3 / 59
序章 始まりの町
第3話 予感
しおりを挟む
翌日の朝、アルトは冒険者ギルドにやってきていた。朝の早い時間だからか、自分の他にはほとんど誰もおらず、スムーズに登録できそうだった。
のだが…
「なぜ初心者向けのダンジョンにゴーレムが出現してるんだ!」
「分かりませんが、早く救出に行かなければ最悪死者も…」
「ただの冒険者じゃ厳しいだろう!せめて戦闘もできる魔道具師がいなければ足止めすらできない!」
「救出だけならなんとかなるでしょう!」
ギルドの職員は慌ただしく動き回っており、通信の魔道具に向かって話し続けていた。
アルトは恐る恐るカウンターの職員に話しかけた。
「あのー、何かあったんですか?」
職員の人は顔をこちらに向けず、しかし丁寧に事情を説明してくれた。
「実は先程エクーアの洞窟という初心者向けのダンジョンに向かっていたFランクのパーティーから救助要請が出た。その内容が、属性を複数持ったゴーレムが出現したから手に負えないため救出隊を派遣して欲しいといったものだった。だが、ゴーレムは古代に作られた戦闘用の自律型魔道具の複製体であるため、魔道具の知識を持っている者がいないと討伐は難しいんだ。」
アルトは自身の記憶の中からゴーレムの特徴を思い浮かべる。
(ゴーレムは確か体の駆動部に炎と風の魔力が付与されていたな。そのほかは土と闇と炎でものすごく硬く、軽く、あらゆる耐性の高い装甲で覆われていたはず。)
「あの、つい昨日まで自分魔道具店で働いてたので魔道具の知識は持ってますし、いざとなれば戦闘もできるんですけど…」
「え!?本当か!?それなら協力をお願いしたいんだが…戦闘は高ランクの冒険者に任せても全然大丈夫だから後ろからサポートやアドバイスなどお願いできないか?」
「かまいませんよ。準備してきますね。」
アルトは一度ギルドを出て路地裏に入っていった。そして自分の収納の魔道具の中身を確認する。多種多様な魔道具の中から属性剣と光属性の回復結界、操空の指輪を取り出しそれぞれ身に着ける。
装備を整えて再びギルドの中に入ると、続々と冒険者たちが集まり始めていて、アルトと何人かがギルドの職員に探し回られていた。
アルトはその職員のもとに行き、ほかの冒険者の到着を待った。しばらく待っていると、Aランクの冒険者パーティーがやってきた。
「かなり遅くなってしまって申し訳ない。さすがに王国を縦断する移動は龍車でも時間がかかってしまった。」
「いえいえ、むしろ救援要請を聞いてすぐに準備してきてくださってありがとうございます!今回はあなた方【ドラゴンナイツ】と、こちらのアルト・ローゼンタール様で救出作戦を実行いたします。ほかの冒険者たちもあなた方の消耗をできる限り少なくするために4パーティーが先行することになっております。」
ギルドの職員が到着した主力のAランクパーティーのリーダーに作戦の概要を説明した。
「・・・という作戦で行動していく予定です。」
「説明ありがとうございます。一つ聞きたいのですが、そちらの魔道具師さんは戦闘のほうは?」
急にはなしを振られたアルトはドキッとしながらも答える。
「え、っと、魔道具の素材を取りに何度かダンジョンに単独で潜ってたこともあるのでそこそこは戦えます。」
「ありがとう。基本的には俺と俺の横にいる重装備のランサーが前衛を受け持つから、君は君の横にいるガンナーと聖女と同じ場所から援護してくれ。もし不足の事態が起きた場合は君の判断で自由に後衛の二人を動かしてくれていい。お互い最善を尽くそう。」
金髪のイケメンリーダーはそう言ってアルトに握手を求める。アルトもその手を固く握る。その横ではガタイのいいランサーが自分の武器を磨き、ガンナーと聖女は女子同士で仲良く装備品の不備がないかチェックしながら作戦をおさらいしていた。
