押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery

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もう我慢の限界だ【一真side】

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「澪の様子は?無事か?」

車に乗り込むなり運転手に尋ねる。

「ええ、大丈夫です。澪さんは今、自宅にいます。暴行などもされていないと情報が入っています」

「……良かった」

俺は深くため息をついた。

証拠を集めるために、澪の姉と一緒に過ごさなければならなかった。

澪を助けるためとはいえ、彼女の元に駆け付けられない不安がずっと俺の中で付き纏っていた。

「証拠は取れましたか?」

「ああ、こちらは問題ない」

澪がトイレから帰って来た時、彼女が歩いてくる姿を見て澪ではないことは一瞬にして分かった。

彼女が俺の目の前に来た時、「澪はどこだ?」と尋ねることも出来たが、俺はこの先のことを考えて澪の将来にとってベストな選択をする必要があった。

ここ最近、誰かに付けられていたり家の周りを不審なものがウロウロしているという報告も上がっていて、また御堂家が何か企んでいるかもしれないことも察知していた。

澪の姉と車に乗るなり家のものに連絡をして、澪の後を追うようにお願いをした。

そして自宅にいるとの連絡を受けて、澪に今危害が加わることはないと思い俺の方は機転を利かせて動いた。

こんな展開にはしたくなかったが、いつまでも澪を不安な状態にさせるわけにはいかない。

「……カタを付けに行こう」

車はそのまま御堂家に向かった。

御堂家の前につくと、速やかに車を降りてベルを鳴らした。

出てきた使用人が俺の顔を見て驚いたのか慌てた顔で家主を呼びに行った。

澪の両親は驚いた顔を浮かべて慌てたように家から出てきた。

「ま、まぁ……凰条さま。驚きましたわ、突然うちに来てくださるなんて」

白々しいな。
両親は隣に零の姿がないか探しているようにも見える。

「澪を連れ戻しにきました。それから話をしましょう。今後の御堂家についての大事なお話です」

そこまで言って全て悟ったのか、顔色が青白くなっていた。

「中へ入れてください」

そう促すと、父親は力が抜けたように告げた。

「お入りください……」

中へ招待されると応接間に通される。

俺は話をはじめる前に尋ねた。

「澪はどこにいますか?」

「し、知りませんよ……凰条さまの家にいるのでは?」

「そんなことないのはあなたたちが一番よく分かっているはずです」

 「なんのことでしょう?我々には分かりません」

澪の父親がそう言った時、俺はポケットに入れていたスマホを取り出した。

「ならば、これがあると言っても同じことを言うでしょうか?」

スマホでさっき録音した澪の姉の声を流す。

『そうよ。全部その通り……私と既成事実を作ったらあんたは私と結婚するしかなくなるでしょ!それでお父様もお母様も協力してやったのよ!それなのに……』

すると目の前の二人はみるみるうちに顔が青ざめていった。

「あなた方は澪を誘拐し、姉と入れ替えて既成事実を作ろうとしていたそうですね」
「……っ」

母親が唇を噛みしめる。

父親も額に汗をかいていた。

こうなってはもう言い逃れは出来ないだろう。

「この事実を公表します」

俺はハッキリと言い放った。

本当はずっとしたくないことだった。

あんなんでも澪の家族だ。

澪に関わりのある人間を不幸に陥れるような真似はしたくなかった。

でももう限界だ。
この家族がいる限り俺と澪の幸せを壊そうと……いや、澪を失脚させてようと企みに来るだろう。

「ま、待ってください。澪なら……澪なら無事ですから……」

母親が焦ったように告げると使用人に目くばせをした。

すると、使用人が頷いた後部屋に隠していたのか澪を連れてきた。

「澪……!」

「一真さん!」

俺は慌てて澪を抱きしめてにいった。

彼女は不安気な顔をして小さく震えていた。

怖かったのだろう。
彼女を抱きしめながら、俺は両親を睨みつけた。

「ヒッ……大丈夫です、澪は無事です。もうこのようなことはいたしませんし……」

「何も大丈夫じゃないだろう」

思った以上に低い声が響いた。

大丈夫なんかじゃない。
澪は何度不安な思いをしないといけないのか。

いつになったら平和に眠れる日が来るのか。
ずっと気が気じゃなかっただろう。

そして今回のことで悟った。
この家族がいる限り、平和が訪れることはない。



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