乙女ゲームは始まらない〜闇魔法使いの私はヒロインを降ります〜

えんな

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新生竜牙剣と虹色の竜

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顔を地に付けたまま浅い呼吸を何度も繰り返す。
額には冷や汗が滲み、空気を吸おうにも口から湧き出る血で上手く吸えない。

『ルナ!!ルナ!!』
『しっかりして!』
『ルナ!息をするのだ!』

皆んなが名前を呼んでくれている。
でも、色んな声が聞こえて来て、一体誰のものかよく分からない。

『・・・ルナっ!!』

悲痛なジークさんの声と黒竜さんの咆哮が重なる。
大地が揺れ空気が大きく振動し辺りが暗くなった。
朦朧とする視界に、私に背を向けて怨嗟竜の前に立ちはだかる黒竜さんの背中が映った。

良かった、ジークさん、動けるようになったんだ。

思考も覚束ない身体が、後ろへと引き摺られていく。
よく見えないけれど、クロがボロボロになった私のドレスを咥えている?

『ルナ、ルナ、お願いだよ、しっかりして・・・!』

懇願するようなクロの声がする。
腹這いの私を木陰へと必死に引き摺っている。

暗闇の中、大きな白い光が爆発音と共に幾度も輝いた。
ジークさんが怨嗟竜と戦っているのかな?

『直ぐにそこへ行く。それまで休んでいるんだ』

焦りを含んだジークさんの声が聞こえた。
怨嗟竜と戦いながらも、ジークさんが念話で気遣ってくれる。
応えたいのに返事をする気力さえ無い。

地面を引き摺られて後退る中、薄目で戦いの行方を見守る。
闇夜に浮かぶ怨嗟竜は辺りから夥しい赤黒い靄を集め、掌にゆっくりと渦を創り出した。
地上で待ち受ける黒竜さんは、彼の目の前に白く光る大きな魔法陣を描いている。
赤黒い片眼が眇められた瞬間、怨嗟竜から黒い渦が放たれ黒竜さんに襲いかかる。
黒竜さんに当たる前に白い魔法陣で跳ね返されると思われたが、渦は魔法陣を溶かしてしまった。
泥のように魔法陣を飲み込むと、その先にいる黒竜さんへと黒い渦は濁流となって押し寄せた。
黒い泥は辺りの木や土に触れると、ジュッという音をさせて全てを溶かしていく。
躱そうと黒竜さんが飛び上がったところを、それを見越していた怨嗟竜が上から鉤爪で翼を切り裂いた。

ジークさん・・・!

裂かれた翼は大きく垂れ下がり、羽ばたく事が出来ずに黒竜さんは落下して地面に激突した。

このままではダメだ!

黒竜さんであるジークさんは強い。
だが、身体の大きさや禍々しい魔力を持つあのバケモノの力は強大だ。
その上、黒竜さんは竜の力のひとつである牙を折られてしまっている。
そして、今は翼まで・・・。
この戦いに勝つには、黒竜さんの力を強化する何かが必要だ。

『時始めの竜眼持ちヴァルテンは、竜の魔力を増幅したり引き出したりすることが出来る』

毒ちゃんの言葉が甦る。
私の闇の魔力でジークさんの力を強くする事は出来るのかな?
もう、それ程、力になれる程、魔力は残って無い、ケド・・・。

『ダメよ、クロ!そんな風に引き摺ったりしちゃ!』

ニクスさんがクロを嗜める。
いつも間伸びした話し方のニクスさんが、今はとても深刻そうだ。

仰向けになる力も無く、うつ伏せのまま皆んなの顔を確認しよう横目で周りを伺う。
その時、焦点を合わせづらい視界の端に虹色の輝きが見えた。


・・・なんだろう?

重い意識、重い身体がふわっと浮き上がり、重力を感じなくなった。
ぼやける視界に緑の煌めきが踊り、身体が温かい。
きっと、ニクスさんが身体を包んでくれているんだ。
お礼を言いたいのに、今は念話も難しい。

『あとはジークに任せて、アンタは少し休みなさい』

いつものオバサン口調では無く、優しい口調のニクスさんに口元が緩む。
笑いたいのに喉に迫り上がる血で咳き込んでしまう。
その振動で背中の傷が焼けるように痛い。
瞼も重くなってきた。
吸ってる筈の空気が身体に入って来ない。
息をするのって、こんなに大変な事だったんだ。

重くなった瞼を閉じると、周りの喧騒が聞こえなくなった。
誰の声も聞こえない、静寂の中の暗闇だ。
その闇の中にひとつだけ、光る何かが浮かび上がってきた。
まるで気付いて欲しそうに、少しずその光が強くなってきた。

なんだろう?
さっき見た光?