「さて、救援要請に応じ集まっていただいた冒険者の方々、本当にありがとうございます!今回の作戦では皆様に【ドラゴンナイツ】の方々がゴーレムの元まで一切消耗しないよう援護していただくことになります。ゴーレムとの戦闘が始まった際には、その周辺にてほかのモンスターからの妨害を全力で阻止してください!」
「「「了解!」」」
「冒険者の卵を太古の遺物のもとから救い出しましょう!健闘を祈ります!」
ギルド職員の冒険者を鼓舞する演説が終わり、いざダンジョンに向かおうというところでさっきのイケメンリーダーに呼び止められる。
「すまないが、我々と一緒の龍車に乗ってくれないかな?」
「かまわないですけど、いいんですか?」
「むしろ今から背中を合わせる仲間に俺たちのことを知ってもらいたいし君のこともできうる限り教えてほしい。」
「分かりました。」
アルトは彼らが乗ってきた龍車に乗り込んだ。龍車の中は広くも狭くもない、ちょうどよい広さになっており、五人乗っても全く息苦しくなかった。
「さて、早速なんだけど、それぞれ自己紹介をしていこうか。俺はライム・エヴォード。【ドラゴンナイツ】のリーダーで、刀使いだ。
「俺はギッツ・リーンドン。見ての通りランサーだ。このパーティーの盾だ。」
「あたしはメリッカ・ワットソン。中・遠距離を担当するガンナーよ。このチームの矛らしいわ。」
「私の名前はアイラ・ジェインです。このパーティーの回復担当です。」
「さて、君の自己紹介もお願いできるかな?」
アルトは自分の魔道具師ライセンスを見せながら自己紹介をする。
「俺の名前はアルト・ロゼンタール。魔道具師です。」
アルトの自己紹介が終わるとメリッカというかなり小柄の女の子(大人なのかも?)が背中に担ぐとんでもなく長い魔法銃を見せる。
「あなたがどの程度の魔道具師か見てあげるわ。あたしの相棒を鑑定してみなさい?」
のだが…
「なぜ初心者向けのダンジョンにゴーレムが出現してるんだ!」
「分かりませんが、早く救出に行かなければ最悪死者も…」
「ただの冒険者じゃ厳しいだろう!せめて戦闘もできる魔道具師がいなければ足止めすらできない!」
「救出だけならなんとかなるでしょう!」
ギルドの職員は慌ただしく動き回っており、通信の魔道具に向かって話し続けていた。
アルトは恐る恐るカウンターの職員に話しかけた。
「あのー、何かあったんですか?」
職員の人は顔をこちらに向けず、しかし丁寧に事情を説明してくれた。
「実は先程エクーアの洞窟という初心者向けのダンジョンに向かっていたFランクのパーティーから救助要請が出た。その内容が、属性を複数持ったゴーレムが出現したから手に負えないため救出隊を派遣して欲しいといったものだった。だが、ゴーレムは古代に作られた戦闘用の自律型魔道具の複製体であるため、魔道具の知識を持っている者がいないと討伐は難しいんだ。」
アルトは自身の記憶の中からゴーレムの特徴を思い浮かべる。
(ゴーレムは確か体の駆動部に炎と風の魔力が付与されていたな。そのほかは土と闇と炎でものすごく硬く、軽く、あらゆる耐性の高い装甲で覆われていたはず。)
「あの、つい昨日まで自分魔道具店で働いてたので魔道具の知識は持ってますし、いざとなれば戦闘もできるんですけど…」
「え!?本当か!?それなら協力をお願いしたいんだが…戦闘は高ランクの冒険者に任せても全然大丈夫だから後ろからサポートやアドバイスなどお願いできないか?」
「かまいませんよ。準備してきますね。」
アルトは一度ギルドを出て路地裏に入っていった。そして自分の収納の魔道具の中身を確認する。多種多様な魔道具の中から属性剣と光属性の回復結界、操空の指輪を取り出しそれぞれ身に着ける。
装備を整えて再びギルドの中に入ると、続々と冒険者たちが集まり始めていて、アルトと何人かがギルドの職員に探し回られていた。
アルトはその職員のもとに行き、ほかの冒険者の到着を待った。しばらく待っていると、Aランクの冒険者パーティーがやってきた。
