真珠を噛む竜

るりさん

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第七章 ライラック香る町

香水の行方

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 エリクとクロヴィスが到着すると、待ち合わせ場所にはすでに皆到着していた。アルコール待ちの状態だったのだ。
 リゼットは怒ってはいなかったが、少し不安をのぞかせていた。
「錬術、うまく行くかしら」
 リゼットは、そのことで深く悩んでいた。しかし、そんなリゼットの肩を強く押す者がいた。ジャンヌだ。
「みんなをこれだけ働かせておいて、そりゃないでしょ。できるかなじゃなくて、やるんだよ!」
 ジャンヌがあまりに強くリゼットの背中を叩くものだから、小さな花小人はよろけてしまった。
「何するのよ! そんなこと、あんたに言われなくても分かっているわ! じゃあ、始めるわよ。とりあえずはジャンヌが町の外で採取してきたものからやって、瓶に詰めていくわよ」
 リゼットが急にやる気を出したので、皆は目立つ待ち合わせ場所から移動して、住宅街にあるちょっとした公園の木陰に移動した。そこで、エリクたちが買ってきた高濃度のアルコールとライラックの花を並べた。ステッキを取り出すと、そこに意識を集中させる。
 すると、どんどんお酒の中身は減っていき、リゼットが声を出してステッキを振ると同時に、ライラックの花が消えていった。
 代わりに、酒の入っていた瓶の中に、香水がたっぷりと入っていた。
「これ、本当に香水なのかな。アルコールのままじゃ?」
 ジャンヌがいぶかしがるので、セリーヌが笑ってアルコールの入っていた瓶のふたを開けて、香りをかいだ。
「まずは成功ですよ、リゼット」
 その言葉に、その場にいた全員が緊張を解いた。
「脅かすなよ、ジャンヌ」
 一番緊張していたのは、リゼットではなくクロヴィスだった。彼は胸に手を当てると、大きく息を吐いた。
 皆の気分が落ち着くと、今度は瓶の中に香水を詰める作業が始まった。その作業は手先を細かく使う作業で、難航した。すべてが終わるころには、日が暮れかけていた。
「香水を売りに歩くのは、明日になりそうだね」
 ジャンヌが暮れていく夕日を見ながら、香水の入った瓶を片付けていく。皆もそれに倣いながら、連泊している宿に帰ることにした。 
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