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勘違いしておいて下さい
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それならば直ぐに勉強をはじめたい、と言った私に両親は驚いていたが、私が《王子の婚約者になりたいがため》に言い出したのだと勝手に勘違いをしたようで、喜んで優秀な教師を探してくれた。
勉強はとても面白かった。この頭はものすごく記憶力が良いみたいで、面白いほどに学べば学ぶほど、なんでも吸収した。例え平民になる予定だとしても学べることは全て学べばいいと思うの。学んだことに無駄などないから。
貴族としての礼儀や作法、歴史。冒険者として世界を回りたいから主に使われている外国語も八つ。
魔法は、全系統に適正があったようで、五歳になる頃には超上級も無詠唱で言えるようになった。もちろん前世でテンプレな鑑定やインベントリや転移魔法、クリーンなどの生活魔法も習得済み。
剣術は『令嬢には必要ない』と言われたのだけど『何かあった時のために(自分の身は自分で)守りたい』と言ったら、両親は『(王太子に)何かあった時のために(王太子を)守りたい』とこれまた勘違いしてくれた様で(何故か母は感動して泣いていた)、それでも令嬢が武器を持ち歩く訳にも行かないから、とドレスに仕込める暗器と言うのかな?我が家の《影》の人が、体術と暗器術を教えてくれることになりました。
そんなこんなで二年が過ぎて、今日は王太子殿下の五歳の誕生日。
私としては、万が一にも目に留まる可能性がある場など行きたくないのだけれど、両親は(私の頑張りを)勘違いして張り切っているし、メイド達も張り切ってるし、で数時間後、物凄く可愛く仕立てあげられて、両親と共に馬車に乗せられてしまった。
そうそう、そういえば私五歳にして、超絶が付くほど美少女だったわ。
日に当たるとキラキラ輝くフワフワとウェーブしている銀髪の今日は念入りに梳かされ、ハーフアップにして生花で飾り付けがされている。透き通るような白い肌は念入りに指先まで磨かれて、淡いブルーの、上質なレースを贅沢に使ったドレスに包まれている。薄い水色の目はパッチリと大きくてくるりと上を向いた睫毛も長くて、小さく通った鼻と、ふっくらとしたピンクの唇に、これぞ可憐という言葉がピッタリというか。
メイド達が、顔を真っ赤にしてプルプルしながら「ヤバイ妖精爆誕だわ」って言っていたけれど、自分ながら本当にピッタリな表現だなって思ったもの。
会場に着くと、地位の高い順から、王太子殿下と王妃様に挨拶をする事が決まっています。公爵家は今は三家あって、それぞれから近い年代の娘がこのお茶会に呼ばれていました。その中で最年少、王太子殿下と同い年の私は三番目の挨拶。順番が来るのを待っていると、王太子殿下がじっとこちらを睨みつけていた。
確かにアリシアは超が付くほど可愛いとは思うけれど、小さい男の子特有の『好きな子にはいじわるしたい』系だったら面倒だな(転生前がアラフィフだから発想もおばちゃんなのよ)
というか、王太子殿下も五歳だし、年上の令嬢には興味は無いかもしれないけどね、ここはきちんと挨拶しているその令嬢をきちんと見なさいな。失礼でしょ。
印象に残りたくないなぁと思いながら、挨拶の番が来た。
教師にお墨付きを戴いたカーテシーを披露し、笑顔で武装しながら、二人に挨拶をします。
「ランカスター公爵家が長女、アリシア=ランカスターでございます。本日はお招き頂き光栄でございます。王妃殿下、王太子殿下におかれましては…」
ふぅ、無事に挨拶が済んだわね。王太子殿下も何も言ってこなかったわ。この後のお茶会で王太子殿下の近くに寄るつもりもないし、さて、あとは、隅っこの方で大人しくしてようかな……。
って、思っていたら、会場の向こうで異様な魔力の揺らぎ。なにかしら気になるわ。
