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序章 始まりの町
第1話 プロローグ
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「アルト・ロゼンタール、お前はもう必要ない。荷物をまとめて今日中に出ていけ。」
魔道具店の店長から告げられた解雇通知。あまりに突然な話だったので俺は言葉を失った。
もともと俺は下民の家に生まれ、とても裕福とは言えない家庭で育った。魔道具が大好きだったが、とてもそんな高価なものを買ってもらうわけにはいかないので、ゴミ捨て場から漁ってきた壊れかけの魔道具を自力で直して集めていた。
独学で魔道具師のライセンスもとった。
最低水準の給料しか払わない職場にも我慢して勤めた。
劣悪な環境で異常な量の仕事もすべてこなした。
周りの同僚が体を壊して辞めていくその穴もすべて自分が埋め合わせていた。
もちろん毎日朝まで残業したし、残業代が全くでなくても何も言わなかった。
なぜなら、下民である自分を雇ってくれる魔道具店はほかになかったから。小さいころから魔道具を作る仕事に就きたかった。だから、この職場は数少ない自分の好きなことができる職場で、クビにならないように一生懸命働いてきたのに。
「もうお前も成人する頃なのになんで基本の基盤すら満足に作れないんだ?」
「もちろん作れます!やらせてください!」
「お前にできるわけないだろ。ああ全く、なんで下民の出来損ないなんて雇っちまったんだ。」
店長が吐き捨てるように言う。その後も何を言っても聞き入れてはもらえず、仕方なく荷物をまとめて店を出た。
-・-・-・-・-・-・-
今後行く当てもないので、とりあえず今持っているお金を確認する。4年間ここで働いて貯めた銀貨128枚がちゃんとあることを確認する。
その銀貨であと何日生活できるかを計算する。宿屋の一泊の料金はだいたい三食ついて銀貨二枚程度が相場である。多めに見積もって一日生活するのに銀貨4枚程度かかるとして、約一か月は何とか凌げそうだ。
それまでに収入を得る手段を得なければならない。といっても今から専門知識を身に着けて職を得るのはあまり現実的ではない。ということで、明日は商業ギルドに向かった後、いい募集がなかったらその足で冒険者ギルドに向かうことにしよう。
アルトは宿を借り、そのままベッドに横になった。
「はぁ、なんでうまくいかないんだろうなぁ」
-・-・-・-・-・-・-
翌朝、アルトは朝一番で商業ギルドにやってきた。基本的に商業ギルドの求人は朝一番に掲示板に掲載され、条件のいいものはすぐに定員に達してしまう。
募集の張り紙はいくつか掲示されていた。しかし、そのどれもが、『下民お断り』や、『学院卒業者のみ募集』などと書かれており、条件が合うものは一つもなかった。
仕方なく商業ギルドを出て一度街を出る。アルトが今いるこの街には冒険者ギルドは無いため、隣の街、アクマリンに向かう。もちろん隣の街までは道が出来ており、魔物なども出ることは少ないため安全に移動できる。
何台も商人の馬車が通り過ぎて行く中、一際豪華な装飾の施された馬車が通り過ぎていった。おそらくはどこかの貴族の馬車だろう。
馬車を引いているのも普通の馬ではなく、魔道具師によって作られた魔導騎馬だった。通常の馬に比べて安定した速さと操作性を持ち、魔力を安定して供給すればいつまででも走らせ続けることも可能なものだ。
しかし、その複雑な構造のせいで、一般の魔道具師では作ることも直すことも出来ない。アルト自身も2度程しか触ったことはなかった。
よっぽどくらいの高い貴族が乗っているんだろうなぁと思いながら通り過ぎて行く馬車を眺めながらアクマリンへ続く道を歩く。
そしてちょうど先程いた町とアクマリンとの中間に差し掛かったところで、アルトはさっきの馬車を見つける。
何故か馬車は止まっており、御者が慌てて馬車の中にいる人に話しかけていた。
何かあったのかと思い、アルトがそっと近づいてみると魔導騎馬が故障しているのか、馬車の横で倒れていた。
「あの、その馬故障したんですか?」
「ああ、アクマリンに向かうために魔導騎馬で馬車を引いていたんだが、突然馬がバランスを崩して倒れてしまい、何度起こしてもまた倒れてしまってどうしようもなくなってしまったんだ。」
御者の男は心底困ったような表情をして教えてくれる。
「だからここから歩いて向かえば良いと言っているでしょう?」
馬車の中から女性の声が聞こえる。おそらくは貴族の令嬢だろうか。
「そのようなことをメリアお嬢様にさせるわけにはいきません。私めが町で新しい馬を連れて帰ってきますから馬車でお待ちください。」
どうやらさっきこの御者の人が慌てて話しかけていたのはこのお嬢様が歩いて街まで向かうと言ったのを止めていたからだったようだ。
たしかに貴族の令嬢が衛兵などもいない道を歩いていけば攫われたりするだろうし、何より令嬢の家に対して無礼と思われかねない。
しかし声音を聞く限りこの貴族の令嬢は御者が目を離せばすぐにでも馬車から出て歩いていきそうだ。
ということである提案をする。
「あの、その馬はどうするんですか?」
「もう動かなくなってしまったから捨てるほかないだろう。ここに置いて行くつもりだよ。」
「一つ提案なんですけど、その馬を僕に直させてもらえませんかね?」
「構わないが、君はこの馬を直せるのか?」
「一応魔道具師の免許は取っていますし、小さい頃は何度か魔導騎馬に触ったこともあります。町に馬を借りに行くのはその後でもいいんじゃ無いでしょうか?」