気力を振り絞り瞼を持ち上げる。
けれども眼を凝らそうとするのに、それが何かよく見えない。

『ニクス、さん・・・、あの光る?とこ、へ、連れてって・・・』

念話も途切れ途切れで、ちゃんと通じているのか・・・。

『光?ジークの牙の事?』

光っていたのはジークさんの折れた牙?

深く考える事が出来ず小さく頷く。
私の身体を揺らさない様に気遣いながら、ニクスさんはゆっくりと私の身体を運んでくれた。

近付くにつれ虹色の光は強くなり、何か音がする?
鈴のような、心地良い音だ。
眼を閉じても光は消える事が無く、音は次第に何か意味のある言葉を紡ぎ出した。

瞼を閉じたまま耳を澄ませる。

『我が半身をその身に宿せるならば、白き竜を目覚めさせる事が叶う。我が半身竜牙剣をお前の魂に突き刺せ。さすれば力は目覚める』

・・・ああ、これは始祖竜さんの声だ。

ニクスさんの温かな風に漂いながら、無意識のうちに近付く虹色の光へ手を伸ばす。

『さあ、稀なる者よ。其方の成すべき事をするが良い』

届いた光の中心に手を入れると、水面の様に虹色の波紋が広がった。

光の先に何かある?

触れた瞬間、それに懐かしさを覚えた。

私はこれを知っている・・・?

それを掴んで引き寄せると、私は瞼を開いた。

目の前にある手の中のそれを見て驚く。 
複雑な模様が施された柄の付いた白い竜の牙。
それは、あの時、過去に渡って無くしてしまった竜牙剣だった。

やっと見つけた!

そうか、この時代の竜牙剣はジークさんの牙から生まれたのか。
つい、愛おしさに刀身を撫でる。

『また会えましたね、竜牙剣さん』

すると剣は、私の言葉に応えて虹色に煌めいた。
バカ聖剣と違い、ニコニコ笑っているみたいで可愛らしい。

『お願い、ジークさんを助けたいの。力を貸して』

もう一度刃を撫でると、剣が放った光の中に古代文字が浮かび上がって来た。
これは始祖竜の魔力を呼び起こす言葉だ。
古代語を習得していないにも関わらず、何故かその意味が分かった。

私は剣先を胸に充てがい眼を瞑った。
ゆっくりと刀身を胸に埋ずめていく。
あの時と同じで痛みは無い。
それどころか胸が温かく、背中の傷も息苦しさも感じなくなった。

けれども、剣が全て私の中へ消えた瞬間、竜の魔力が激流となって身体の中心から溢れ出て来た。
ジークさんと魔力交換した時に感じた竜の魔力とは違い、光と闇の力が互いの周りを踊っている様に大きく波打っている。

『貴女を待っていたよ』

!?

子供のように愛らしい声が身体に響いた。
眼を開けようとしても自分の力で開けることが叶わなかった。
まるで背後から両眼を覆われているような・・・?
不思議と嫌な感じは無かった。

『あの時、僕は大好きな人を守れなかった。でも、今やっとそれが叶うよ』

誰かは分からない声の主は、何だか嬉しそうだ。

『僕とひとつになれる貴女なら出来るよ』

声が私の心に重なった。
守りたいと言う想いに。
身体が軽くなり力が漲る。
自分が何にでもなれ、何処へでも行ける気がした。
そして両眼を見開くと、まるで自分が竜にでもなったように勢い良く夜空を飛んでいた。

空高く飛ぶその視線の先に黒竜さんの背中が見えた。
身体のあちこちが抉られて出血し、翼も破れてその姿は痛々しい。
そして、彼の目の前には、左眼を吹き飛ばされて異様な顔を晒している凶々しい緑竜がいる。
怨嗟竜はその掌に黒い巨大な球状の魔力を募らせ、頭上に掲げていた。
時間が止まっているのか、黒竜さんも怨嗟竜も、周りの空気さえも動きを止めている。

時始めの竜眼持ちヴァルテンは、時を渡ったり、時を止めたり、時間を操る事が出来るのか?

止まった時の中で自分だけが動いている。
もう少しで黒竜さんに手が届きそう。

『ジークさんは私が守りますよ』

黒竜さんの背中の折れた翼に手を当てると、不思議な事に触れた先から温かな光が溢れて来た。

黒竜さんから光が出ている?

