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蛙人間
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月光を背に俺を押さえつける者は、泥臭い蛙の着ぐるみを纏っていた。そしてその着ぐるみの蛙が紺色の装束を所々に着ている。忍者っぽい奴だった。顔をグググッと上げて確認できた最低限の情報だ。
「気配を絶ったつもりだったのだがなぁ、いやはや、標的を一人取り損なってしまったぜ、ゲロリ」
不敵に蛙が口角を上げる。
だがこの展開は予想通りだった。嫌な予感を覚えていたから。その嫌な予感を覚えた上で「その場に待機」という立ち回りを取ったのだ。まぁ押さえつけられる痛みと謎の泥臭さ(青春的ニュアンスではなく単純に泥っぽい匂い)が苦痛ではあるが。
「おっといけねぇ、殺してはならぬ。生け捕りって言われてたな、ゲロリ」
ニヤリと蛙らしく舌を出し笑う。大きな蛙のような手足、そして地面を揺らすほどの跳躍力、明らかに体格差的にも相手の方が有利だ。しかし、
俺は強がるように笑みを浮かべ、苦し紛れに言ってやった。
「良いのかよ、そんなところにいて」
「ゲロ?」
「俺を捕まえてもろくなことがないぜ?肉も不味いかもな、何が狙いかは分からないが、今すぐ離した方がいい。」
「強がりが言えるのなら、まだまだ生き生きとしているという証拠だなぁゲロリ、離さぬよ、決してな。貴様は貴重な文明の一部なのだから」
文明の一部?どういうことだ?
言葉の意味が分からなかったが、この蛙人間を惹き付けることに注力した。
「そうか、それは残念だ。何せここら辺はさっきバーサーカーがバキバキと木をなぎ倒してた所でね、その中でもヒビが入った木もいくつかあるんだよ」
「ゲロ?言いたいことが分からな...!?」
蛙は自身が影に飲まれるがのを見た。影がバッテンとなり、自身に向かってくるのを見た。大木が四本、四方から倒れてきているのだ。
「さっきのお前の着地、凄い衝撃だったよなぁ、気を付けないと、下敷きだぜ?」
「ちっ、図ったな!?ゲロ!」
大きな木が蛙に倒れ込んだ。そしてその衝撃は俺にも襲いかかるため、蛙の下敷きになる覚悟で強く目をつむった。しかし、逆に手を離された。
「...なんつってな」
「なっ!?」
蛙人間は押さえている手を離し、両手で倒れる大木をもろともせずに支えた。
「アテが外れたな、木にのし掛かられた程度で潰れるとでも思ったか?浅い知恵だなぁ、ゲロ、蛙は大木程度で潰れんよ」
「手を伸ばして!スター☆トダッシュ!」
右手に杖を持ち、杖先を足に向けた。クラウチングスタートのような体勢で足に魔力を溜め込み、一気に放出すると同時に俺向かってダッシュした。カレンの後ろには星々が煌めいていた。
掛け声と同時に手を伸ばすと、その手をカレンが引っ張り、そのままの勢いで木の下をギリギリ潜り抜けた。
「ありがとうカレン、やっぱりなんとかしてくれると思ってた!」
「私の助け前提にするのやめてよね本当にもう!」
悪態をつくも、目しっかりと蛙人間を捉えたいた。当の蛙人間は大木をズシンと地面に落とし、カレンの方を見た。
「カー!油断したぜ、ゲロ、そういえば発信先は貴様のからだったなぁ、」
ズシン!
と、のし掛かられた大木を下ろす。蛙人間はギロリとこちらを見た。遮る木々が倒れたことで、蛙人間に月明かりが刺した。薄汚れた緑色の何かを纏っている。それが光を反射して光沢を作っていた。蛙のような目玉がその服にくっついているが恐らく服の飾りだろうか?
