甘くて酸っぱいフルーツいかが。

ふわパカ

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中学校時代を振り返って⑥ (r12?)

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今日は土曜日で休日だ。試験もないし、課題も早く終わらせたし今日はごろごろしちゃおう。

ベッドにダイブしてごろごろし始める俺。今日は家に居るのは俺だけ。両親は仕事で祖母は友達と二泊三日の旅行に行っている。

掃除も洗濯も洗い物も終わったし、とりあえずやることはない。ごろごろするに限る。

すると突然スマホが鳴る。びっくりした。音量最大にしたままだった…画面を見ると柚斗からの電話。

「もしもし?ゆず?おはよう」俺が挨拶すると柚斗も挨拶を返す。

「おはよう。今から会えるか?」急な誘いに驚く。いつも柚斗は急に会おうだなんて言ってこない。必ず何日か前に連絡をしてくる。何かあったのだろうか。

「うん、何の用事もないから会えるよ。俺の家にくる?今誰も居ないから」そう言うと柚斗は直ぐに行くと伝えて電話を切った。そして3分もしない間にインターホンが鳴る。早いな。まぁ隣の家だから当たり前か。

柚斗である事を確認してからドアを開ける。柚斗はお邪魔しますと言ってから家に上がった。

「まだ何も飲み物とか用意出来てないんだよね。何飲む?」もう少し前に連絡があれば用意出来たのだがなんせ急だったから何も用意出来ていない。

「急に来ちまったからな、悪い。炭酸あるか?」そう、柚斗はとても炭酸飲料が大好き。よく互いの家を行き来するからそれぞれの好きな物が各家に常備されてたりする。だから彼の好きな炭酸飲料も冷やしてあった。

「勿論あるよ」キッチンに向かうと冷蔵庫から冷えたコーラを取り出してグラスに注ぐ。そうそう、柚斗は氷無しじゃないと文句を言う。味が薄くなるのが嫌らしい。俺は氷無しのコーラと朝ご飯の時に俺が揚げた唐揚げの残りを皿に盛り付けて柚斗の元へと戻った。

「サンキュー。お、美味そう。いちの母さんが作ったのか?それともいちが?」テーブルに置かれた唐揚げを見て目を光らせる柚斗。柚斗は肉料理も好きなのだ。

「今日は俺が朝揚げた唐揚げ。いち兄特製の唐揚げ召し上がれ」柚斗にお箸を渡すと柚斗はいただきますと言って直ぐさま唐揚げを頬張る。そんなに慌てて食べなくてもいいのに。

「美味い。流石いちだな。いちの料理は何でも美味い」柚斗は顔を綻ばせながら美味しそうに唐揚げを食べている。そんな風に食べてくれると作った俺も幸せになる。

「そんなに褒めても何も出ないけどな。ところで何かあった?」柚斗を見つめると柚斗は目を逸らした。やっぱ何かあったんだ。

「….いちは、兄貴が好きか?」柚斗は一旦箸を置くと真っ直ぐに俺を見つめた。急に改まって聞く事か?

「好きだけど…なんで?同じようにゆずの事も好きだよ。つか何言わせるんだよ恥ずかしいじゃん」改めて言うのが恥ずかしく感じる。昔はこういう事も素直に言えたんだけど。

「…そうか。なら良い」柚斗は安心したのかほっと一息ついた。

「…?それを聞く為に来たの?」首を傾げながら柚斗を見つめる。柚斗は頷いた。

「そう。でも本当は後もう一つ聞きてぇ事がある。….けどそれを聞くのが怖い」柚斗の口から怖いと聞くのは初めてだ。一体何を聞きたいのだろうか。

「無理しなくて良いけど…でも聞いた方がすっきりしたりするんじゃない?俺何でも答えるよ」柚斗を見つめると柚斗は俺の目を見て小さく頷いた。

「…兄貴に告白されたか?」その問い掛けに俺は固まってしまう。え?桃汰が話したのか?

「…えっと…それは…」何となく答えにくくて俺が言い淀むと柚斗が俺の腕を掴んできた。俺の腕を掴む彼の手は震えていた。

「やっぱされたのか。だからあの日俺に1人で帰らせたんだろ。付き合ってんの?」柚斗は真っ直ぐに俺を見つめてくる。相変わらず俺の腕を掴んだままだ。どんどん腕を掴む彼の手に力が入る。

「いや、付き合ってない。俺にとってももは可愛い弟みたいな存在だから…それにもっと幸せにできる人がいるだろうし」俺が答えると俺の腕を掴む柚斗の手の力が弱まる。

「なら…それなら俺と付き合って」柚斗は衝撃発言を告げる。何?何で?俺は男なのに。

「……え…あの…」まさか柚斗からも告白されるとは思ってなくてすぐに返す言葉が出てこなかった。すると突然柚斗が俺を押し倒した。

「っ…ちょ、何して…」俺よりも背が大きい柚斗から逃げる事なんて出来ずに下から柚斗を見上げる。柚斗はじっと俺を見ていた。

「俺も好きなんだ。ずっと前からいちの事が好きだった。兄貴がいちの事好きなのも勘づいてた。だから兄貴にとられる前に俺が先に告ろうと思ってたのに」柚斗は悔しそうな表情で俺を見つめる。

「嬉しい、けど…でも俺、男だし。ももが言ってたように恋愛に年齢も性別も関係ないとは確かに思うけど…でも俺ももの事もゆずの事も恋愛対象としては見れないよ」小さい頃から2人の面倒を見てきた。いつも俺についてきてくれるのが嬉しくて、可愛くて…弟みたいな存在を恋愛対象として見るなんて、そんな簡単には出来ない。

「…別に好きになって欲しいわけじゃねーよ。兄貴も俺も勝手にいちを好きになっただけだ。恋ってするもんじゃなくて堕ちるもんだろ?気づいたらいちの事しか考えられなくなってた。好きだ、いち」熱の篭る瞳で見つめられると俺は返す言葉を失う。柚斗の指先が俺の唇をそっと撫でる。

「…いちの事好きで好きで堪らない。兄貴や他の人がいちと一緒に居るのを見るだけでイライラしちまってヤキモチばっか妬いてた。今すぐにでもいちの唇奪いたいとか思ってる。でも…いちの悲しむ顔だけは見たくねーから、いちがちゃんと振り向いてくれるまで….もっと強くなってかっこよくなっていちに見合う男になるから」柚斗は苦しそうに笑みを浮かべた。見てるこちらまで胸が締め付けられるような顔。

きっと2人は俺の出した答えによって傷ついたに違いない。それなのに2人はまだ俺を好きだと言ってくれるのだろうか。


すると突然玄関が開いた。やばい、こんなところ見られたらまずい…!

「いち兄~、空手やってきたー。あー疲れた。いち兄にお土産買ってき…た……」どうやら桃汰が来たようだ。よく頻繁に来る2人には合鍵を渡してある。2人に1つしかないのでどうやら2人で交代で持つようにしているらしい。お土産を片手に持った桃汰が俺たちの前へと姿を現した。そして持っていたお土産の箱が床に落ちる。桃汰は驚きを隠せない様子で俺たち2人を見た。

「何…してんの。ゆず、いち兄。2人はそういう関係だったわけ…?」いつもより低い声で問いかけてくる。


どうするんだ。色々と誤解されたに違いない….どう弁解しよう…
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