22 / 59
第一章 龍殺しの騎士
第22話 新たな依頼
しおりを挟む
「ということで、今日から俺と一緒に働いてもらうことになったサーシャです。」
「皆さん、よ、よろしくお願いします!」
俺は早速拠点にいるみんなにサーシャのことを紹介することにした。ドラゴンナイツは王国の中でもかなり有名なパーティーであり、俺も彼女に彼らと一緒に活動していることを言い忘れてしまったため、彼女は非常に緊張していた。
「はじめまして。このパーティーでリーダーをやっているライムだ。ようこそ、ドラゴンナイツへ。」
ライムさんはいつも通りのさわやかな笑顔と共にサーシャに右手を差し出した。サーシャは恐る恐ると言った感じでその手を掴み握手した。
「で、アルト。彼女にはここで何をしてもらうのかな?」
「とりあえずはメリッカさんの魔道具の整備をお願いしようか思ってます。」
「ランページとリーパーを整備してもらうの?」
「リーパーは僕のですよ?」
「いや!アタシが持ってるからもうアタシのよ!」
メリッカさんはリーパーを抱えながらそう言った。俺も冗談で言ったし、他の人もそれが分かったからか、みんな可笑しくて声を上げて笑ってしまった。
「冗談ですよ。でも、しばらくはリーパーは返してください。いろいろと手を加えたいこともあるので。それが済めばすぐにまた返しますから。」
俺はメリッカさんを説得してリーパーを一度返してもらう。そのリーパーをみたサーシャはとても珍しいものを見たかのような表情をした。
「先生、それは?」
「これは超高威力対物ライフル『リーパー』だよ。あんまりにも威力が高かったからこのパーティーに入るまではずっと隠してたんだ。」
「ちょっと失礼しますね。」
サーシャは俺からリーパーを受け取ってまじまじと観察を始めた。
「ボディーは鉄製、内部は風属性が微量付与されたクロムとニッケルの合金…。随分と中の機構も一般的なものとは違った特殊なものになっていますね。弾の発射をより正確かつスムーズに行うための工夫がされています。少し重いですが、その欠点を考慮しても私が知っている魔導銃の中では一番実用的な銃だと思います。」
リーパーを観察しながらすらすらと言葉を発し続けるサーシャ。しかも彼女が言っていることはすべて俺が意図して改変した設計だったりするので余計に驚いてしまう。
「う、うん。その通りだよ。いろいろと試してその設計になったんだ。ニッケルとクロムの合金だけでも耐摩耗性は十分なんだけどより摩擦を減らしつつ弾に回転を加えるために風の魔力を付与したんだ。そうすることでより長い距離を弾は直進してくれるし、銃の寿命も長くなるからね。他にも排莢部にも風の魔力を付与してコッキングしやすくしたり、いろいろと魔力を付与して最適化してある部分はたくさんあるよ。」
「なるほど、ただ魔力を付与するのではなく、その部品に最適な属性を最適な量だけ付与するんですね。勉強になります!」
彼女はメモを取り出してさらさらとメモを取り始めた。非常に勉強熱心な彼女だからすぐにランページの機構も理解してより正確な整備をしてくれるだろう。
「さて、アルト。師弟の会話を遮ってしまって悪いんだが、明後日から緊急の依頼に出発しなければいけなくなった。そのための打ち合わせを始めたいんだかいいかい?」
「すいません。どうぞ。」
ライムさんはポーチから依頼書と地図を取り出してテーブルに広げた。
「今回届いた依頼は王宮からの依頼だ。内容は王国の北部に位置するモグリット山に突如出現した邪龍の討伐だ。邪龍が放出している瘴気によって近隣の村落の住民はかなりの被害を被っているそうだ。王都の魔導師隊はいま別件で王都を離れており、俺たちドラゴンナイツ単独での作戦になる。邪龍についての情報は一切ない。王都に存在するあらゆる文献にも邪龍の記述はないため、偵察から始めないといけない。」
ライムさんが真面目な表情で説明している中、メリッカさんはギッツさんにちょっかいをかけて遊び、ギッツさんはそれに必死に耐えながら真面目な表情を保っていた。
「あの、発言してもよろしいでしょうか?」
「マリアさん、遠慮しなくていいんですよ?」
「では失礼して。これまで邪龍は我々ヴァルハラの一族が討伐してきました。人々に邪龍の存在を知られることで起こる災禍を防ぐために。」
「災禍?」
