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126話 対立激化

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 私はアリシアさんに押し倒されてしまった。
 まったくもう!
 弟のフレッドといい親友のアリシアさんといい、どうしてこうなるのかしら!?
 少しは私の言うことを聞いてほしいのだけれど……。

「ちょっとアリシアさん、どういうつもりよ?」

「イザベラ様が悪いんですよ。わたしの気持ちを分かってくれないのですから」

「アリシアさん、何を言って……」

「わたしのことなんて、どうでもいいんでしょう? だから、そんなひどいことを言えるんだわ」

「ひどいこと? 私、何か言ったかしら?」

 私はアリシアさんの言っている意味がよく分からなかった。

「わたしはずっと我慢してきたんです。それなのに、イザベラ様はいつも男と一緒にいる。わたしだって、イザベラ様に構ってもらいたい。わたしを見てほしい。わたしのことを好きになってほしい。わたしだけのイザベラ様であってほしかったのに……」

 アリシアさんが泣いていた。

「アリシアさん……」

「どうしてですか? 今日の秋祭りだって、わたしが先に約束していたのに……。わたしのことはどうでもいいのですか?」

「そ、それは……」

 私は言葉に詰まる。
 アリシアさんとの約束を忘れていたのは、正直申し訳なかったと思っている。
 なんだか、頭にモヤがかかったように思い出せなくなることがあるのだ。
 でも確かに、アリシアさんのことを少し軽く扱ってしまっていたかもしれない。
 親友だとは思っていたけれど、さすがにこれほど大きな感情を向けられているとは思っていなかったのだ。

「もういいです。こうなれば、実力行使で既成事実を作ってしまいます。そうすれば、イザベラ様もきっとわたしを見直してくれるはずです」

 アリシアさんが不穏なことを言う。

「ちょ、ちょっと待ってよ! アリシアさん、落ち着いて……」

「嫌です。待ちません」

 アリシアさんの顔が近づいてくる。
 逃げようとするけれど、彼女の方が力は強い。
 これはマズい。
 そのときだった。

「させるかぁっ! くたばれぇっ!!!」

 フレッドの飛び蹴りにより、アリシアさんの体が吹き飛ぶ。
 ずいぶんと荒っぽい。
 それに、今の口調は……?

「ちっ! しつこいシスコン野郎がぁ……!」

「異常な同性愛者に言われる筋合いはねぇよ!」

 二人は睨み合う。
 立ち上る闇の瘴気の勢いがどんどん増している。

(これって、ひょっとして相当マズい?)

 これまでは、抱えていた感情が表出していただけだ。
 でも、こうして荒っぽい実力行使に出始めた上、口調までも変容しているとなると……。
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