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第一章 龍殺しの騎士
第25話 爆破実験
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道中ハプニングは起こったものの、日が昇る頃には目的地の山岳地帯にたどり着くことができた。そこは本当に岩しかなく、一切緑はなく人が住めるような獲物もいなかった。
一応駆け足で周りの様子を見て回ったが、特に人がいる様子もなかった。
爆破実験を始めるための準備を始めることにする。みんなが見ている場所には分厚い鉄の板で作った壁を何枚も立てて爆風で飛ばされないように簡易的なシェルターを作った。
爆弾はかなり離れた山の頂上に設置し、様子を見やすく、出来るだけ安全に実験できるように工夫した。
十分な距離を空け、みんながシェルターの中にいることを確認して俺もシェルターに入る。シェルターの中に望遠鏡をいくつか設置して、ついに爆破のカウントダウンを始める。
「さぁ、始めますよ!5・4・3...」
みんなも固唾を飲んで見守る。
「2・1...」
俺も少し手を振るわせて起爆のスイッチを握りしめる。
「0!」
俺は起爆のスイッチを勢いよく押し込んだ。
ドゴォーーーン!!!!
凄まじい爆音と衝撃波で、簡易的なシェルターがビリビリと揺れる。あたり一面白と黒の光で満たされ、望遠鏡では頂上の様子を見ることはできなかった。
しばらく経って光が収まり、次第に視界も回復してくる。見えるようになった目で頂上を見ようと顔を上げる。
しかし、俺が見上げた先には見えるはずだったがなかった。爆発の衝撃波と光で方向感覚が狂ってしまったのかと思い、周りを見渡す。
しかし、どこにも爆弾を設置した山が見当たらない。もう一度最初に見た方向を向き直し、様子を詳しく見てみる。
たしかに、大きなクレーターのようなものができており、その表面には俺の黒炎がところどころに残っている。
「せ、せんせぇ…」
「アルト君…」
「アルト様…」
「うわぁぁ…」
サーシャ、セイリウムさん、アメリアさんは3人とも腰を抜かして座り込んでいた。一方メリッカさんは目をキラキラ光らせていた。
この状況から判断するに、頂上に設置した爆弾は硬い岩でできた大きな山を吹き飛ばしたということになるだろう。
これ1つでこの威力なら、20個も降らせば間違いなくこの山岳地帯を丸ごと更地に出来るだろう。あとはこの爆弾を積んで飛んでいく弾丸、ミサイルを作ってしまえばマリアが言っていた目標に到達できる。
「さすがです先生!これでマリア様のおっしゃっていた目標も達成できますね!」
「うん、あとはどうやってこの爆弾を飛ばすかってところだけどそこはなんとかなると思う。」
「目標?」
俺とサーシャが話している内容にピンとこなかったのか、セイリウムさんとアメリアさんが揃って首を傾げる。
「国王からの依頼で邪竜を討伐することになって、火力不足を補うために魔導兵器を作ろうとしてるんですよ。」
「へぇー、魔導兵器をね…」
セイリウムさんは歯切れが悪そうに何度も繰り返した。
「何か問題ありましたか?」
「あぁ、ごめんごめん。最近半端な魔道具が出回って事故が起きているんだよね。中には死亡事故も何件か発生してる。それをちょっと思い出してしまったんだ。」
「それ俺も聞きました。出所はわかってないんですか?」
「それが全くわからないんだよ。そもそもただ質が悪いだけなのか、意図的に事故を起こしているのかすらも全く分からない。」
「もしその魔道具があったら見せてもらえませんかね?」
「もちろんだよ。君みたいな優秀な専門家の意見は是非とも聞きたい。」
俺は後片付けをしながら、人を殺すほどの事故を起こすような欠陥はあり得るのかどうかずっと考えた。
考え事をしながらの作業は非常によく進み、あっという間に帰る準備が済んだ。しかし、そろそろ帰ろうといったところで、メリッカさんに留められる。
「まってアルト、山のふもとに昨日の山賊がいる。」
「えぇ!?」
昨日のことで懲りたと思ったのだが、性懲りもなく追いかけてきたようだった。
「さあて、今度こそ俺が懲らしめてやる!」
俺は息巻いて一人で山を下っていく。すぐに《黒龍の咆哮》を発動できるように、あらかじめ印を組んで待機状態にしてある。麓まで降りてきたのだが、何やら昨晩とは様子が違った。
「あんたが昨晩のお嬢ちゃんのボスかい?」
「ボスかどうかはさておいて仲間なのは間違いないな。」
「そうかい。昨晩はうちの馬鹿が失礼した。最近まともな魔道具が入ってこないもんで稼ぎも減っちまって気が小さくなっちまってるんだ。あと、別嬪の嬢ちゃん二人にも謝っといてくれ。」
山賊の頭らしき男は意外にも昨夜の謝罪に来るようなまじめ(?)な男だった。てっきり俺は、女と酒が好きで腐った人間だと思っていたので拍子抜けだった。
「いろいろと失礼を働いたうえで頼むことはかなり気が引けるのだが、仲間たちを食わせていかなければいけないのでな。恥を忍んで頼みたいことがある。」
「なんだ?」
「俺たちを雇ってくれないか?」
・・・・・・は?
