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コンプレックスからくる魅力について
しおりを挟む静まり返ったところで一言、ポツリと影響力のあることを言ったら高得点がつくということは分かっている。
話をふったからには、相当覚悟していないと……不安気に彼女を見つめた、その時。
俺はあることに気づいた。
彼女の手が小さく震えている。
作戦ではない?
もしかして彼女は本当に意見が出せない?
あんなに堂々としていた朱莉にもそういうことがあるのか?
どうする?
助け舟を出すべきか。
ただ出したところでそれを迷惑と捉えられたら逆に俺がピンチになってしまう。
それでも。
『ありがとう良樹……』
もう知り合いを失いたくない。
俺はぐっと手に力を入れてつぶやくような声で言った。
「例えば、俺なら完璧な人って少し怖いなと思います」
助け舟に乗ってくるかは分からない。
出した助け舟を彼女は沈めてしまうかもしれない。
それでももう目の前で人を亡くすのは嫌だった。
助けられなかった彼女。
もう同じことを繰り返したくない。
すると、彼女は自信のなさそうな声で話し始めた。
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