私は胸騒ぎがして、揺らぎのある方向に向かって歩いていった。
「こっちは会場じゃないよ」
会場の中庭を少し出たところで、前世で言う高校生くらいの青年に声をかけられた。
誰だろう…。王族かしら。
「ええ、知っています。けれど不自然な魔力の揺らぎが気になって…」
「揺らぎ?」
「なんででしょう胸騒ぎがするのです」
青年を引き連れて垣根を覗くと、揺らぎが大きくなっているのが見えた。
「このまま揺らぎが続くと、ゲートを生成してしまいます。貴方は今すぐに、ゲートに詳しい警備の魔法騎士を呼んできてください、ゲートから魔獣が出てきたら会場にいる令嬢たちが危険です」
「貴女は?」
「私は、ゲートの侵食を阻止します」
「小さい令嬢がそんなの危険です、貴女もみんなの所に行きましょう」
青年がそう言うのも無理は無い。しかし。
「今はそんな事を言っている場合ではありません、いつゲートが生成されるか分からないのですよ、私はゲートを無効化する魔法陣を描けます。急いで!」
渋る青年を追い立てた後、私はドレスに仕込んでいた簪サイズの長い針を出して地面に突き立てると、そのまま魔法陣を描き込み始めた。
複雑な文様だけれどもきちんと記憶している。発生しそうになるゲートを無効化する魔法陣だ。
「こんな王城で、ゲートが出来るなんて…」
この世界には、魔獣と呼ばれる人や家畜を襲う生き物がいるのだけれど、彼らが生息しているのは他の次元だと言われています。そして空間にゲートと呼ばれる門を開けて、そこからこちらの世界に入ってくるのだとも。
ゲートは世界のあちこちで日々発生しているけれども、このように結界で守られているはずの王城に現れる事はまず無いはずなのです。
ドレスが汚れるのも気にせずに、一心不乱に書き込んでいく。
もしかしたら、今回のお茶会を狙った人為的なものなのかもしれない。
最後まで書ききった所で、青年に連れられて、騎士たちがやってきた。
「無効化の魔法陣を描き切りましたので、もう大丈夫だと思いますが、もしかしたら人為的なものかもしれないので、発生化の魔法陣がどこかにないかどうかも探してください」
針をまたドレスに隠し、パンパンと裾を払って立ち上がると、先程の青年が、サッと白いハンカチを差し出してきた。
「ありがとうございます。でもせっかく綺麗な刺繍なのに汚れてしまっては申し訳ないですわ。私なら《クリーン》ほらもう綺麗になりましたわ」
「クリーン魔法…」
びっくりしている青年の後ろで、騎士たちも魔法陣を見て驚愕していた。あまりにも正確に無効化の陣が描かれていたからだろう。
「すみません、貴女は」
騎士団長と思わしき男性が、膝をついて目線を合わせてきました。子供だからと見下ろさず、目線を合わせてくれた事で、彼の人と成りが分かるというもの。
「あら、私とした事が…失礼致しました。私はランカスター公爵家長女のアリシア=ランカスターと申します。どうぞよしなに」
カーテシーで挨拶をした。
それを聞いて、青年の方が「ああ」と頷いた。
「噂のランカスター家の【妖精の寵児】だね。私は、ルドルフ=ジル=アッテナー。王弟だよ」
「まあ。王弟殿下でしたのね。これは知らずに、真に失礼な事を致しました」
青年に謝りながらも、頭はハテナでいっぱいだ。妖精の寵児とはなんなのかしら。
「私は魔法騎士団を預かる、レイモンド=ヨークシャーです。なるほどランカスター家の妖精令嬢ならば、魔法陣もクリーンも理解できました。超天才児だと言う噂は伊達ではなかったのですね」
膝まづいていた騎士団長も頷いている。だから噂ってなにかしら。
と、にわかに周りが騒がしくなる。
「団長!発生化の魔法陣見つけました!!」
「なに!?陣から犯人の痕跡を辿れ。ゲートの混乱に生じて陣を消しに来るはずだったろうから、王城近くには居るはずだ。絶対に逃がすな!!」
発生化の魔法陣を見つけたことで現場が慌ただしくなる。そろそろ私はお茶会会場に戻った方がいいかしら?
