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47.行ってみたいです
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よし、早速サンドイッチを作ろう。先ずは具材を用意しようかな。
レタスやトマト、玉ねぎ等の野菜を綺麗に洗い、食べ易い大きさに切り始める。カレンが傍でじっと俺を見守っている。
「遙様、私も何かお手伝い致します。パネでも切りましょうか」手伝って貰えるのは有り難い。パネって確か…パンの事だよな。
「其れはとても助かります。是非お願いします」俺が頷くと、彼は嬉しそうに袖を捲り始めた。
卵サンドも作りたいよな。マヨネーズが欲しいけど、此の国には無いみたいだし作るしか無さそう。
其れより此のコンロは如何使うんだろう?如何やれば火が点くのだろうか。ボタンとかも見当たらないし…
「遙様、如何かなさいましまか?」パンを切りながら、俺の様子を見ていたカレンが、戸惑う俺に声を掛けてくれた。
「如何やって火を点けるのかが分からなくて…」困惑した表情で彼を見つめると、彼はくすりと笑った。
「ふふ、遙様は此方の国の炉を使われるのは初めてでしたね。火の国と呼ばれるアルム王国には、火属性の者が多く暮らしております。此の国の人口の半分以上は、火属性なのです。其の為、炉に火を点火させるのは、昔から火魔法を使って点火させております。此処最近は、火属性以外の者も多く暮らすようになり、炉の種類も変わってきてはいるのですが…此のお部屋の炉は、火魔法で点火させる必要が有るみたいですね」此の国って火の国だったんだ…初耳なんだけど。
つまり此のコンロは、火属性が多い国ならではのコンロって事か。何か面白い。
「そうだったんですね…火の国というのは初めて知りました。そういえば、王様も火属性でしたね。ではカレンさんも火属性なのですか?」そういえば昨日、王が火魔法を扱う所を見せてくれたっけ。という事はきっと、弟であるフレイアも火属性なのだろう。
「私の家系は、元々土属性なのです。ですから私には、此方の炉を扱う事が出来ません。ですが遙様であれば、扱う事は容易ですね」カレンは土属性なのか、其れも初耳だ。そうか…俺だったら火魔法も扱えるから、此のコンロに点火させる事が出来るのか。
「カレンさんは土属性だったんですね。では、出身も此の国ではないのですか?」彼の故郷は別の国なのだろうか。火の国が有るなら、きっと土の国も水の国も有るんだろうな。
「私は生まれも育ちも、此のアルム王国で御座います。本家は土の国と呼ばれるジレーザ王国、という所になります」じゃあ故郷は此の国なんだ。土の国…ちょっと興味有るかも。
「そうなんですね。土の国や火の国が有るなら、他にも水の国とかも有るんですか?」俺が訊ねると、カレンは大きく頷いた。
「はい、御座います。火の国アルム王国、土の国ジレーザ王国、水の国カエルレウム王国、氷の国ラルジャン王国、風の国ヒュメ王国、雷の国セリニ王国、光の国セイアッド王国、闇の国アートルム王国…此方の世界は大きく分けて、8つの国で構成されております」何かめちゃくちゃ覚え辛い国名。聞き慣れているお陰かもしれないけど、アルム王国が一番覚え易い。
「やっぱり沢山あるんですね。教えて頂き有難う御座います。光の国や闇の国も有るのですね」光の国と闇の国は、どんな所なんだろう。勝手なイメージだけど、闇の国は凄くどんよりしてそう。
「光の国は光属性だけ、闇の国は闇属性だけしか入国する事を許されておりません。其れ以外の国には他の属性の者も暮らしていますが…」光も闇も、其々入国に規制が有るのか。光の国にいつか行ってみたいな。
「そうなんですね…光の国と闇の国に入れるのは、限られた人だけなんですね。光の国は此処から遠いんですか?」近ければ是非行ってみたい。
「はい、かなり遠いですね。恐らく…アルム王国から一番遠い国が光の王国かと…」残念、よりによって一番遠い国だったか…
「そうですか…是非行ってみたいと思ったのですが…此処から一番近い国は何方ですか?」光の国には行けないかもだけど、もしかしたら他の国は行けるかもしれない。