虹色の光に包まれた翼が修復されていく。

『ルナ・・・』

ジークさんの声が聞こえて来た。
時が動き出す。
振り返って私を見た黒竜さんの金眼が大きくなる。

『ルナ、なのか・・・?その姿は・・・』


私、変なのか?

確かに、竜牙剣の力で浮いているから普通では無いと思うけれど。
だが、そんな細かい事は後回しだ。

『さあ、ジークさん、あいつをやっつけましょう!』

私の中の竜牙剣よ、ジークさんの為に力を解放して!

眼を閉じ心の中で強く祈る。
黒竜さんの身体から溢れた光は、クルクル回って私たちを包み込んだ。
初めて始祖竜さんと会った時に見た、光の海原にいるみたいだ。
眩しさに眼を閉じたまま、温かく心地良い光に身体を預ける。
すると、ジークさんの強い竜の魔力と混ざりあう不思議な感覚が起こった。
そのまま、その魔力の中に自分が溶けていくような・・・。

眼を開けると、目の前には片眼になった怨嗟竜の妖しく光る赤黒い眼があった。

『貴様、その姿は・・・!』

巨大竜は低く唸りながら牙を剥いた。

『お前を哀しみから解放してやる』

ジークさんの声に彼の思念が頭の中で重なる。
皇帝に対する憐れみと世界を守りたいという慈しみ。
そして、父親を敬愛したかったという親子というものへの憧れ。
彼の感情が私の中に流れてくる。
まるでジークさんと一体化したような感覚だ。

『小僧が、小賢しいわ!!』

掌の黒い巨大な球体に魔力を集めると、怨嗟竜は私たちに向けて投げ放った。
ジークさんが手を前に翳し魔法陣を描く。
その腕は虹色に輝き私を驚かせた。

!?
黒竜さんの手じゃない!

私の心の声にジークさんが笑うのが分かった。

『ルナの力で、俺の中の始祖竜の魔力が呼び起こされたのだ』


どういう事だ?

金色の魔法陣は目の前で大きくなり、やがて三つに分かれて私たちの周りを取り囲んで回り出した。
その中に虹色の古代文字が浮かび煌めいている。
不思議な光景に魅入っていると、怨嗟竜が放った黒い球体が渦巻く濁流となって飛びかかって来た。

・・・!
溶けてしまう!

『大丈夫だ』

息を飲んで身構えた私に、ジークさんは焦る事なく穏やかな声で告げた。
ジークさんに背中から抱きしめられたような、そんな気がした。
息を詰めてじっと見守る。
覆い被さって来た黒い泥が触れると魔法陣は強く輝き、その光で逆に泥を消し去った。

凄い・・・。

そのまま光り続ける魔法陣から虹色の古代文字が剥がれて空に浮き、物凄い速さで怨嗟竜に向かっていった。
虹色の文字は、怨嗟竜の身体に何重にも巻き付く文字の鎖となって奴を締め上げた。

『うぐぐっ!!』

古代文字の戒めはその力を強め、怨嗟竜の身体に深く食い込んでいった。
身体を切られ滲んだ血が古代文字に触れると、戒めは更に光を強めて怨嗟竜の身体を溶かしていった。
痛みに絶叫する怨嗟竜は身を捩り、とうとう地に膝をついた。

『その怨嗟竜は最早役に立たん。さっさと捨てる事だ』

ジークさんが見下ろす先で、木々を薙ぎ倒しながら暴れる怨嗟竜は、拒絶なのか唸りながらも首を左右に振っている。

『愚かな奴だ』

そう言うと、虹色の鱗を煌めかせた手を掲げ、ジークさんは古代語で詠唱を始めた。
風が巻き起こり靄が晴れ、隠されていた星々が現れた。
夜空の星々はジークさんの言葉に応えて瞬くと、流星となって空から落ちて来た。
始めは糸のように細い筋だった光が、次々に地上に流れ落ち、遂には光り輝く滝の如く空から流れ怨嗟竜を飲み込んだ。

『ぎゃあああぁーー!!』

無数の星々の光に揉まれ見えなくなった怨嗟竜の絶叫が響いたが、その声すらも飲まれて聞こえなくなった。

そうして流れ落ちた無数の星たちは、地上に光る湖を創った。
静かに光る水を湛える湖に、ゆっくりとジークさんが近付く。
湖面に映るその姿を見て、私は言葉を失った。

そこには、虹色に輝く鱗を纏った美しい竜の姿が映っていた。
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