王弟殿下を見上げると、小さく頷かれた。
「ランカスター嬢は私が送っていくよ」
王弟殿下に手を繋がれて、私はお茶会会場に戻った。
勉強はとても面白かった。この頭はものすごく記憶力が良いみたいで、面白いほどに学べば学ぶほど、なんでも吸収した。例え平民になる予定だとしても学べることは全て学べばいいと思うの。学んだことに無駄などないから。
貴族としての礼儀や作法、歴史。冒険者として世界を回りたいから主に使われている外国語も八つ。
魔法は、全系統に適正があったようで、五歳になる頃には超上級も無詠唱で言えるようになった。もちろん前世でテンプレな鑑定やインベントリや転移魔法、クリーンなどの生活魔法も習得済み。
剣術は『令嬢には必要ない』と言われたのだけど『何かあった時のために(自分の身は自分で)守りたい』と言ったら、両親は『(王太子に)何かあった時のために(王太子を)守りたい』とこれまた勘違いしてくれた様で(何故か母は感動して泣いていた)、それでも令嬢が武器を持ち歩く訳にも行かないから、とドレスに仕込める暗器と言うのかな?我が家の《影》の人が、体術と暗器術を教えてくれることになりました。
そんなこんなで二年が過ぎて、今日は王太子殿下の五歳の誕生日。
私としては、万が一にも目に留まる可能性がある場など行きたくないのだけれど、両親は(私の頑張りを)勘違いして張り切っているし、メイド達も張り切ってるし、で数時間後、物凄く可愛く仕立てあげられて、両親と共に馬車に乗せられてしまった。
そうそう、そういえば私五歳にして、超絶が付くほど美少女だったわ。
日に当たるとキラキラ輝くフワフワとウェーブしている銀髪の今日は念入りに梳かされ、ハーフアップにして生花で飾り付けがされている。透き通るような白い肌は念入りに指先まで磨かれて、淡いブルーの、上質なレースを贅沢に使ったドレスに包まれている。薄い水色の目はパッチリと大きくてくるりと上を向いた睫毛も長くて、小さく通った鼻と、ふっくらとしたピンクの唇に、これぞ可憐という言葉がピッタリというか。
メイド達が、顔を真っ赤にしてプルプルしながら「ヤバイ妖精爆誕だわ」って言っていたけれど、自分ながら本当にピッタリな表現だなって思ったもの。
会場に着くと、地位の高い順から、王太子殿下と王妃様に挨拶をする事が決まっています。公爵家は今は三家あって、それぞれから近い年代の娘がこのお茶会に呼ばれていました。その中で最年少、王太子殿下と同い年の私は三番目の挨拶。順番が来るのを待っていると、王太子殿下がじっとこちらを睨みつけていた。
確かにアリシアは超が付くほど可愛いとは思うけれど、小さい男の子特有の『好きな子にはいじわるしたい』系だったら面倒だな(転生前がアラフィフだから発想もおばちゃんなのよ)
というか、王太子殿下も五歳だし、年上の令嬢には興味は無いかもしれないけどね、ここはきちんと挨拶しているその令嬢をきちんと見なさいな。失礼でしょ。
印象に残りたくないなぁと思いながら、挨拶の番が来た。
教師にお墨付きを戴いたカーテシーを披露し、笑顔で武装しながら、二人に挨拶をします。
「ランカスター公爵家が長女、アリシア=ランカスターでございます。本日はお招き頂き光栄でございます。王妃殿下、王太子殿下におかれましては…」
ふぅ、無事に挨拶が済んだわね。王太子殿下も何も言ってこなかったわ。この後のお茶会で王太子殿下の近くに寄るつもりもないし、さて、あとは、隅っこの方で大人しくしてようかな……。
って、思っていたら、会場の向こうで異様な魔力の揺らぎ。なにかしら気になるわ。
私は胸騒ぎがして、揺らぎのある方向に向かって歩いていった。
「こっちは会場じゃないよ」
会場の中庭を少し出たところで、前世で言う高校生くらいの青年に声をかけられた。
誰だろう…。王族かしら。
