんは私に流し目をよこしながら、意地悪そうに口角をあげた。
「ルナには得ばかりだと思うが?」
「まるで貴方には得が無いような言い方ですね?」
「そうでもない。言った通り、ルナには竜眼がある。危険を察知することが出来るのは俺にとって大きな利点だ」
「では、私が貴方の婚約者になるデメリットは?」
「命を狙われる婚約者を守る手間」
「手間だと言うなら婚約者にしなければ良いでしょう。是非、他の方でお願いします」
腹黒美人の婚約者なんて絶対ごめんだ!
こういう上から男は、ホント女をモノ扱いする。
それまではチヤホヤしておいて、いざオーケーすると途端に掌返した真逆の行動をとる。
釣った魚に餌をやらない男なんて、世の中ゴマンといるのだ。
「それほど手間でもない。ルナ、お前は強いのだろう?」
「強くても、100%命を狙われると分かっているのに、進んで婚約者役になろうとする馬鹿はいないと思います」
何を上から目線で宣うのか。
自分の危機回避に、私を合法的に近場におけるようにしたいだけなのだろう?
近場の警報器扱い。
私にメリットなんて無いじゃん!
「私の納得できる利がありません」
「俺の狂人化の呪いが解ければ開放してやろう。どの道、呪いが解けなければお前も国から追われるだけだ」
確かに、このままでは闇魔法使いとして帝国から追われ、命を狙われることになる。
ジークさんの呪いを解呪できれば、ジークさんも私と一緒に居る必要はなくなるし、私も帝国から追われることは無くなるのよね?
うーん、今だけ共同戦線張るべきか。
「闇魔法使いだと、バレなければいいだけなのでは?」
「残念ながら、既にあのポーションの出所がお前であることは知れている。だからこそ、お前をここに匿っているのだからな。凡そ、闇魔法が付与されていることも調べられているだろう」
まじかー。
遅かりし何がしさん。
お金に目が眩んでクセポを編み出した結果がこれかー。
それにしてもこの人、ああ言えばこう言う。
私の退路を断つのが楽しいのか、ジークさんはご機嫌だ。
「俺の側が一番安全だろうよ」
「むう・・・」
「お前の望みだ、たまに竜の姿になってやらん事もない」
うっ!
そう来たか。
追い詰められた私は、目先の美味しそうな餌に正常な思考回路が吹っ飛んでしまった。
「たまにではダメです!毎日です!それと、ポテ腹を撫でさせるんです!でなきゃ、その役はやりません!」
「・・・いいだろう、交渉成立だな」
むうー。
掌で転がされている気がする。
「さっきから、お前って連発してますよね!」
そう言ってジークさんに指を突き付けた瞬間、ジークさんが眩い光に包まれドラゴンさんに変わった。
「そうだったか?だが、俺ドラゴンであれば問題ないのだろう?」
あざとく、ちびドラに変身したジークさんはしてやったりの口調だった。
くっそう。
ちびドラさんじゃあ怒れない。
私はちびドラさんの首根っこを掴んで膝の上に後ろ向きに座らせると、仕返しとばかりに思いっきりポテ腹を撫でまわした。
「おい、乱暴だぞ」
「何言ってるんですか?婚約者としての触れ合いの一環です」
ちびドラさんは一瞬動きを止めた後、チラッと私を振り返った。
「ほう、お前が触れ合いを求めるのであれば、俺にも考えがある」
むっ。
何か企んでいるな?
ならば受けて立とう。
だが、先ずは私のポテ腹攻撃を存分に味わって貰おう。
本当にマシュマロのような柔らかい揉み心地と、何というか、きゅっきゅっとした肌触りが絶妙なのだ。
ひとしきり堪能させて頂いた後、ハタとある事に気が付いた。
「ところで、無事呪いが解けたら、この契約婚約は解消になるんですよね?」
後ろ向きに座ったままのちびドラさんの耳が、一瞬ピクッと動いた。
「・・・まあ、お前の働き次第だな」
むむ?
解消してくれないの?
「そこ、大事なんで明確にしておきましょう?」
「その時は、お前の好きにすれば良い」
うっし!
言質取りましたー笑。
俄然やる気になってきましたよ。
解呪までの間、ちびドラさんを愛でまくり、解呪の後は国を出て世界を堪能する旅に出る。
そんでもって、人生のパートナーを見つけてハッピー異世界ライフを楽しむのだ。
ちびドラさんの魅惑のポテ腹に目が眩んだ私は、その後、次々と起こる厄介な出来事に後悔する事を分かっていなかったのだった。
1
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる