朝に弱い幼馴染は俺に起こされるのをいつもベッドの中で待っている

ハヤサカツカサ

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9話

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 「んー、どれどれ。本当だ。うちの高校で有名な美人会長に風紀委員長。それから学年次席に、運動部の表彰常連者。有名人のオンパレードだね」

 「ああ、すごいな。だけど、いくらなんでも偏りすぎじゃないか? うちの学年の優秀な成分が持っていかれすぎだろ」

 それと比べてうちのクラスは、モブオブモブ。平均値にも残念ながら届かない敗残兵が集まってしまっていた。

 「……あれ?  ってことは私たちは?」

 わざわざ言わないでおいてあげたのに自分から切り出すとは。なかなか勇気があるやつだ。

 「残りカス。豆腐を作った後のおからみたいなもんだ」

 「おからバカにしちゃダメだよ。すごい栄養があるんだからね」

 ギャーギャーと喚く俺たちを周囲の生徒は遠巻きに見ていた。

 「あいつら新学期始まったばかりなのに元気だな」

 「ま、あれもあいつらなりのコミュニケーションなんだろ」

 そんな会話が行われていたことなど、つゆ知らず。俺たちはそのまま全校集会が始まるまで議論をし続けたのだった。







 全校集会はどこの学校でもそうかもしれないが、当たり障りの内容だけだった。これならプリントで配ってもらったほうが、あとで目を通すぶん頭に残るんじゃないだろうか。面倒な全校集会を廃止する方法を頭の中で考えていると、壇上にいた教頭先生から集会の終わりを告げられる。

 やっと終わった! あまりにつまらない内容だったから貧血を装って倒れてやろうかと思ったが、なんとか耐え切った。

 「それじゃ教室に戻るとするか」

 頷いた梓と共に回れ右をしたタイミング。金属音を伴ったマイクが予想外の内容を伝えてきた。

 「すみませんが、二年生だけは追加の話がありますので、このまま残ってください」

わざわざ二年生だけを残して伝える内容。それゆえに体育館の中は集会が終わったことによる気の抜けた雰囲気から一気にざわつく。

 「静かに!  それから早く終わりたいので、他学年は速やかに体育館から出てください」
 
 何か面白い話が聞けると思い、なんとか体育館に居座ろうとする他学年の生徒もいたが先生たちに拘束され、あっけなく外に連れ出されていく。やがて体育館には二年生の生徒とその担任、それから教頭先生や校長先生のみが残される。

「なんなんだろうね」

 「さあな。全然分からない」

 三年生と違って大学受験というビッグイベントがあるわけでもなく、一年生のように入ってきたばかりで知らないことだらけというわけでもない。学校生活にも慣れて、他学年と比べてさほど目ぼしい行事もない俺たちに話す内容というのはいまいちピンとくるものがなかった。
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