「ええ、知っています。けれど不自然な魔力の揺らぎが気になって…」
「揺らぎ?」
「なんででしょう胸騒ぎがするのです」
青年を引き連れて垣根を覗くと、揺らぎが大きくなっているのが見えた。
「このまま揺らぎが続くと、ゲートを生成してしまいます。貴方は今すぐに、ゲートに詳しい警備の魔法騎士を呼んできてください、ゲートから魔獣が出てきたら会場にいる令嬢たちが危険です」
「貴女は?」
「私は、ゲートの侵食を阻止します」
「小さい令嬢がそんなの危険です、貴女もみんなの所に行きましょう」
青年がそう言うのも無理は無い。しかし。
「今はそんな事を言っている場合ではありません、いつゲートが生成されるか分からないのですよ、私はゲートを無効化する魔法陣を描けます。急いで!」
渋る青年を追い立てた後、私はドレスに仕込んでいた簪サイズの長い針を出して地面に突き立てると、そのまま魔法陣を描き込み始めた。
複雑な文様だけれどもきちんと記憶している。発生しそうになるゲートを無効化する魔法陣だ。
「こんな王城で、ゲートが出来るなんて…」
この世界には、魔獣と呼ばれる人や家畜を襲う生き物がいるのだけれど、彼らが生息しているのは他の次元だと言われています。そして空間にゲートと呼ばれる門を開けて、そこからこちらの世界に入ってくるのだとも。
ゲートは世界のあちこちで日々発生しているけれども、このように結界で守られているはずの王城に現れる事はまず無いはずなのです。
ドレスが汚れるのも気にせずに、一心不乱に書き込んでいく。
もしかしたら、今回のお茶会を狙った人為的なものなのかもしれない。
最後まで書ききった所で、青年に連れられて、騎士たちがやってきた。
「無効化の魔法陣を描き切りましたので、もう大丈夫だと思いますが、もしかしたら人為的なものかもしれないので、発生化の魔法陣がどこかにないかどうかも探してください」
針をまたドレスに隠し、パンパンと裾を払って立ち上がると、先程の青年が、サッと白いハンカチを差し出してきた。
「ありがとうございます。でもせっかく綺麗な刺繍なのに汚れてしまっては申し訳ないですわ。私なら《クリーン》ほらもう綺麗になりましたわ」
「クリーン魔法…」
びっくりしている青年の後ろで、騎士たちも魔法陣を見て驚愕していた。あまりにも正確に無効化の陣が描かれていたからだろう。
「すみません、貴女は」
騎士団長と思わしき男性が、膝をついて目線を合わせてきました。子供だからと見下ろさず、目線を合わせてくれた事で、彼の人と成りが分かるというもの。
「あら、私とした事が…失礼致しました。私はランカスター公爵家長女のアリシア=ランカスターと申します。どうぞよしなに」
カーテシーで挨拶をした。
それを聞いて、青年の方が「ああ」と頷いた。
「噂のランカスター家の【妖精の寵児】だね。私は、ルドルフ=ジル=アッテナー。王弟だよ」
「まあ。王弟殿下でしたのね。これは知らずに、真に失礼な事を致しました」
青年に謝りながらも、頭はハテナでいっぱいだ。妖精の寵児とはなんなのかしら。
「私は魔法騎士団を預かる、レイモンド=ヨークシャーです。なるほどランカスター家の妖精令嬢ならば、魔法陣もクリーンも理解できました。超天才児だと言う噂は伊達ではなかったのですね」
膝まづいていた騎士団長も頷いている。だから噂ってなにかしら。
と、にわかに周りが騒がしくなる。
「団長!発生化の魔法陣見つけました!!」
「なに!?陣から犯人の痕跡を辿れ。ゲートの混乱に生じて陣を消しに来るはずだったろうから、王城近くには居るはずだ。絶対に逃がすな!!」
発生化の魔法陣を見つけたことで現場が慌ただしくなる。そろそろ私はお茶会会場に戻った方がいいかしら?
王弟殿下を見上げると、小さく頷かれた。
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