47 / 48
46.趣味なんです
しおりを挟む
「さて、特に覚えて頂きたい護身術は全て教えられましたし…本日の護身術の練習は、此れで終わりにしましょう。遙様、お疲れ様でした」アルカナが深く一礼する。其れに釣られて俺もお辞儀をした。
「お忙しい中、ご指導頂き有難う御座いました。アルカナさんやカレンさんが丁寧に教えて下さったので、俺でも覚える事が出来ました」アルカナとカレンを見ると、二人は優しく微笑んでいた。
「お疲れ様でした遙様。お昼迄未だ後1時間も有りますから、お部屋に戻りましょうか」カレンが俺に声を掛ける。俺は彼の言葉に頷いた。
アルカナと別れ、カレンと共に私室へと戻ってきた。何か今になって、どっと疲れが……
すると突然、カレンから腕を掴まれた。如何したんだろう。
「…?カレンさん?如何かなさいましたか?」腕を掴まれた侭問い掛けると、彼はくすりと笑った。
「ふふ、どうぞ護身術を試してみてください」そういう事か、其れでいきなり腕を掴んできたのか。
先程習った様に護身術を実践し、彼の腕から解放される事に成功した。此れ位なら俺でも簡単に出来る。
「練習させて頂き有難う御座います。急に掴まれたので、何か有ったのかと思ってしまいました」俺が肩を竦めながら述べると、彼はくすくすと笑った。
「ふふ、其れ程私に対して警戒心が無いという事ですね」確かに彼の言う通りだ。だって俺のお世話係だし、信頼もしてるし、警戒する必要が無い。
「其れはそうですね。カレンさんの事は信頼してますし、カレンさんに警戒する必要なんて無いですから」そう伝えると、彼は嬉しそうに笑みを溢した。
「貴方様は本当に……本当に真っ直ぐなお方ですね」優しい表情で彼が俺を見つめる。何だろう、凄く今の表情好き。
「其れにカレンさんと居ると落ち着くっていうか…安心するんです。だから警戒は全くして無いです」そう言うと、彼はより一層笑みを深めた。そんなに嬉しい言葉だったかな。
「遙様は私が喜ぶ言葉ばかりくださいますね。此れでは私は益々貴方に……」俺に、何だろう?俺が首を傾げると、彼はふるりと首を横に振った。
「申し訳御座いません、何でも有りません。…ところで遙様、本日の昼食は如何致しましょうか。王様は外交で外へ行かれていますし、フレイア様はお昼は食堂で召し上がる日も有れば、召し上がらない日も御座いますので…此方のお部屋にお食事を運ぶ事も可能で御座います」…話変えられた?まぁ良いか。
お昼如何しようかな。あの広い食堂で自分だけぽつんと食べるのは、寂しいよな。
俺はずっと気になっていた事を、彼に聞いてみる事にした。
「そうですね…食堂で1人ぽつんと食べるのは、寂しい気もしますね。ずっと聞きたかったんですけど、此の部屋のあのキッチン…厨房?調理場?は使用しても構いませんか?」そう、此の部屋には、一角にキッチンが有るのだ。食器や調理器具も有るし、料理が出来るのでは?と思っていた。
「勿論で御座います。此の部屋は遙様に与えられたお部屋ですので、どうぞご自由にお過ごしください。しかし…遙様は料理がお得意なのですか?」そっか、使って良いなら今日のお昼は自分で料理してみようかな。
「良かった…食材は頂戴する事は可能ですか…?可能であれば、今日のお昼は自分で作ろうかと思いまして。昔から料理をするのが趣味なんです」冷蔵庫とかは流石に無さそうだし、必要な食材を必要な分だけ用意する必要が有りそう。
「厨房の食材は全てご自由にお使いください。しかし遙様がお料理を…素晴らしい趣味をお持ちですね。では早速食材を貰いに厨房へ行きましょうか」良かった、食材は確保出来そう。
カレンに連れられ、厨房へとやって来た。流石お城の厨房、広いし食材も調理器具も豊富。お皿の量も凄いな…
厨房にはオーブンも有る。オーブンと言っても、窯みたいな感じだけど。此れが有れば、お菓子も作れるかも。
そろそろ白米を食べたいと思ってたけど、流石に米は無いよな…和食が恋しい。
うーん…今日は天気も良いから、外で食べるのも良いよな。よし、此の料理なら此の世界の材料でも作れそう。
使う材料を必要分貰い、私室へと戻って来た。久々に料理するな、わくわくする。
「此の食材で一体何を作るんですか?」カレンが材料を見ながら訊ねてきた。俺が作ろうとしているのは、サンドイッチである。
「此の世界での名前を知らないんですけど、サンドイッチという料理です。食材をパン…じゃなくて、パネ?で挟んだ料理です」俺が説明すると、カレンは大きく頷いた。どうやら伝わったみたい。
「さんどいっち、と言うのですね。此方ではパニーニと呼んでいます」パニーニ?何かパン屋さんで偶に見かけるよな。あれって何処の国の言葉なんだろう。
そういえば前に、"ダンディライオン"って言葉も使ってたよな。あれも外国の言葉だよね。でも"スタイリスト"は伝わらなかったしな…
うーん、言葉の法則性がイマイチ掴めない。スパゲティは通じないけど、パスタは通じたし、確かパンの事は、パネって言ってたかな。
色んな言葉が混在してる感じ。よく分からない世界。
「お忙しい中、ご指導頂き有難う御座いました。アルカナさんやカレンさんが丁寧に教えて下さったので、俺でも覚える事が出来ました」アルカナとカレンを見ると、二人は優しく微笑んでいた。
「お疲れ様でした遙様。お昼迄未だ後1時間も有りますから、お部屋に戻りましょうか」カレンが俺に声を掛ける。俺は彼の言葉に頷いた。
アルカナと別れ、カレンと共に私室へと戻ってきた。何か今になって、どっと疲れが……
すると突然、カレンから腕を掴まれた。如何したんだろう。
