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中学時代を振り返って②
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結局あの時俺を襲ってきた男組は捕まらなかった。確かあの時男たちは前から見てたとかなんとか言っていた。どこで見られていたのだろうか。ずっと見られていたと思うと少し怖くなる。
今も何処かで誰かが俺の事を見ているような気がして恐怖感を抱えながら過ごす日々が続いた。
「いち…?おい、お前最近大丈夫か?」柚斗が心配そうに俺の顔を覗き込む。
今は双子の家で柚斗に勉強を教えている最中だ。珍しく桃汰は此処にいない。何か用事があるらしい。
「ごめん、大丈夫。続きやろうか」柚斗に心配を掛けたくなくて、大丈夫じゃないのに大丈夫だとつい口走ってしまった。
「……あの時の事考えてんのか?」柚斗はじっと俺を見つめてくる。あぁ、嘘がバレてしまった。
桃汰には嘘は通じるけど柚斗には嘘は通じない。察しの良い奴だからすぐにバレてしまう。
「……まぁな。考えたくなくても考えちゃうよな。気にしないようにしてるんだけど」俺は困ったような笑みを浮かべながら答えた。
「…怖かったよな。大丈夫、もうあんな目には遭わせたりしねぇよ」柚斗はふっと優しい笑みを浮かべて俺の頭を撫でた。何故か不覚にもきゅんとしてしまって、その感覚に俺は疑問を覚えた。何だこの気持ち。
「…大丈夫。もう過去を振り返るのはやめる。いつも心配してくれてありがとうゆず。でもゆずが危険な目に遭うのは嫌だから無理はしないで。自分の身は自分で守れるようになるから俺」歳下に撫でられるのも何か微妙だが、しかしその心地良さに身を委ねてしまう。柚斗の優しい笑みを見ると心が温かくなるのを感じた。
「…もっと頼ってくれりゃ良いのに。何でも1人で頑張ろうとするな。お前おっちょこちょいだしよ」頭を撫でる手を一旦止めて柚斗にじとりと見つめられる。
「な、おっちょこちょいは余計だろ。ちゃんと気をつけるから大丈夫だって」柚斗を見つめながら答えると柚斗は楽しそうに笑う。
「…その言葉信用出来ねーな。ま、安心しろよ。いちの事は俺が守るからよ」真剣な眼差しで見つめてくる。再びきゅんとしてしまった。何その言葉、口説き文句ですか。
「….ねぇ、そんな言葉何処で覚えてきた?きっと女だったら惚れてるよ?」くすくすと笑いながら冗談めいた言葉を投げかけた。
「……お前だったらどうなんだよ」やけに真剣に見つめてくる。目を逸らさせないような眼差し。否、俺がきっと目を離せないんだ。
「…え?どういう意味…」柚斗の言葉の意図を理解出来なくて首をかしげる。
「…だから…さっきの俺の言葉言われて、お前はどう思ったんだって聞きてぇの」小さな声で、しかしはっきりと告げてきた。
「えっと…そりゃ嬉しかったよ」本当は少しどきっとしたとかそんなの口が裂けても言えない。
「そうか……勉強の続きやろうぜ」一瞬柚斗が寂しげな表情になる。しかし直ぐにいつもと同じ調子になった。今のは一体…?
「…何か、俺変な事言っちゃった?」柚斗を傷付けたのではないかと不安になり柚斗を見つめる。すると柚斗は優しく微笑んだ。
「別に。嬉しいと思ってくれてたならそれで良いんだ。まだ、それでも」再び柚斗が俺の頭を撫でる。
最後の「まだ、それでも」という言葉の意味はこの時には理解出来なかった。
今も何処かで誰かが俺の事を見ているような気がして恐怖感を抱えながら過ごす日々が続いた。
「いち…?おい、お前最近大丈夫か?」柚斗が心配そうに俺の顔を覗き込む。
今は双子の家で柚斗に勉強を教えている最中だ。珍しく桃汰は此処にいない。何か用事があるらしい。
「ごめん、大丈夫。続きやろうか」柚斗に心配を掛けたくなくて、大丈夫じゃないのに大丈夫だとつい口走ってしまった。
「……あの時の事考えてんのか?」柚斗はじっと俺を見つめてくる。あぁ、嘘がバレてしまった。
桃汰には嘘は通じるけど柚斗には嘘は通じない。察しの良い奴だからすぐにバレてしまう。
「……まぁな。考えたくなくても考えちゃうよな。気にしないようにしてるんだけど」俺は困ったような笑みを浮かべながら答えた。
「…怖かったよな。大丈夫、もうあんな目には遭わせたりしねぇよ」柚斗はふっと優しい笑みを浮かべて俺の頭を撫でた。何故か不覚にもきゅんとしてしまって、その感覚に俺は疑問を覚えた。何だこの気持ち。
「…大丈夫。もう過去を振り返るのはやめる。いつも心配してくれてありがとうゆず。でもゆずが危険な目に遭うのは嫌だから無理はしないで。自分の身は自分で守れるようになるから俺」歳下に撫でられるのも何か微妙だが、しかしその心地良さに身を委ねてしまう。柚斗の優しい笑みを見ると心が温かくなるのを感じた。
「…もっと頼ってくれりゃ良いのに。何でも1人で頑張ろうとするな。お前おっちょこちょいだしよ」頭を撫でる手を一旦止めて柚斗にじとりと見つめられる。
「な、おっちょこちょいは余計だろ。ちゃんと気をつけるから大丈夫だって」柚斗を見つめながら答えると柚斗は楽しそうに笑う。
「…その言葉信用出来ねーな。ま、安心しろよ。いちの事は俺が守るからよ」真剣な眼差しで見つめてくる。再びきゅんとしてしまった。何その言葉、口説き文句ですか。
「….ねぇ、そんな言葉何処で覚えてきた?きっと女だったら惚れてるよ?」くすくすと笑いながら冗談めいた言葉を投げかけた。
「……お前だったらどうなんだよ」やけに真剣に見つめてくる。目を逸らさせないような眼差し。否、俺がきっと目を離せないんだ。
「…え?どういう意味…」柚斗の言葉の意図を理解出来なくて首をかしげる。
「…だから…さっきの俺の言葉言われて、お前はどう思ったんだって聞きてぇの」小さな声で、しかしはっきりと告げてきた。
「えっと…そりゃ嬉しかったよ」本当は少しどきっとしたとかそんなの口が裂けても言えない。
「そうか……勉強の続きやろうぜ」一瞬柚斗が寂しげな表情になる。しかし直ぐにいつもと同じ調子になった。今のは一体…?
「…何か、俺変な事言っちゃった?」柚斗を傷付けたのではないかと不安になり柚斗を見つめる。すると柚斗は優しく微笑んだ。
「別に。嬉しいと思ってくれてたならそれで良いんだ。まだ、それでも」再び柚斗が俺の頭を撫でる。
最後の「まだ、それでも」という言葉の意味はこの時には理解出来なかった。
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