甘くて酸っぱいフルーツいかが。

ふわパカ

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中学時代を振り返って③

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「そういえばももちゃんが空手始めたんだってね」突然祖母が発した言葉。俺は一瞬言葉の理解が出来なかった。桃汰が空手を?あの臆病なあの子が?まさかそんなわけがない。

「まさか。何かの聞き間違いじゃない?」そうだ、聞き間違いだ。どんな時も俺にべったりで、何でも俺の真似をしてきたあの子が自分からそんな事するわけがない。第一何か始めるにしても必ず俺に相談に来る筈だ。

「でもももちゃんのお母さんから聞いたんだけどね…」祖母は首を傾げながら考え込み始めた。

「もものお母さんが…じゃあ本当かも…」少し寂しい気持ちになる。どんな時も桃汰は俺に何でも相談してくれたのに。何も言ってくれなかったなんて…

「本人に聞いてみたら?でも一期に言わないなんて珍しいわね」祖母は痛い所を突いてくる。

「….本人から言ってくるまで待つよ。何か俺には言えない事情があるのかもしれないし」少し悲しいけどきっと何か言えないわけがあるんだ。きっと凄いと褒められたくて何か結果を残してから空手を始めた事を言おうとしてるんじゃないだろうか。そうだ、うん。俺はそう思う事にした。


一週間後桃汰から呼び出された。部活の終わった後にカフェに来てくれと。もしかして空手の事を言おうとしてくれてるのだろうか。やっと言う決心がついたんだろうか。


部活が終わるとそのまま指定されたカフェに行く。中に入ると既に桃汰が席に座っていた。その表情は少し硬い。いつものにこにこほわほわしてる彼の顔とは違っていた。

「ごめんね、待たせちゃって」桃汰の向かいの席に座って彼を見つめる。いつもの桃汰は俺を見ると直ぐに笑顔になるのに今日は硬い表情のままだった?

「……もも?何かあった?」彼の反応があまりにもいつもと違う事に不安を覚え、俺は桃汰をじっと見つめた。

「あ…ううん、何でもないよ。忙しいのに急に呼び出しちゃってごめんね。いち兄に言いたい事があって…」俺の問い掛けに慌てて桃汰が首を横に振る。

「大丈夫。何の話?」桃汰を安心させるように笑みを浮かべながら彼を見つめる。桃汰はぎゅっと拳を握っていた。緊張しているのが伝わってくる。

「……えっと……その…俺…いち兄の事が好き…です」5分くらいの間があった後に桃汰が告げた。何だ、そんな事か。改まって言うもんだから何を言うかと思えば…

「そっか、ありがとう。いつもそう言ってくれて嬉しいよ」桃汰に笑顔を向けると桃汰はこちらをじっと見つめてくる。目が真剣そのものだった。

「…そうじゃなくて。いつも言ってる好きとは違う意味で…」突然訳の分からない事を言い出した。いつもとは違う意味?

「…だから…いち兄に対しての好きは、恋愛的な好きって意味」小さな声ながらもはっきりと桃汰が告げる。え?恋愛的に?ん?俺は男で桃汰も男。ん?

「嫌だよね、こんな事言われて。俺いち兄と一緒に過ごす時間が本当に幸せ。楽しくて嬉しくて…でも最近いち兄と一緒にいるだけで心がぽかぽかして、きゅんってなってどきどきして…恋してるって気づいたんだ」桃汰は真っ直ぐに俺を見つめながら話す。俺は話に追いつけないでいた。

「いち兄が前に襲われた時、俺はいち兄を助けられなかった。それが悔しくて、ゆずにいつも助けられて…俺もいち兄にかっこいい所見せたくて空手始めたんだ。いつでもいち兄の事守れるように。今の俺の告白に対して直ぐに答えを出してなんて言わない…けど、俺が次の市の大会で3位以内に入れたら答えを教えて欲しい…駄目かな?」空手を始めたきっかけは理解した。でも、答えって?告白に対する答え?

そんなのどうやって出せば良いのか分からない。だってお互いに男だし…俺にとって桃汰は弟みたいな存在だし…

しかし桃汰の真剣な様子に押されるように俺は頷いた。すると桃汰はいつものようにぱっと明るい笑顔に変わる。


なぁもも、俺はどんな答えを出せば良い?どうすればお前が傷つかない?どうすれば……
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