「確かにそうだが、あまり時間をかけるわけにはいかない。1時間程度でやってくれ。もしそれまでに間に合いそうになければ諦めてくれ。」
魔道具店の店長から告げられた解雇通知。あまりに突然な話だったので俺は言葉を失った。
もともと俺は下民の家に生まれ、とても裕福とは言えない家庭で育った。魔道具が大好きだったが、とてもそんな高価なものを買ってもらうわけにはいかないので、ゴミ捨て場から漁ってきた壊れかけの魔道具を自力で直して集めていた。
独学で魔道具師のライセンスもとった。
最低水準の給料しか払わない職場にも我慢して勤めた。
劣悪な環境で異常な量の仕事もすべてこなした。
周りの同僚が体を壊して辞めていくその穴もすべて自分が埋め合わせていた。
もちろん毎日朝まで残業したし、残業代が全くでなくても何も言わなかった。
なぜなら、下民である自分を雇ってくれる魔道具店はほかになかったから。小さいころから魔道具を作る仕事に就きたかった。だから、この職場は数少ない自分の好きなことができる職場で、クビにならないように一生懸命働いてきたのに。
「もうお前も成人する頃なのになんで基本の基盤すら満足に作れないんだ?」
「もちろん作れます!やらせてください!」
「お前にできるわけないだろ。ああ全く、なんで下民の出来損ないなんて雇っちまったんだ。」
店長が吐き捨てるように言う。その後も何を言っても聞き入れてはもらえず、仕方なく荷物をまとめて店を出た。
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今後行く当てもないので、とりあえず今持っているお金を確認する。4年間ここで働いて貯めた銀貨128枚がちゃんとあることを確認する。
その銀貨であと何日生活できるかを計算する。宿屋の一泊の料金はだいたい三食ついて銀貨二枚程度が相場である。多めに見積もって一日生活するのに銀貨4枚程度かかるとして、約一か月は何とか凌げそうだ。
それまでに収入を得る手段を得なければならない。といっても今から専門知識を身に着けて職を得るのはあまり現実的ではない。ということで、明日は商業ギルドに向かった後、いい募集がなかったらその足で冒険者ギルドに向かうことにしよう。
アルトは宿を借り、そのままベッドに横になった。
「はぁ、なんでうまくいかないんだろうなぁ」
-・-・-・-・-・-・-
翌朝、アルトは朝一番で商業ギルドにやってきた。基本的に商業ギルドの求人は朝一番に掲示板に掲載され、条件のいいものはすぐに定員に達してしまう。
募集の張り紙はいくつか掲示されていた。しかし、そのどれもが、『下民お断り』や、『学院卒業者のみ募集』などと書かれており、条件が合うものは一つもなかった。
仕方なく商業ギルドを出て一度街を出る。アルトが今いるこの街には冒険者ギルドは無いため、隣の街、アクマリンに向かう。もちろん隣の街までは道が出来ており、魔物なども出ることは少ないため安全に移動できる。
何台も商人の馬車が通り過ぎて行く中、一際豪華な装飾の施された馬車が通り過ぎていった。おそらくはどこかの貴族の馬車だろう。
馬車を引いているのも普通の馬ではなく、魔道具師によって作られた魔導騎馬だった。通常の馬に比べて安定した速さと操作性を持ち、魔力を安定して供給すればいつまででも走らせ続けることも可能なものだ。
しかし、その複雑な構造のせいで、一般の魔道具師では作ることも直すことも出来ない。アルト自身も2度程しか触ったことはなかった。
よっぽどくらいの高い貴族が乗っているんだろうなぁと思いながら通り過ぎて行く馬車を眺めながらアクマリンへ続く道を歩く。
そしてちょうど先程いた町とアクマリンとの中間に差し掛かったところで、アルトはさっきの馬車を見つける。
何故か馬車は止まっており、御者が慌てて馬車の中にいる人に話しかけていた。
何かあったのかと思い、アルトがそっと近づいてみると魔導騎馬が故障しているのか、馬車の横で倒れていた。
「あの、その馬故障したんですか?」
「ああ、アクマリンに向かうために魔導騎馬で馬車を引いていたんだが、突然馬がバランスを崩して倒れてしまい、何度起こしてもまた倒れてしまってどうしようもなくなってしまったんだ。」
御者の男は心底困ったような表情をして教えてくれる。
「だからここから歩いて向かえば良いと言っているでしょう?」
馬車の中から女性の声が聞こえる。おそらくは貴族の令嬢だろうか。
「そのようなことをメリアお嬢様にさせるわけにはいきません。私めが町で新しい馬を連れて帰ってきますから馬車でお待ちください。」
どうやらさっきこの御者の人が慌てて話しかけていたのはこのお嬢様が歩いて街まで向かうと言ったのを止めていたからだったようだ。
たしかに貴族の令嬢が衛兵などもいない道を歩いていけば攫われたりするだろうし、何より令嬢の家に対して無礼と思われかねない。
しかし声音を聞く限りこの貴族の令嬢は御者が目を離せばすぐにでも馬車から出て歩いていきそうだ。
ということである提案をする。
「あの、その馬はどうするんですか?」
「もう動かなくなってしまったから捨てるほかないだろう。ここに置いて行くつもりだよ。」
「一つ提案なんですけど、その馬を僕に直させてもらえませんかね?」
「構わないが、君はこの馬を直せるのか?」
「一応魔道具師の免許は取っていますし、小さい頃は何度か魔導騎馬に触ったこともあります。町に馬を借りに行くのはその後でもいいんじゃ無いでしょうか?」
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