「…?カレンさん?如何かなさいましたか?」腕を掴まれた侭問い掛けると、彼はくすりと笑った。
「ふふ、どうぞ護身術を試してみてください」そういう事か、其れでいきなり腕を掴んできたのか。
先程習った様に護身術を実践し、彼の腕から解放される事に成功した。此れ位なら俺でも簡単に出来る。
「練習させて頂き有難う御座います。急に掴まれたので、何か有ったのかと思ってしまいました」俺が肩を竦めながら述べると、彼はくすくすと笑った。
「ふふ、其れ程私に対して警戒心が無いという事ですね」確かに彼の言う通りだ。だって俺のお世話係だし、信頼もしてるし、警戒する必要が無い。
「其れはそうですね。カレンさんの事は信頼してますし、カレンさんに警戒する必要なんて無いですから」そう伝えると、彼は嬉しそうに笑みを溢した。
「貴方様は本当に……本当に真っ直ぐなお方ですね」優しい表情で彼が俺を見つめる。何だろう、凄く今の表情好き。
「其れにカレンさんと居ると落ち着くっていうか…安心するんです。だから警戒は全くして無いです」そう言うと、彼はより一層笑みを深めた。そんなに嬉しい言葉だったかな。
「遙様は私が喜ぶ言葉ばかりくださいますね。此れでは私は益々貴方に……」俺に、何だろう?俺が首を傾げると、彼はふるりと首を横に振った。
「申し訳御座いません、何でも有りません。…ところで遙様、本日の昼食は如何致しましょうか。王様は外交で外へ行かれていますし、フレイア様はお昼は食堂で召し上がる日も有れば、召し上がらない日も御座いますので…此方のお部屋にお食事を運ぶ事も可能で御座います」…話変えられた?まぁ良いか。
お昼如何しようかな。あの広い食堂で自分だけぽつんと食べるのは、寂しいよな。
俺はずっと気になっていた事を、彼に聞いてみる事にした。
「そうですね…食堂で1人ぽつんと食べるのは、寂しい気もしますね。ずっと聞きたかったんですけど、此の部屋のあのキッチン…厨房?調理場?は使用しても構いませんか?」そう、此の部屋には、一角にキッチンが有るのだ。食器や調理器具も有るし、料理が出来るのでは?と思っていた。
「勿論で御座います。此の部屋は遙様に与えられたお部屋ですので、どうぞご自由にお過ごしください。しかし…遙様は料理がお得意なのですか?」そっか、使って良いなら今日のお昼は自分で料理してみようかな。
「良かった…食材は頂戴する事は可能ですか…?可能であれば、今日のお昼は自分で作ろうかと思いまして。昔から料理をするのが趣味なんです」冷蔵庫とかは流石に無さそうだし、必要な食材を必要な分だけ用意する必要が有りそう。
「厨房の食材は全てご自由にお使いください。しかし遙様がお料理を…素晴らしい趣味をお持ちですね。では早速食材を貰いに厨房へ行きましょうか」良かった、食材は確保出来そう。
カレンに連れられ、厨房へとやって来た。流石お城の厨房、広いし食材も調理器具も豊富。お皿の量も凄いな…
厨房にはオーブンも有る。オーブンと言っても、窯みたいな感じだけど。此れが有れば、お菓子も作れるかも。
そろそろ白米を食べたいと思ってたけど、流石に米は無いよな…和食が恋しい。
うーん…今日は天気も良いから、外で食べるのも良いよな。よし、此の料理なら此の世界の材料でも作れそう。
使う材料を必要分貰い、私室へと戻って来た。久々に料理するな、わくわくする。
「此の食材で一体何を作るんですか?」カレンが材料を見ながら訊ねてきた。俺が作ろうとしているのは、サンドイッチである。
「此の世界での名前を知らないんですけど、サンドイッチという料理です。食材をパン…じゃなくて、パネ?で挟んだ料理です」俺が説明すると、カレンは大きく頷いた。どうやら伝わったみたい。
「さんどいっち、と言うのですね。此方ではパニーニと呼んでいます」パニーニ?何かパン屋さんで偶に見かけるよな。あれって何処の国の言葉なんだろう。
そういえば前に、"ダンディライオン"って言葉も使ってたよな。あれも外国の言葉だよね。でも"スタイリスト"は伝わらなかったしな…
うーん、言葉の法則性がイマイチ掴めない。スパゲティは通じないけど、パスタは通じたし、確かパンの事は、パネって言ってたかな。
色んな言葉が混在してる感じ。よく分からない世界。
0
あなたにおすすめの小説
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~
槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。
公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。
そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。
アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。
その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。
そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。
義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。
そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。
完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる