不遇の魔道具師と星の王

緑野 りぃとる

文字の大きさ
16 / 59
序章 始まりの町

第16話 子供用の魔道具

しおりを挟む
「メリッカさん、女の子が欲しいって言いそうな魔道具ってなんだと思います?」
「レールガン。」
「十歳くらいの女の子ですよ!?」
「スタイル矯正器」
「それはメリッカさんが欲しいものですよね。」
「つまり、アルト少年は私がチビだって言いたいのかな?」
「いや、そうは言ってないじゃないですか!」

 メリッカは冗談なのか本気なのかわからないことを言ってきた。

「でもまぁ、私はあんくらいの時にはもうすでに恋人は銃だったから普通の女の子みたいな感性は持ち合わせてないわよ。」
「そうですか。」

 メリッカさんはない胸を張りながらそう言った。仕方がないので俺はアイラさんに相談しにいくことにした。

「ふふっ、たしかにメリーは女の子らしくない性格してるわね。せっかく小柄で可愛らしい見た目をしてるのに、恋人が銃だなんてもったいないと思うんだけどね。」
「確かに、見た目と中身が全然一致してないですもんね。」
「あんまりメリーの目の前でそんなこと言っちゃダメよ?世界の果てまで追い回されちゃうから。」

 アイラさんは笑いながら話し続けた。

「それで、あの女の子に魔道具が欲しいって言われたけど、子供にどんなものを渡して良いかわからない、だったっけ?」
「はい。なので同じ女性にアドバイスもらおうかと。」
「なるほどねぇ。とりあえず、簡単なものをあげたら?」
「簡単なものですか?」
「そ、多分だけど、ドワーフの子供っていうのは誰かが作った作品を真似して、自分で同じようなものを作ってみたがるものなのよ。」
「そうなんですか。だったらマネして作っても危なくないもののほうがいいですよね?」
「簡単に照明の魔道具とかでいいんじゃないかな?そこらへんは女の子の感情というよりはドワーフの子供の感情だからあまりよくわからないけど。」
「ありがとうござます!早速作ってきます!」

 俺はアイラさんの貴重なアドバイスを参考にして結界の魔道具で作り出した工房に潜り、何種類か照明の魔道具を作った。その中で、きわめて一般的な構造の照明の魔道具を選び、ドワーフの女の子に渡すことにした。

~~~~~~~~

 夕方、俺たちは屋敷の食堂に集まり夕食を食べていた。コックなどはまだいないため、ギッツとメリッカが一緒に今ある食材に加えて、野営のために蓄えていた食料や調味料を使って料理してくれた。

 とてもある食材だけで作ったと話思えないくらいおいしかった。

「ギッツさん、これってなんの肉ですか?」
「ああ、たまたまこの屋敷の外に広がっている森にフレアバードがいてな。メリッカに頼んで3羽狩ってきてもらったんだ。なかなか肉質も硬すぎず柔らかすぎない、ちょうどいい感じだろう?」
「そうですね。全然筋張っていないですし、魔物の肉特有の筋張った感じがないです。」
「ギッツは俺が王宮にいたころに斥候兵として働いていたんだよ。軍の最前線で情報を取り続けないといけないから食料も自足しないといけない。そのおかげで料理は王宮の料理長もびっくりするほどの腕になってたみたいだ。」

 俺はギッツさんの意外な一面を知り、少しうれしくなった。

・・・・ん?王宮にいたころ?

「あぁ、言い忘れてたっけ。俺はスイレン王国のいわゆる王子で、ギッツはスイレン王国軍の斥候部隊副隊長。メリッカは狙撃部隊のエースで、アイラは修道士部隊の副隊長だよ。」
「あのー、今更そんな大きな話をされても困るんですが…」
「特に気にしなくていいよ。どうせ俺は国王にはならないし、ほかの3人も戦争が起きない限りずっと自由に動き回れる身分だからね。」
「いや、そういうことじゃなくて…一般人の俺がこの国の重要人物と一緒にいてよかったのかって話ですよ。」
「それこそいらない心配だよ。俺以外はみんな元平民だし、実力派は軍に嫌われるからむしろこうやって君と一緒にいたほうが楽なんだ。」

 王国の重要人物たちはそう言って笑った。マリアは特に何も思っていないようだったが、下民の俺は内心とんでもなくひやひやしていた。アイアンゴーレム戦の時はかなり偉そうに指示出していたし、ライムさんには舐めた真似をしていたかもしれない。

「それに、いま俺たちは身分なんて関係ない冒険者だ。唯一問われるのは各々の実力だけだ。それに関しては、君は俺たちと同等、もしくは上だろう?」
「そうですね。アルトさんはもしかしたら私よりも強いかもしれないですし。」

 マリアが話に割り込んできた。

「アルトさんがいれば一騎当千、皆さんがそろえば一国の軍とも対等にやり合えるに違いありません。」
「まぁ、そんなことにはならないと思うけどね。でも確かにアルト君はまだまだ経験が浅いにもかかわらず俺たちと同じかそれ以上に戦える。それが君と俺たちが対等であるという証明でもある。だから気にせずこれからもよろしく頼むよ。」

 ライムさんはいつもの爽やかな笑顔でそう言って食事を続けた。俺もせっかくそう言ってもらったので、これまで通りに接することにしようと思う。

 子供たちは難しい話をしていると思ったのか、一切こちらには聞き耳を立てず黙々とご飯を食べていた。久しぶりの温かいご飯だったからだろうか、大人の俺たちよりもたくさん食べていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

さようなら、お別れしましょう

椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。  妻に新しいも古いもありますか?  愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?  私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。  ――つまり、別居。 夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。  ――あなたにお礼を言いますわ。 【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる! ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙はお借りしたものです。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

処理中です...