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第4話 トレーニングの日々
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朝日が地平を照らし始めると同時に、レオナは目を覚ました。
10000回ものループを経た彼女の体内時計は、もはや精密な機械のごとく規則正しい。目覚めの瞬間、まるで戦場に放り出された兵士のように、すぐさま意識が覚醒する。
まずは両手を握りしめた。指先の感触を確かめるように、ゆっくりと開閉する。筋肉の膨らみはわずかに感じられるが――
「まだ足りない……」
小さく呟いた。
もっと強くならなければならない。もっと鍛えなければならない。
レオナは迷いなくベッドから飛び起きる。かつては絹のシーツの柔らかな感触に包まれながら、侍女に起こされるのが日常だった。だが、今は違う。優雅な朝の目覚めなど必要ない。
寝間着のままでは動きにくい。素早く服を脱ぎ捨て、用意しておいた動きやすい服に袖を通す。以前の彼女なら絶対に身につけなかった、使用人用のシンプルな作業服――しかし、それは鍛錬に最適だった。フリルもレースもいらない。ただ、戦うための身体を作る。それだけが彼女の目的だった。
今日も限界まで体を追い込む。
屋敷の庭に出ると、朝の冷たい風が頬を撫でた。肌が引き締まり、空気の鋭さが神経を研ぎ澄ます。
かつてなら、この時間の庭は花の手入れをする庭師や、優雅に紅茶を楽しむ令嬢たちのための空間だった。だが、今のレオナにとっては鍛錬場でしかない。
まずは準備運動。両腕を回し、首をほぐし、膝を曲げてしっかりとストレッチをする。以前ならダンスのために行っていた動きだが、今は違う。これは戦うための、死なないための訓練だ。
身体が温まり始めたのを感じると、レオナは深く息を吸い込んだ。そして、静かに言葉を紡ぐ。
「……よし、始めよう」
レオナは静かに呟くと、拳を一度握りしめて気合を入れた。
今日のメニューは、昨日よりも負荷を増やしたものだった。昨日の限界を超える。それが彼女の鍛錬における絶対のルール。停滞は死に等しい。進み続けるしかない。
まずは屋敷内に戻り、大広間へ向かう。
そこに鎮座するのは、貴族の晩餐に使われる分厚い木製の大きなテーブル。彫刻が施され、荘厳な雰囲気を醸し出すそれは、普段なら使用人が数人がかりで動かす代物だ。だが、彼女の目的は運ぶことではない――持ち上げること。
「はっ……!」
右手をしっかりとテーブルの端にかけ、膝を曲げて腰を入れる。
全身の筋肉が悲鳴を上げる。木材の重量が指先に食い込み、腕がしなるような感覚が走る。しかし、前回よりも確実に動かせている。数センチでも浮けば、それは成長の証。
「……ふぅ」
息を整え、ゆっくりと手を離す。
最初から完全に持ち上げる必要はない。重要なのは、昨日よりも一歩でも前に進むこと。ゆっくりと負荷を増やしながら、確実に鍛え上げていく。
次は左手でも同様の動作を行う。片腕だけが発達すればバランスが悪くなる。それを防ぐためにも、左右均等に鍛えることが肝要だった。
次のメニューは、重い花瓶を使ったトレーニング。
屋敷に飾られた豪奢な花瓶――大理石の台座に鎮座するそれは、装飾品であると同時に鍛錬の道具ともなり得る。
「ふっ……」
左右の手にそれぞれ花瓶を持ち、腕をゆっくりと持ち上げる。肩、上腕、前腕、全ての筋肉が張り詰めるのを感じながら、息を整え、慎重に動作を繰り返す。筋肉に効かせるように、片方ずつ丁寧に上下させる。
じんわりと腕が熱を帯び、汗がじわりとにじむ。だが、彼女の表情に苦痛の色はなかった。むしろ、確かな手応えを感じるたびに昂揚感が込み上げてくる。
最後のメニューは、屋敷の長い階段ダッシュ。
「いち、に、さん……!」
数を数えながら、一歩一歩を力強く踏みしめる。