「かなり遅くなってしまって申し訳ない。さすがに王国を縦断する移動は龍車でも時間がかかってしまった。」
「いえいえ、むしろ救援要請を聞いてすぐに準備してきてくださってありがとうございます!今回はあなた方【ドラゴンナイツ】と、こちらのアルト・ローゼンタール様で救出作戦を実行いたします。ほかの冒険者たちもあなた方の消耗をできる限り少なくするために4パーティーが先行することになっております。」
ギルドの職員が到着した主力のAランクパーティーのリーダーに作戦の概要を説明した。
「・・・という作戦で行動していく予定です。」
「説明ありがとうございます。一つ聞きたいのですが、そちらの魔道具師さんは戦闘のほうは?」
急にはなしを振られたアルトはドキッとしながらも答える。
「え、っと、魔道具の素材を取りに何度かダンジョンに単独で潜ってたこともあるのでそこそこは戦えます。」
「ありがとう。基本的には俺と俺の横にいる重装備のランサーが前衛を受け持つから、君は君の横にいるガンナーと聖女と同じ場所から援護してくれ。もし不足の事態が起きた場合は君の判断で自由に後衛の二人を動かしてくれていい。お互い最善を尽くそう。」
金髪のイケメンリーダーはそう言ってアルトに握手を求める。アルトもその手を固く握る。その横ではガタイのいいランサーが自分の武器を磨き、ガンナーと聖女は女子同士で仲良く装備品の不備がないかチェックしながら作戦をおさらいしていた。
「さて、救援要請に応じ集まっていただいた冒険者の方々、本当にありがとうございます!今回の作戦では皆様に【ドラゴンナイツ】の方々がゴーレムの元まで一切消耗しないよう援護していただくことになります。ゴーレムとの戦闘が始まった際には、その周辺にてほかのモンスターからの妨害を全力で阻止してください!」
「「「了解!」」」
「冒険者の卵を太古の遺物のもとから救い出しましょう!健闘を祈ります!」
ギルド職員の冒険者を鼓舞する演説が終わり、いざダンジョンに向かおうというところでさっきのイケメンリーダーに呼び止められる。
「すまないが、我々と一緒の龍車に乗ってくれないかな?」
「かまわないですけど、いいんですか?」
「むしろ今から背中を合わせる仲間に俺たちのことを知ってもらいたいし君のこともできうる限り教えてほしい。」
「分かりました。」
アルトは彼らが乗ってきた龍車に乗り込んだ。龍車の中は広くも狭くもない、ちょうどよい広さになっており、五人乗っても全く息苦しくなかった。
「さて、早速なんだけど、それぞれ自己紹介をしていこうか。俺はライム・エヴォード。【ドラゴンナイツ】のリーダーで、刀使いだ。
「俺はギッツ・リーンドン。見ての通りランサーだ。このパーティーの盾だ。」
「あたしはメリッカ・ワットソン。中・遠距離を担当するガンナーよ。このチームの矛らしいわ。」
「私の名前はアイラ・ジェインです。このパーティーの回復担当です。」
「さて、君の自己紹介もお願いできるかな?」
アルトは自分の魔道具師ライセンスを見せながら自己紹介をする。
「俺の名前はアルト・ロゼンタール。魔道具師です。」
アルトの自己紹介が終わるとメリッカというかなり小柄の女の子(大人なのかも?)が背中に担ぐとんでもなく長い魔法銃を見せる。
「あなたがどの程度の魔道具師か見てあげるわ。あたしの相棒を鑑定してみなさい?」
0
あなたにおすすめの小説
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて
碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。
美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。
第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる