押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery

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既成事実を作る【御堂零side】

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企むような顔のお母様の顔が何を考えている顔か分からなくて背筋がゾクっと震えた。

「そうすれば、凰条家だって無下には出来ない。万一降ろせと言われても子どもを降ろさせたとなると、凰条家のイメージが大きく下がる。だからそれはして来ないでしょう?」

そしてお母様はゆっくりと微笑んだ。

「そしたら、あちらも何が正しいか分かるはずよ。澪との縁談を無かったことにして零と籍を入れる。元々零に縁談を出してきたのだから、それが世間的にもキレイで正しいものになる」

「なるほど、それはいいな」

お父様も感心するように頷いた。

「でもどうするの……既成事実なんて……」

そう簡単に出来るものだろうか。

「澪とあなたを入れ替えればいいのよ」

私の眉がぴくりと動いた。

「……入れ替える?」
「そうよ」

お母様が深く頷いた後、説明を続ける。

「あなたが澪に似せて化粧をし、凰条一真の前に立てばいいの。双子なんだから澪そっくりの顔になれるはずよ」

私は一瞬言葉を失った。
そして肩を振るわせる。

私が澪になる?

「冗談じゃない!なんで私が、あんな地味な顔に似せなきゃいけないのよ!」

澪の名前を出すだけでも腹立たしいのに、自分がその姿に寄せるなんて、屈辱にもほどがある。

 「零……」

するとお父様の低い声が、部屋の空気を一変させた。

 「今まで散々お前のワガママを受け入れてきた。今回もお前のワガママが原因でこうなったことをわかっているのか?」

「そ、それは……」

その言葉に、私は息をのんだ。

「このままじゃ澪に権力を取られ、恩恵を受けられないまま御堂家は衰退していく一方だ。お前がやるしか先はない!お前だって澪に権力を取られたままなんて許せないだろう?」

「それは、そうだけど……」

でもだからって私が澪のフリをするほど成り下がらないといけないの。

迷っていると、お父様は私に冷たい眼差しを向けた。

「なんとしてでもやるんだ。じゃなきゃ劣等生になるのはお前の方なんだぞ」

──ぞくり。

背筋が震えた。

私が劣等生?
そんなことあり得ない。

劣等生は澪よ。澪意外あり得ないの!

私はお父様の物言いに唇を強く噛みしめる。

しかし、はい以外の言葉は残されていなかった。

どうしてこんなことになったのか。

澪がいなければ、澪さえいなければ……。

私の顔が歪む。
そうだ、奪えばいい。

子どもでもなんでもこしらえて、凰条一真を逃げられなくすればいいんだ。

そうすれば、澪の大事なものを奪える。

そして凰条家の権力も私のものになる。

全て私の望んでいるものが手に入る。

「やるわ……」

 悔しさで手を握りしめる。

 でもこれしか選択肢はない。
屈辱を飲み込んで私は澪になりきる。

「やる……」

するとお母様は笑顔になった。

「いい子ね、零。あなたならうまくやれるはずよ。そうやって何でも手に入れてきたじゃない」

 “なんでも”

そうね。
澪よりも私の方が優れている。

私はなんでも手に入れてきた。

だからやってやる。
澪から凰条一真を奪ったら澪はどんな顔をするだろう。


絶望に顔を歪めればいい。
自分は一生幸せになれないのだと、思い知ればいい。


「凰条一真は私のものよ」



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