「光の国へ行くには、転移魔法を使うしか方法がありませんね。唯、転移魔法を扱える魔術師は、そう多くありません。此の世界に、たった4人しか扱える魔術師が居ないのです。土、氷、雷、闇の国に転移魔法を扱える魔術師がおります。此の国と一番近いのは土の王国で、かなり友好関係も深く、貿易も盛んに行われております」転移魔法…そんな魔法も有るのか。しかも其れを扱えるのはたった4人…其れ程難しい魔法なんだろうな。
土の国が一番近いのか…しかも其処なら、転移魔法を扱える魔術師が居るって言ってたよな。いつか行ってみたいな、土の国。
「いつか土の国や光の国にも行ってみたいです。行けたら良いんですが…」俺が本音を洩らすと、カレンはくすりと笑った。
「きっと行けますよ。土の国は私の本家が有る国ですし、とても平和な国ですから、胸を張ってお勧め出来ます。遙様が土の国へ赴く際は、是非私がお供致します。光の国へは私はついて行けませんが…」お勧めされると、益々興味が湧く。其れにカレンがついて来てくれるなら、とても心強い。
でも光の国は光属性しか入れない。となると、自分一人で行かなければいけないという事か。其れは結構不安だな…
「其れと、転移魔法が扱える魔術師は、土の国に居ると申し上げましたね。実は其の魔術師は、私の親戚なのです。ですから、私からお願いすれば、光の国へ行きたいという遙様のお考えに、沿える結果が出せるかもしれません」…カレンさん凄過ぎ。そんな凄い魔術師と親戚だなんて。
「本当に有り難いお話です。もしお力添えを頂けたら、とても嬉しいです。でも転移魔法って…かなりの魔力を要するのでは?其れに難しそうな魔法ですよね」"転移魔法"ってのが未だしっくりきてはないけど、きっとかなり難しいだろうし、術者にとって、かなりの負担になるだろうと考えられる。
「勿論協力させてください。…魔法には幾つかの階級が御座います。転移魔法は其の中でも、上級の魔法と言われております。最上級魔法には、時空魔法というのが御座います」魔法にも階級が有るのか。きっと俺が今まで扱ってきた魔法は、低級魔法なんだろうな。
ところで…時空魔法って何だろう?
レタスやトマト、玉ねぎ等の野菜を綺麗に洗い、食べ易い大きさに切り始める。カレンが傍でじっと俺を見守っている。
「遙様、私も何かお手伝い致します。パネでも切りましょうか」手伝って貰えるのは有り難い。パネって確か…パンの事だよな。
「其れはとても助かります。是非お願いします」俺が頷くと、彼は嬉しそうに袖を捲り始めた。
卵サンドも作りたいよな。マヨネーズが欲しいけど、此の国には無いみたいだし作るしか無さそう。
其れより此のコンロは如何使うんだろう?如何やれば火が点くのだろうか。ボタンとかも見当たらないし…
「遙様、如何かなさいましまか?」パンを切りながら、俺の様子を見ていたカレンが、戸惑う俺に声を掛けてくれた。
「如何やって火を点けるのかが分からなくて…」困惑した表情で彼を見つめると、彼はくすりと笑った。
「ふふ、遙様は此方の国の炉を使われるのは初めてでしたね。火の国と呼ばれるアルム王国には、火属性の者が多く暮らしております。此の国の人口の半分以上は、火属性なのです。其の為、炉に火を点火させるのは、昔から火魔法を使って点火させております。此処最近は、火属性以外の者も多く暮らすようになり、炉の種類も変わってきてはいるのですが…此のお部屋の炉は、火魔法で点火させる必要が有るみたいですね」此の国って火の国だったんだ…初耳なんだけど。
つまり此のコンロは、火属性が多い国ならではのコンロって事か。何か面白い。
「そうだったんですね…火の国というのは初めて知りました。そういえば、王様も火属性でしたね。ではカレンさんも火属性なのですか?」そういえば昨日、王が火魔法を扱う所を見せてくれたっけ。という事はきっと、弟であるフレイアも火属性なのだろう。
「私の家系は、元々土属性なのです。ですから私には、此方の炉を扱う事が出来ません。ですが遙様であれば、扱う事は容易ですね」カレンは土属性なのか、其れも初耳だ。そうか…俺だったら火魔法も扱えるから、此のコンロに点火させる事が出来るのか。