心臓が激しく鼓動を打ち、呼吸が乱れ始める。だが、彼女は止まらない。動きを緩めず、一定のリズムで駆け上がる。
最上階に到達すると、そのまま勢いを殺さずにターンし、階段を駆け下りる。下りは上りほどの負荷はないが、バランスを崩せば転倒の危険がある。足元を意識し、慎重に踏みしめながら下る。
そして、再び上る。
額を伝う汗が、頬をかすめて地面へ落ちる。だが、それさえも心地よい。
「……鍛錬って、楽しいかもしれない」
そう思った瞬間、自分でも驚いた。
かつての彼女は、鍛錬とは無縁の生活を送っていた。
社交界では優雅に振る舞い、紅茶を嗜み、刺繍やダンスの稽古をするのが貴族令嬢の務めだった。華やかなドレスに身を包み、仮面舞踏会で微笑みを浮かべながら踊る。屋敷の階段を降りるときは侍女が裾を持ち、庭を散歩するときでさえ小型のパラソルを侍女に差し掛けられていた。
重いものを持つことは使用人の仕事。長い距離を歩くことも馬車で移動することで避けられる。ほんの少しの運動ですぐに息が上がり、座り込んでしまうこともあった。
それが、"普通の貴族令嬢" だった。
だが、今の彼女は違う。
腕や脚が強くなるにつれて、身体が軽くなるのを感じる。筋肉がついたことで、日常の動作がすべて楽になった。
今までなら屋敷の端まで歩いただけで疲れていたのに、今では庭を三周走っても息が上がらない。重い荷物を持っても、指先が震えない。腰を落としてしっかり持てば、使用人が数人がかりで運ぶ荷物すら持ち上げられるようになった。
階段を駆け上がるたびに、拳を握るたびに、確かな力が宿るのを実感する。
――これこそが、運命を変える道なのだ。
アイゼンブラッド家の令嬢として生まれた運命。何度繰り返しても破滅へと向かう未来。ならば、抗うしかない。自分の手で、この世界の理不尽をねじ伏せるために。
だが、屋敷の者たちは誰も彼女の決意を理解しなかった。
「アイゼンブラッド家の令嬢が、なぜそんなことを……」
「筋肉を鍛えてどうするつもりなのかしら……?」
そんな囁きが耳に届くたびに、レオナは静かに微笑んだ。
彼らには理解できないだろう。なぜ貴族の令嬢が、使用人よりも早く動き、より重いものを持ち、朝から晩まで鍛錬に励むのか。
だが、それでいい。
――どうせ、誰も私のことを信じない。ならば、結果を見せるまでよ。
力があれば、すべてを変えられる。言葉ではなく、行動で示すのだ。
10001回目のループに入り、二か月が経った。
ふと、自分の姿を鏡に映してみる。そこに映るのは、かつての貴族令嬢とは似ても似つかぬ姿だった。
以前は細く華奢だった腕。触れれば折れそうなほど頼りなかったそれは、今や引き締まり、力強さを宿している。拳を軽く握るだけで、内側から漲る力を実感できる。かつてはただの装飾に過ぎなかった指輪も、今ではしっかりとした関節と筋の上に乗っている。
脚のラインも変わった。優雅にドレスを纏うためだけの細い脚ではなくなった。鋭く引き締まり、どんな道でも力強く踏みしめることができる。かつては少し走っただけで悲鳴を上げていた足首やふくらはぎも、今は揺るぎない安定感を誇っている。
変わり始めている。変わり続けている。
体が変われば、きっと運命も変わる。
過去のループの経験から、下手に動かなければ二か月程度は生き延びられることは分かっていた。問題はここからだった。
この先、何もしなくとも破滅フラグが次々と立ち始める。貴族令嬢としての立場が危うくなり、周囲の視線が変わり、運命が徐々に悪い方へと転がり始める。これまでは、どう足掻いても抗えなかった未来。
だが、今の自分なら――
この鍛え上げた筋肉なら、打ち破れるはずだ。
レオナはゆっくりと拳を握りしめた。
かつては、恐怖と絶望に支配されていた時間。破滅の足音が近づくたびに、怯え、逃げることしかできなかった。だが、今は違う。
力がある。
肉体が変わった。思考が変わった。
