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152話 オーストラリア合宿-1

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「おお……! ここがオーストラリアか!!」

 空港に降り立った瞬間、龍之介は思わず感嘆の声をあげた。
 異国の湿った熱気が肌にまとわりつき、耳には聞き慣れないアナウンスと英語のざわめきが飛び込んでくる。
 通路の向こうに広がる空の青さも、どこか日本とは違う――まるで絵葉書の中に入り込んだようだった。

「すげぇ! 本当に外国なんだ! あっ、見てみろ、あの木! ユーカリの木じゃねぇか!?」

 少年のように無邪気な声を上げる彼の視線の先には、空港のロータリー沿いに立ち並ぶ銀緑色の葉を茂らせた木々。
 その存在すら、彼にはまるで冒険の始まりを告げるサインのように思えた。

 ――2100年の今、野球人気は世界中で着実に増し続けている。
 オーストラリアにおいても、100年前と比べて格段に野球が普及していた。
 日本における野球人気と比べても、勝るとも劣らないレベルだ。

「ふふ、はしゃぎすぎよ」

 隣で彼を見つめるハルカは、肩をすくめながらもその笑顔に目を細める。
 彼女にとって、その姿はどこか懐かしく、そして心を和ませるものだった。

「だって、俺オーストラリア初めてなんだぜ! そりゃ興奮するって!」

 龍之介が目を輝かせて言った。
 その瞳は、まるで少年の頃に戻ったかのような澄んだ光を宿している。

 彼は今年で18歳。
 1月の今は高校2年生で、4月には3年生になる。
 身長も180cmを超え、引き締まった体躯には日々の鍛錬の成果が表れている。

 龍之介の佇まいは堂々としており、一見すると精悍なスポーツマンだ。
 しかし、彼の本質はそんな見た目だけでは語り尽くせない。
 彼の笑顔には、人懐こさと底抜けの明るさがにじんでおり、それが周囲の人間を自然と惹きつけてしまう力を持っていた。
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