「カレンさんは土属性だったんですね。では、出身も此の国ではないのですか?」彼の故郷は別の国なのだろうか。火の国が有るなら、きっと土の国も水の国も有るんだろうな。
「私は生まれも育ちも、此のアルム王国で御座います。本家は土の国と呼ばれるジレーザ王国、という所になります」じゃあ故郷は此の国なんだ。土の国…ちょっと興味有るかも。
「そうなんですね。土の国や火の国が有るなら、他にも水の国とかも有るんですか?」俺が訊ねると、カレンは大きく頷いた。
「はい、御座います。火の国アルム王国、土の国ジレーザ王国、水の国カエルレウム王国、氷の国ラルジャン王国、風の国ヒュメ王国、雷の国セリニ王国、光の国セイアッド王国、闇の国アートルム王国…此方の世界は大きく分けて、8つの国で構成されております」何かめちゃくちゃ覚え辛い国名。聞き慣れているお陰かもしれないけど、アルム王国が一番覚え易い。
「やっぱり沢山あるんですね。教えて頂き有難う御座います。光の国や闇の国も有るのですね」光の国と闇の国は、どんな所なんだろう。勝手なイメージだけど、闇の国は凄くどんよりしてそう。
「光の国は光属性だけ、闇の国は闇属性だけしか入国する事を許されておりません。其れ以外の国には他の属性の者も暮らしていますが…」光も闇も、其々入国に規制が有るのか。光の国にいつか行ってみたいな。
「そうなんですね…光の国と闇の国に入れるのは、限られた人だけなんですね。光の国は此処から遠いんですか?」近ければ是非行ってみたい。
「はい、かなり遠いですね。恐らく…アルム王国から一番遠い国が光の王国かと…」残念、よりによって一番遠い国だったか…
「そうですか…是非行ってみたいと思ったのですが…此処から一番近い国は何方ですか?」光の国には行けないかもだけど、もしかしたら他の国は行けるかもしれない。
「光の国へ行くには、転移魔法を使うしか方法がありませんね。唯、転移魔法を扱える魔術師は、そう多くありません。此の世界に、たった4人しか扱える魔術師が居ないのです。土、氷、雷、闇の国に転移魔法を扱える魔術師がおります。此の国と一番近いのは土の王国で、かなり友好関係も深く、貿易も盛んに行われております」転移魔法…そんな魔法も有るのか。しかも其れを扱えるのはたった4人…其れ程難しい魔法なんだろうな。
土の国が一番近いのか…しかも其処なら、転移魔法を扱える魔術師が居るって言ってたよな。いつか行ってみたいな、土の国。
「いつか土の国や光の国にも行ってみたいです。行けたら良いんですが…」俺が本音を洩らすと、カレンはくすりと笑った。
「きっと行けますよ。土の国は私の本家が有る国ですし、とても平和な国ですから、胸を張ってお勧め出来ます。遙様が土の国へ赴く際は、是非私がお供致します。光の国へは私はついて行けませんが…」お勧めされると、益々興味が湧く。其れにカレンがついて来てくれるなら、とても心強い。
でも光の国は光属性しか入れない。となると、自分一人で行かなければいけないという事か。其れは結構不安だな…
「其れと、転移魔法が扱える魔術師は、土の国に居ると申し上げましたね。実は其の魔術師は、私の親戚なのです。ですから、私からお願いすれば、光の国へ行きたいという遙様のお考えに、沿える結果が出せるかもしれません」…カレンさん凄過ぎ。そんな凄い魔術師と親戚だなんて。
「本当に有り難いお話です。もしお力添えを頂けたら、とても嬉しいです。でも転移魔法って…かなりの魔力を要するのでは?其れに難しそうな魔法ですよね」"転移魔法"ってのが未だしっくりきてはないけど、きっとかなり難しいだろうし、術者にとって、かなりの負担になるだろうと考えられる。
「勿論協力させてください。…魔法には幾つかの階級が御座います。転移魔法は其の中でも、上級の魔法と言われております。最上級魔法には、時空魔法というのが御座います」魔法にも階級が有るのか。きっと俺が今まで扱ってきた魔法は、低級魔法なんだろうな。
ところで…時空魔法って何だろう?
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