花を

ゆき

文字の大きさ
1 / 1

花言葉

しおりを挟む
 私は一つの花を持ってあなたのお墓に来た。お墓の周りはとても静かでさみしい場所だった。
「こんにちは。やっと来れたよ。」
私はあなたが空に帰ってから一度もお墓に来れなかった。私は、あなたが来てくれると思って。
「…。あなたは子供を助けて空に行ったのだから。」
そう、あなたは車に引かれそうになった子供を助けた。けど、あなたは助からなかった。その事を知らされ、涙が出た。
 時間が経ち私は、その場所に行くとまだ警察が立っていた。もう帰ろうとしたとき、花束が目に入った。赤いバラの花束が。気になって警察官に声をかけた。
「あの、なぜあそこに花束が?」
私がそう尋ねると、
「ここで事故にあった人、彼女さんにプロポーズしに行く予定だったみたいで。」
私はその言葉を聞いて涙が出た。
「そんな。」
私は言葉を失った。周りの声さえも一瞬聞こえなくなった。
「大丈夫ですか?」
警察官が心配そうに声をかけてくれた。
「はい、大丈夫です。ありがとうございます。」
私は泣きながらその場をあとにした。
 それからは、ずっと家に閉じこもって泣いた。何日も何日も。声が枯れるぐらい泣いた。
ふと、顔を上げたとき写真が目に入った。ああ、私あなたに会いたい。あなたに想いを伝えたい。
私は涙を拭いて、花屋に向かった。
「こんにちは。」
「いらっしゃいませ。どの花にしますか?」
定員が尋ねてきた。
「赤いバラを一本ください。」
「かしこまりました。少しお待ちください。」
私は待っている間花を見た。オキナグサ、赤いアネモネ、赤いキク。いろいろな花があって心が和んだ。
「お待たせしました。」 
私は赤いバラを受けとった。
「ありがとうございます。」
そして花屋にをあとにした。
 お墓に着いた。
「これがここに来るまでのすべてだよ。」
私はお墓に微笑みながら言った。
「私、あなたに伝えたいことがあるの。あの日あなたが言えなかったこと。」
一回深呼吸をした。そして赤いバラを供えながら、
「私はあなたのことを愛しています。今までもこれからも。だから、そっちに行くまで待っててくださいね。そっちに行ったときに返事を聞きますから。」
私はその言葉だけを言ってお墓をあとにした。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

妹が欲しがるので婚約者をくれてやりましたが、私の本命は別にいます

Megumi
恋愛
姉・メアリーの真似ばかりして、周囲から姉を孤立させていく妹・セラフィーナ。 あなたはお姉さんだからと、両親はいつも妹の味方だった。 ついには、メアリーの婚約者・アルヴィンまで欲しがった。 「お姉様、アルヴィン様をシェアしましょう?」 そう囁く妹に、メアリーは婚約者を譲ることに。 だって——それらは全部、最初から「どうでもいいもの」だったから。 これは、すべてを奪われたはずの姉が、最後に一番大切なものを手にいれる物語。

隣国へ留学中だった婚約者が真実の愛の君を連れて帰ってきました

れもん・檸檬・レモン?
恋愛
隣国へ留学中だった王太子殿下が帰ってきた 留学中に出会った『真実の愛』で結ばれた恋人を連れて なんでも隣国の王太子に婚約破棄された可哀想な公爵令嬢なんだそうだ

【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました

山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。 王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。 レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。 3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。 将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ! 「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」 ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている? 婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

聖女はただ微笑む ~聖女が嫌がらせをしていると言われたが、本物の聖女には絶対にそれができなかった~

アキナヌカ
恋愛
私はシュタルクという大神官で聖女ユエ様にお仕えしていた、だがある日聖女ユエ様は婚約者である第一王子から、本物の聖女に嫌がらせをする偽物だと言われて国外追放されることになった。私は聖女ユエ様が嫌がらせなどするお方でないと知っていた、彼女が潔白であり真の聖女であることを誰よりもよく分かっていた。

皇后マルティナの復讐が幕を開ける時[完]

風龍佳乃
恋愛
マルティナには初恋の人がいたが 王命により皇太子の元に嫁ぎ 無能と言われた夫を支えていた ある日突然 皇帝になった夫が自分の元婚約者令嬢を 第2夫人迎えたのだった マルティナは初恋の人である 第2皇子であった彼を新皇帝にするべく 動き出したのだった マルティナは時間をかけながら じっくりと王家を牛耳り 自分を蔑ろにした夫に三行半を突き付け 理想の人生を作り上げていく

【完結】やってしまいましたわね、あの方たち

玲羅
恋愛
グランディエネ・フラントールはかつてないほど怒っていた。理由は目の前で繰り広げられている、この国の第3王女による従兄への婚約破棄。 蒼氷の魔女と噂されるグランディエネの足元からピキピキと音を立てて豪奢な王宮の夜会会場が凍りついていく。 王家の夜会で繰り広げられた、婚約破棄の傍観者のカップルの会話です。主人公が婚約破棄に関わることはありません。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

処理中です...