俺TUEEEEしたかった悪役令嬢

morimiyaco

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過去

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 不幸な訳じゃないけれど、別に私じゃなくても良くない?って人生だったと思う。
 学生時代から付かず離れずでダラダラと続いていた彼氏と、三十路前に出来ちゃった結婚をして、すぐに子供が産まれて。
 貧乏ではなかったけれど、旦那の給料だけで安心出来るほどお金持ちでもなかったから、子供が幼稚園に入った頃からパートをはじめて。パート家事育児に追われているうちに、あっという間にアラフィフ。
 旦那とは男女の仲というよりは、もはや空気。家に居ない時間は何しているのかさえお互い知らない。
 名前からパパママと呼んでもう十何年、固有名詞とか要らなくない?ていうか私の名前覚えてる?
 溺れるような恋もなく、胸踊るような旅の思い出もなく、パートの職場とスーパーと家だけの往復という狭い世界。
 
 これ私である必要なかったよね、と思っていたら脳卒中を起こしてあっさり死にました。








 そうして転生したらまさかの剣と魔法のファンタジーの世界でした。
 赤ちゃんの頃から記憶のあった私は、その頃からずっと魔力を扱う練習をしたり親の目を盗んで魔法の勉強をしたりしていた。ほら、よくラノベとかであるじゃない。赤ちゃんのうちから魔力を枯渇させて、それを繰り返す事で強くなっていく系のラノベ。
 リモコン技術とか必要ない、地味にコツコツ戦えば強くなっていくRPGの世代だからね。単純作業は得意です。

 そんなこんなで、三歳になった時に、自分が公爵令嬢だと言うことに気づかされた。
 いや、裕福な家庭だし貴族だとは思っていたよ。だけど、よくある高位貴族の家庭って感じで、父親は浮気に忙しく母親はお茶会やなんやらとで忙しい。結果子供は、乳母と使用人が育てる、という感じだったから、家族に会う機会も少なかったんだ。
 まあ、そのおかげで自由に魔法の練習が出来たのだから別に文句はないのだけれど。

 まあそんなで、使用人はアリシアお嬢様って呼ぶし、両親のことは旦那様、奥様でしょ。令嬢としての教育も始まっていない、他の家と交わらないという状態では、自分が誰なのか、気づかなくても仕方ないと思う。

 自分が公爵令嬢と言うのが分かったのは、同い年の王太子殿下の『婚約者を決めるためのお茶会』と言うのが二年後の王太子の五歳の誕生日に開催されると聞いからだ。二年後とかまだまだ遠くだな、と思うけれど公式行事っていうのはえてして早い段階で決まっているものだしね。もちろん公爵令嬢である、自分も強制参加。

 そうして思い出される、たいした思い出もなかった前世の結婚生活。そして表面だけは繕って仲の悪い現世の両親。

 王太子との婚約?五歳で?

 この先愛が芽生えるのかも分からないのに?
 そんなの真っ平御免です。

 流されるままの人生なんてもう嫌だ。たった一度の人生くらい自分の好きに行きたい。

 そうだ、家を出て冒険者になろう。

 そのために必要なのは、技術(魔法と剣術)、知識、人脈、そして活動資金。
 魔法も、荷物がなんでも入る空間魔法のインベントリや、結界、転移魔法は必須よね。あ、地味に体を常に清潔にするクリーンとかも覚えたいな。

  技術、知識は努力あるのみ。
 活動資金のためには、毎年不労所得出来る様ななにかを開発することかな。考えられるのは、魔道具か。
 家を出る前に商会を立ち上げて、魔道具を開発しておきたいな。人脈はそこで作ったらいいか。

 よし、出来ることからコツコツやっていこう。




 と思っていたのだけれど…。


 
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