一応駆け足で周りの様子を見て回ったが、特に人がいる様子もなかった。
爆破実験を始めるための準備を始めることにする。みんなが見ている場所には分厚い鉄の板で作った壁を何枚も立てて爆風で飛ばされないように簡易的なシェルターを作った。
爆弾はかなり離れた山の頂上に設置し、様子を見やすく、出来るだけ安全に実験できるように工夫した。
十分な距離を空け、みんながシェルターの中にいることを確認して俺もシェルターに入る。シェルターの中に望遠鏡をいくつか設置して、ついに爆破のカウントダウンを始める。
「さぁ、始めますよ!5・4・3...」
みんなも固唾を飲んで見守る。
「2・1...」
俺も少し手を振るわせて起爆のスイッチを握りしめる。
「0!」
俺は起爆のスイッチを勢いよく押し込んだ。
ドゴォーーーン!!!!
凄まじい爆音と衝撃波で、簡易的なシェルターがビリビリと揺れる。あたり一面白と黒の光で満たされ、望遠鏡では頂上の様子を見ることはできなかった。
しばらく経って光が収まり、次第に視界も回復してくる。見えるようになった目で頂上を見ようと顔を上げる。
しかし、俺が見上げた先には見えるはずだったがなかった。爆発の衝撃波と光で方向感覚が狂ってしまったのかと思い、周りを見渡す。
しかし、どこにも爆弾を設置した山が見当たらない。もう一度最初に見た方向を向き直し、様子を詳しく見てみる。
たしかに、大きなクレーターのようなものができており、その表面には俺の黒炎がところどころに残っている。
「せ、せんせぇ…」
「アルト君…」
「アルト様…」
「うわぁぁ…」
サーシャ、セイリウムさん、アメリアさんは3人とも腰を抜かして座り込んでいた。一方メリッカさんは目をキラキラ光らせていた。
この状況から判断するに、頂上に設置した爆弾は硬い岩でできた大きな山を吹き飛ばしたということになるだろう。
これ1つでこの威力なら、20個も降らせば間違いなくこの山岳地帯を丸ごと更地に出来るだろう。あとはこの爆弾を積んで飛んでいく弾丸、ミサイルを作ってしまえばマリアが言っていた目標に到達できる。
「さすがです先生!これでマリア様のおっしゃっていた目標も達成できますね!」
「うん、あとはどうやってこの爆弾を飛ばすかってところだけどそこはなんとかなると思う。」
「目標?」
俺とサーシャが話している内容にピンとこなかったのか、セイリウムさんとアメリアさんが揃って首を傾げる。
「国王からの依頼で邪竜を討伐することになって、火力不足を補うために魔導兵器を作ろうとしてるんですよ。」
「へぇー、魔導兵器をね…」
セイリウムさんは歯切れが悪そうに何度も繰り返した。
「何か問題ありましたか?」
「あぁ、ごめんごめん。最近半端な魔道具が出回って事故が起きているんだよね。中には死亡事故も何件か発生してる。それをちょっと思い出してしまったんだ。」
「それ俺も聞きました。出所はわかってないんですか?」
「それが全くわからないんだよ。そもそもただ質が悪いだけなのか、意図的に事故を起こしているのかすらも全く分からない。」
「もしその魔道具があったら見せてもらえませんかね?」
「もちろんだよ。君みたいな優秀な専門家の意見は是非とも聞きたい。」
俺は後片付けをしながら、人を殺すほどの事故を起こすような欠陥はあり得るのかどうかずっと考えた。
考え事をしながらの作業は非常によく進み、あっという間に帰る準備が済んだ。しかし、そろそろ帰ろうといったところで、メリッカさんに留められる。
「まってアルト、山のふもとに昨日の山賊がいる。」
「えぇ!?」
昨日のことで懲りたと思ったのだが、性懲りもなく追いかけてきたようだった。
「さあて、今度こそ俺が懲らしめてやる!」
俺は息巻いて一人で山を下っていく。すぐに《黒龍の咆哮》を発動できるように、あらかじめ印を組んで待機状態にしてある。麓まで降りてきたのだが、何やら昨晩とは様子が違った。
「あんたが昨晩のお嬢ちゃんのボスかい?」
「ボスかどうかはさておいて仲間なのは間違いないな。」
「そうかい。昨晩はうちの馬鹿が失礼した。最近まともな魔道具が入ってこないもんで稼ぎも減っちまって気が小さくなっちまってるんだ。あと、別嬪の嬢ちゃん二人にも謝っといてくれ。」
山賊の頭らしき男は意外にも昨夜の謝罪に来るようなまじめ(?)な男だった。てっきり俺は、女と酒が好きで腐った人間だと思っていたので拍子抜けだった。
「いろいろと失礼を働いたうえで頼むことはかなり気が引けるのだが、仲間たちを食わせていかなければいけないのでな。恥を忍んで頼みたいことがある。」
「なんだ?」
「俺たちを雇ってくれないか?」
・・・・・・は?
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