「はい。龍種に異端者の血が混ざりこむことで邪龍へと変わります。邪龍に変わってしまった龍種は理性がなくなってしまい、暴走状態になってしまうため、通常の龍種よりも危険な存在になります。邪龍に変わってしまったとはいえ龍種であることには変わりはありません。人間の伝承の中には龍の肉を喰らうことでさらなる力を得ることができるといわれていますが、龍種の肉を喰らうことでそれ以上の力を得ることができてしまいます。」
マリアは飛んできたハエをつかみ、説明を続ける。
「しかし、それによって得られる魔力は龍種の肉を喰らって得られるものとは比べ物にならないくらい莫大な量で、とてもにんげんの許容量に収まり切れません。そして許容量を超える魔力を摂取してしまうと…」
マリアがつかんでいたハエが突然爆散する。
「このように破裂してしまいます。ですが、それよりもっと恐ろしいのが魔人が誕生してしまうことがあることです。」
「魔人は知っているぞ。人の何十倍もの魔力を保有し、自身の破壊衝動に従って破壊の限りを尽くす存在。それが生まれてしまうのか?」
ギッツさんが身振り手振りしながら話に割り込んでいく。
「その通りです。今まではその魔人が生まれてしまわないように我々ヴァルハラの一族が陰で邪龍を討伐してきました。しかし…」
「そのヴァルハラの一族がもうマリア一人になってしまったわけだ。」
ライムさんがマリアの話の核心をついていく。
「マリアさんはこの中で一番戦える人間だ。正直なところこのメンツで勝てると思うか?」
「・・・」
ライムさんの問いに黙り込んでしまうマリア。
「正直なところ、火力不足は否めません。ライムさんは対人、一対多には長けていますが、対龍となってくると圧倒的に火力が足りません。アルトさんは火力は十分ですが、その火力を出すための訓練がまだ足りていないので出し切れるかどうか怪しいので必然的に前衛は私とライムさん、タンク役にギッツさんの三人になってしまいます。どれほどアイラさんの治癒魔法が優れていても前衛を三人だけで回せるとは思えないのが今の正直な意見です。」
ドラゴンナイツの拠点に非常に重たい空気が流れてしまうのであった。
「皆さん、よ、よろしくお願いします!」
俺は早速拠点にいるみんなにサーシャのことを紹介することにした。ドラゴンナイツは王国の中でもかなり有名なパーティーであり、俺も彼女に彼らと一緒に活動していることを言い忘れてしまったため、彼女は非常に緊張していた。
「はじめまして。このパーティーでリーダーをやっているライムだ。ようこそ、ドラゴンナイツへ。」
ライムさんはいつも通りのさわやかな笑顔と共にサーシャに右手を差し出した。サーシャは恐る恐ると言った感じでその手を掴み握手した。
「で、アルト。彼女にはここで何をしてもらうのかな?」
「とりあえずはメリッカさんの魔道具の整備をお願いしようか思ってます。」
「ランページとリーパーを整備してもらうの?」
「リーパーは僕のですよ?」
「いや!アタシが持ってるからもうアタシのよ!」
メリッカさんはリーパーを抱えながらそう言った。俺も冗談で言ったし、他の人もそれが分かったからか、みんな可笑しくて声を上げて笑ってしまった。
「冗談ですよ。でも、しばらくはリーパーは返してください。いろいろと手を加えたいこともあるので。それが済めばすぐにまた返しますから。」
俺はメリッカさんを説得してリーパーを一度返してもらう。そのリーパーをみたサーシャはとても珍しいものを見たかのような表情をした。
「先生、それは?」
「これは超高威力対物ライフル『リーパー』だよ。あんまりにも威力が高かったからこのパーティーに入るまではずっと隠してたんだ。」
「ちょっと失礼しますね。」
サーシャは俺からリーパーを受け取ってまじまじと観察を始めた。
「ボディーは鉄製、内部は風属性が微量付与されたクロムとニッケルの合金…。随分と中の機構も一般的なものとは違った特殊なものになっていますね。弾の発射をより正確かつスムーズに行うための工夫がされています。少し重いですが、その欠点を考慮しても私が知っている魔導銃の中では一番実用的な銃だと思います。」
リーパーを観察しながらすらすらと言葉を発し続けるサーシャ。しかも彼女が言っていることはすべて俺が意図して改変した設計だったりするので余計に驚いてしまう。
「う、うん。その通りだよ。いろいろと試してその設計になったんだ。ニッケルとクロムの合金だけでも耐摩耗性は十分なんだけどより摩擦を減らしつつ弾に回転を加えるために風の魔力を付与したんだ。そうすることでより長い距離を弾は直進してくれるし、銃の寿命も長くなるからね。他にも排莢部にも風の魔力を付与してコッキングしやすくしたり、いろいろと魔力を付与して最適化してある部分はたくさんあるよ。」