ならば、運命も変えられる。
レオナは闘志にあふれた目で、きたるべき困難を見据えた。
もう逃げない。もう怯えない。
破滅など、この鍛え上げた肉体でねじ伏せるだけだ。
10000回ものループを経た彼女の体内時計は、もはや精密な機械のごとく規則正しい。目覚めの瞬間、まるで戦場に放り出された兵士のように、すぐさま意識が覚醒する。
まずは両手を握りしめた。指先の感触を確かめるように、ゆっくりと開閉する。筋肉の膨らみはわずかに感じられるが――
「まだ足りない……」
小さく呟いた。
もっと強くならなければならない。もっと鍛えなければならない。
レオナは迷いなくベッドから飛び起きる。かつては絹のシーツの柔らかな感触に包まれながら、侍女に起こされるのが日常だった。だが、今は違う。優雅な朝の目覚めなど必要ない。
寝間着のままでは動きにくい。素早く服を脱ぎ捨て、用意しておいた動きやすい服に袖を通す。以前の彼女なら絶対に身につけなかった、使用人用のシンプルな作業服――しかし、それは鍛錬に最適だった。フリルもレースもいらない。ただ、戦うための身体を作る。それだけが彼女の目的だった。
今日も限界まで体を追い込む。
屋敷の庭に出ると、朝の冷たい風が頬を撫でた。肌が引き締まり、空気の鋭さが神経を研ぎ澄ます。
かつてなら、この時間の庭は花の手入れをする庭師や、優雅に紅茶を楽しむ令嬢たちのための空間だった。だが、今のレオナにとっては鍛錬場でしかない。
まずは準備運動。両腕を回し、首をほぐし、膝を曲げてしっかりとストレッチをする。以前ならダンスのために行っていた動きだが、今は違う。これは戦うための、死なないための訓練だ。
身体が温まり始めたのを感じると、レオナは深く息を吸い込んだ。そして、静かに言葉を紡ぐ。
「……よし、始めよう」
レオナは静かに呟くと、拳を一度握りしめて気合を入れた。
今日のメニューは、昨日よりも負荷を増やしたものだった。昨日の限界を超える。それが彼女の鍛錬における絶対のルール。停滞は死に等しい。進み続けるしかない。
まずは屋敷内に戻り、大広間へ向かう。
そこに鎮座するのは、貴族の晩餐に使われる分厚い木製の大きなテーブル。彫刻が施され、荘厳な雰囲気を醸し出すそれは、普段なら使用人が数人がかりで動かす代物だ。だが、彼女の目的は運ぶことではない――持ち上げること。
「はっ……!」
右手をしっかりとテーブルの端にかけ、膝を曲げて腰を入れる。
全身の筋肉が悲鳴を上げる。木材の重量が指先に食い込み、腕がしなるような感覚が走る。しかし、前回よりも確実に動かせている。数センチでも浮けば、それは成長の証。
「……ふぅ」
息を整え、ゆっくりと手を離す。
最初から完全に持ち上げる必要はない。重要なのは、昨日よりも一歩でも前に進むこと。ゆっくりと負荷を増やしながら、確実に鍛え上げていく。
次は左手でも同様の動作を行う。片腕だけが発達すればバランスが悪くなる。それを防ぐためにも、左右均等に鍛えることが肝要だった。
次のメニューは、重い花瓶を使ったトレーニング。
屋敷に飾られた豪奢な花瓶――大理石の台座に鎮座するそれは、装飾品であると同時に鍛錬の道具ともなり得る。
「ふっ……」
左右の手にそれぞれ花瓶を持ち、腕をゆっくりと持ち上げる。肩、上腕、前腕、全ての筋肉が張り詰めるのを感じながら、息を整え、慎重に動作を繰り返す。筋肉に効かせるように、片方ずつ丁寧に上下させる。
じんわりと腕が熱を帯び、汗がじわりとにじむ。だが、彼女の表情に苦痛の色はなかった。むしろ、確かな手応えを感じるたびに昂揚感が込み上げてくる。
最後のメニューは、屋敷の長い階段ダッシュ。
「いち、に、さん……!」
数を数えながら、一歩一歩を力強く踏みしめる。
心臓が激しく鼓動を打ち、呼吸が乱れ始める。だが、彼女は止まらない。動きを緩めず、一定のリズムで駆け上がる。
最上階に到達すると、そのまま勢いを殺さずにターンし、階段を駆け下りる。下りは上りほどの負荷はないが、バランスを崩せば転倒の危険がある。足元を意識し、慎重に踏みしめながら下る。
そして、再び上る。
額を伝う汗が、頬をかすめて地面へ落ちる。だが、それさえも心地よい。
「……鍛錬って、楽しいかもしれない」
そう思った瞬間、自分でも驚いた。
かつての彼女は、鍛錬とは無縁の生活を送っていた。
社交界では優雅に振る舞い、紅茶を嗜み、刺繍やダンスの稽古をするのが貴族令嬢の務めだった。華やかなドレスに身を包み、仮面舞踏会で微笑みを浮かべながら踊る。屋敷の階段を降りるときは侍女が裾を持ち、庭を散歩するときでさえ小型のパラソルを侍女に差し掛けられていた。
重いものを持つことは使用人の仕事。長い距離を歩くことも馬車で移動することで避けられる。ほんの少しの運動ですぐに息が上がり、座り込んでしまうこともあった。
それが、"普通の貴族令嬢" だった。
だが、今の彼女は違う。
腕や脚が強くなるにつれて、身体が軽くなるのを感じる。筋肉がついたことで、日常の動作がすべて楽になった。
今までなら屋敷の端まで歩いただけで疲れていたのに、今では庭を三周走っても息が上がらない。重い荷物を持っても、指先が震えない。腰を落としてしっかり持てば、使用人が数人がかりで運ぶ荷物すら持ち上げられるようになった。
階段を駆け上がるたびに、拳を握るたびに、確かな力が宿るのを実感する。
――これこそが、運命を変える道なのだ。
アイゼンブラッド家の令嬢として生まれた運命。何度繰り返しても破滅へと向かう未来。ならば、抗うしかない。自分の手で、この世界の理不尽をねじ伏せるために。
だが、屋敷の者たちは誰も彼女の決意を理解しなかった。
「アイゼンブラッド家の令嬢が、なぜそんなことを……」
「筋肉を鍛えてどうするつもりなのかしら……?」
そんな囁きが耳に届くたびに、レオナは静かに微笑んだ。
彼らには理解できないだろう。なぜ貴族の令嬢が、使用人よりも早く動き、より重いものを持ち、朝から晩まで鍛錬に励むのか。
だが、それでいい。
――どうせ、誰も私のことを信じない。ならば、結果を見せるまでよ。
力があれば、すべてを変えられる。言葉ではなく、行動で示すのだ。
10001回目のループに入り、二か月が経った。
ふと、自分の姿を鏡に映してみる。そこに映るのは、かつての貴族令嬢とは似ても似つかぬ姿だった。
以前は細く華奢だった腕。触れれば折れそうなほど頼りなかったそれは、今や引き締まり、力強さを宿している。拳を軽く握るだけで、内側から漲る力を実感できる。かつてはただの装飾に過ぎなかった指輪も、今ではしっかりとした関節と筋の上に乗っている。
脚のラインも変わった。優雅にドレスを纏うためだけの細い脚ではなくなった。鋭く引き締まり、どんな道でも力強く踏みしめることができる。かつては少し走っただけで悲鳴を上げていた足首やふくらはぎも、今は揺るぎない安定感を誇っている。
変わり始めている。変わり続けている。
体が変われば、きっと運命も変わる。
過去のループの経験から、下手に動かなければ二か月程度は生き延びられることは分かっていた。問題はここからだった。
この先、何もしなくとも破滅フラグが次々と立ち始める。貴族令嬢としての立場が危うくなり、周囲の視線が変わり、運命が徐々に悪い方へと転がり始める。これまでは、どう足掻いても抗えなかった未来。
だが、今の自分なら――
この鍛え上げた筋肉なら、打ち破れるはずだ。
レオナはゆっくりと拳を握りしめた。
かつては、恐怖と絶望に支配されていた時間。破滅の足音が近づくたびに、怯え、逃げることしかできなかった。だが、今は違う。
力がある。
肉体が変わった。思考が変わった。
ならば、運命も変えられる。
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