押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery

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会えない時間

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お姉様が一真さんと会いに行く日。

「じゃあ行ってくるねー!」

私は、全てのことが手につかなかった。

一真さんはお姉様と会って何を思うだろう。
そしてどんな選択をするんだろう。

私に伝えたこと、全部無しにしたいと言われたらどうしよう。
でももしそうなってしまっても、そうならなくても私が一真さんと一緒になることは叶わない。

今の現状を受け入れるしかなかった。

そわそわしながら1日を過ごしていた時、お姉様は夕方頃家に戻ってきた。

一真さんとデートしてきたのだろうか。
お姉様が家に戻ると、すぐにお母様とお父様が心配そうに尋ねた。

「零、   凰条一真と食事はどうだった?」
「凰条様の反応は?」

私は話を聞いていないフリをしながら窓を拭いていた。
するとお姉様は私に聞こえるくらい大きな声で伝える。

「余裕よ。会ってお会いしたらステキなデートをしてくれたわ。美味しいお料理にお買い物……私のしたいって思ったことを全部してくれて、あげくの果てに私と一緒にいる方がいいって……私の魅力に気づいてくれたの」

──ズキン。

ってことは、一真さんはお姉様を選んだということ……。

「良かった。それじゃあ凰条家との縁談はこのままスムーズに進むんだな」

「当たり前じゃない、私の手にかかったら誰だって簡単よ」

「ほっとしたわ……」

お父様は安心したように言葉をもらした。

「澪がかき乱した時はどうなるかと思ったが……」

「凰条さまがあの子のことを選ぶわけないわよね」 

選ぶわけ、ない……。

そう、だよね。
私は劣等生だ。

お姉様と比べられたら、どちらが良かったかハッキリと分かってしまったんだろう。

一真さんを責めることは出来ない。

「零、   今日は3人でディナーにでも行きましょう」

「ああ、そうだな。凰条家との縁談が成立するんだ、今日はお祝いにしよう」

「やったー!」

お父様とお母様がご機嫌に去っていくと、お姉様が私の後ろを通って言った。

「残念だったわね。自分のことでも気にしてくれると思った?凰条さま、あんたのしてきた数々のことを聞いたら失望したって。もうそんな愚図には会いたくないって言ってたわよ」

「……っ」

唇を噛みしめる。

「一真さんは……そんなこと言う人ではありません」

静かにつぶやくと、お姉様は声を荒げた。

「ねぇ、その一真さんっていうのやめてくれる?彼は私の婚約者よ?私と縁談を進めるってハッキリそう言ったんだから、名前で呼ばないで!」

「……っ、すみ、ませんでした……」

「ちゃんと頭下げろよ!」

お姉様は私の頭を踏みつける。

私は耐え続けた。

「お母様~早くディナーに行きましょうよ。この家なんだか空気が悪いわ」
「そうね」

お姉様はそう言って3人で家を出て行った。

一真さんの言葉が聞きたい。
彼に会いたい……。

「っ、ぅ」

でも、もうそれを願うのもダメなんだ。

その日、私は物置にこもって泣きじゃくっていた。

一真さんだけは私の希望だった。
だけどそれも散り、なくなってしまった……。

あの日に戻りたい。
あの幸せだった時に戻れたらいいのに……。


自分の部屋に飾った睡蓮の花も寿命がやってきたのか、やがてしおれてしまった。


 
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