「なるほど、ただ魔力を付与するのではなく、その部品に最適な属性を最適な量だけ付与するんですね。勉強になります!」
彼女はメモを取り出してさらさらとメモを取り始めた。非常に勉強熱心な彼女だからすぐにランページの機構も理解してより正確な整備をしてくれるだろう。
「さて、アルト。師弟の会話を遮ってしまって悪いんだが、明後日から緊急の依頼に出発しなければいけなくなった。そのための打ち合わせを始めたいんだかいいかい?」
「すいません。どうぞ。」
ライムさんはポーチから依頼書と地図を取り出してテーブルに広げた。
「今回届いた依頼は王宮からの依頼だ。内容は王国の北部に位置するモグリット山に突如出現した邪龍の討伐だ。邪龍が放出している瘴気によって近隣の村落の住民はかなりの被害を被っているそうだ。王都の魔導師隊はいま別件で王都を離れており、俺たちドラゴンナイツ単独での作戦になる。邪龍についての情報は一切ない。王都に存在するあらゆる文献にも邪龍の記述はないため、偵察から始めないといけない。」
ライムさんが真面目な表情で説明している中、メリッカさんはギッツさんにちょっかいをかけて遊び、ギッツさんはそれに必死に耐えながら真面目な表情を保っていた。
「あの、発言してもよろしいでしょうか?」
「マリアさん、遠慮しなくていいんですよ?」
「では失礼して。これまで邪龍は我々ヴァルハラの一族が討伐してきました。人々に邪龍の存在を知られることで起こる災禍を防ぐために。」
「災禍?」
「はい。龍種に異端者の血が混ざりこむことで邪龍へと変わります。邪龍に変わってしまった龍種は理性がなくなってしまい、暴走状態になってしまうため、通常の龍種よりも危険な存在になります。邪龍に変わってしまったとはいえ龍種であることには変わりはありません。人間の伝承の中には龍の肉を喰らうことでさらなる力を得ることができるといわれていますが、龍種の肉を喰らうことでそれ以上の力を得ることができてしまいます。」
マリアは飛んできたハエをつかみ、説明を続ける。
「しかし、それによって得られる魔力は龍種の肉を喰らって得られるものとは比べ物にならないくらい莫大な量で、とてもにんげんの許容量に収まり切れません。そして許容量を超える魔力を摂取してしまうと…」
マリアがつかんでいたハエが突然爆散する。
「このように破裂してしまいます。ですが、それよりもっと恐ろしいのが魔人が誕生してしまうことがあることです。」
「魔人は知っているぞ。人の何十倍もの魔力を保有し、自身の破壊衝動に従って破壊の限りを尽くす存在。それが生まれてしまうのか?」
ギッツさんが身振り手振りしながら話に割り込んでいく。
「その通りです。今まではその魔人が生まれてしまわないように我々ヴァルハラの一族が陰で邪龍を討伐してきました。しかし…」
「そのヴァルハラの一族がもうマリア一人になってしまったわけだ。」
ライムさんがマリアの話の核心をついていく。
「マリアさんはこの中で一番戦える人間だ。正直なところこのメンツで勝てると思うか?」
「・・・」
ライムさんの問いに黙り込んでしまうマリア。
「正直なところ、火力不足は否めません。ライムさんは対人、一対多には長けていますが、対龍となってくると圧倒的に火力が足りません。アルトさんは火力は十分ですが、その火力を出すための訓練がまだ足りていないので出し切れるかどうか怪しいので必然的に前衛は私とライムさん、タンク役にギッツさんの三人になってしまいます。どれほどアイラさんの治癒魔法が優れていても前衛を三人だけで回せるとは思えないのが今の正直な意見です。」
ドラゴンナイツの拠点に非常に重たい空気が流れてしまうのであった。
0
あなたにおすすめの小説
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて
碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。
美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。
第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる