消された「プーア」さん

本歌取安

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第14話 プーアさんのいる日常

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数週間が過ぎ、首都の街はいつもの喧騒を取り戻していた。

一時期、看板や広告から姿を消していた黄色い虎のプーアが、今ではあちこちで再び見かけられるようになっていた。

街角の大きな掲示板には、新聞の見出しが大きく躍っている。

「リュー大統領突然の退任。首相が臨時職務代行に」
「大統領の退任は病気によるものと公式発表―政府内のクーデターという見方も」
「汚職撲滅の功績、実際は反対派の粛清に利用か!?」

人々はざわつき、真偽を問う声もあるが、ニュースは確かに流れていた。

スマートフォンの画面を覗けば、SNSセンドゥには相変わらず「プーア」にまつわる投稿が飛び交っている。

「いつの間にか、プーアの検閲が解除されたみたいだな」
「うちの「プーア」が消してたんでしょう。だから「プーア」がいなくなったからプーアが戻ってきたw」
「そういえばトーワ帝国の小説に『山月記』ってのがあったけど、主人公が「プーア」に似てたかも…」
「だよね。病気での退任って、明らかに「プーア」が「消された」んでしょ。…。怖!」

心無い書き込みも多く、街の話題を賑わせていた。

そして、玩具店の一角には新品のプーアのぬいぐるみが並んでいる。

そのぬいぐるみの中には自動音声装置が組み込まれており、時折、くぐもった優しい声で繰り返す。

「ぼく、プーア。みんなの友達さ!」
「みんなに、『また』会えて嬉しいよ!」

子どもたちは笑顔でそれを見つめ、大人たちもどこか複雑な表情で見守っていた。

プーアは、静かに、しかし確実に、この国の心に根を張っていった。
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