「そうか、こいつが回収係か」
「回収かかり?」
トウカを抱え、もう片方の杖を持つ手で冷や汗をぬぐうジニアが呟いた。それにトウカが聞き返す。
「あぁ、さっき話しただろう、転移者をさらっていると。こいつら各地の転移者を回収している実行者だ。私も見るのは始めてだが、噂は聞いていたよ。『スクミトライブ』だったか、その三人組の一人だ」
何だそのへんてこりんなグループ名...。スクミトライブ、すくみ、蛙...三竦み!?
頭の中で電流走る!
三竦み。「蛙」はナメクジを食らい、「ナメクジ」は蛇を溶かし、「蛇」は蛙を食らう。この三者は互いに一人に得意だが不得意で、そのせいで迂闊に動くことができず、故に争いがなく平和な状態の事である。
恐らくそれにちなんで蛙の格好を、ということは他にも二人、ナメクジとヘビがいるのかよ。
心配になり森の周りにも注意を巡らす。だがそれを見た蛙人間が諭した。
「あいつらはいねぇよ、ゲロだけだ。ま、この程度ならゲロ一匹で十分だがなぁ」
ニタニタと視線をジニアたちに向けた。
ジニアはそれに反応して杖の握りを強めたが、トウカに視線をやると、その無駄な力が抜けた。
「下らない挑発だな、そもそもお前の言葉を信用するとでも思ったか?」
「いいや違うんだよなぁ、ゲロ、あいつらがいたら
俺の巻き添えにしてしまうだろう?」
そういうと、表情が変わった。手が素早く印を組む。ジニアにはそれが何なのかが分かっていた!
「ヤバい!カレン飛べ!」
「分かってー」
「遅い!魔術忍法!我泥引吸!」
蛙人間が手を地面にやると、次の瞬間、地面が歪み、柔らかくなり、巨大な蛙の口の中になった。泥によって作られた巨大な蛙が、大木を、四人を、そして蛙人間自身をも飲み込んだ。
「気配を絶ったつもりだったのだがなぁ、いやはや、標的を一人取り損なってしまったぜ、ゲロリ」
不敵に蛙が口角を上げる。
だがこの展開は予想通りだった。嫌な予感を覚えていたから。その嫌な予感を覚えた上で「その場に待機」という立ち回りを取ったのだ。まぁ押さえつけられる痛みと謎の泥臭さ(青春的ニュアンスではなく単純に泥っぽい匂い)が苦痛ではあるが。
「おっといけねぇ、殺してはならぬ。生け捕りって言われてたな、ゲロリ」
ニヤリと蛙らしく舌を出し笑う。大きな蛙のような手足、そして地面を揺らすほどの跳躍力、明らかに体格差的にも相手の方が有利だ。しかし、
俺は強がるように笑みを浮かべ、苦し紛れに言ってやった。
「良いのかよ、そんなところにいて」
「ゲロ?」
「俺を捕まえてもろくなことがないぜ?肉も不味いかもな、何が狙いかは分からないが、今すぐ離した方がいい。」
「強がりが言えるのなら、まだまだ生き生きとしているという証拠だなぁゲロリ、離さぬよ、決してな。貴様は貴重な文明の一部なのだから」
文明の一部?どういうことだ?
言葉の意味が分からなかったが、この蛙人間を惹き付けることに注力した。
「そうか、それは残念だ。何せここら辺はさっきバーサーカーがバキバキと木をなぎ倒してた所でね、その中でもヒビが入った木もいくつかあるんだよ」
「ゲロ?言いたいことが分からな...!?」
蛙は自身が影に飲まれるがのを見た。影がバッテンとなり、自身に向かってくるのを見た。大木が四本、四方から倒れてきているのだ。
「さっきのお前の着地、凄い衝撃だったよなぁ、気を付けないと、下敷きだぜ?」
「ちっ、図ったな!?ゲロ!」
大きな木が蛙に倒れ込んだ。そしてその衝撃は俺にも襲いかかるため、蛙の下敷きになる覚悟で強く目をつむった。しかし、逆に手を離された。
「...なんつってな」
「なっ!?」
蛙人間は押さえている手を離し、両手で倒れる大木をもろともせずに支えた。
「アテが外れたな、木にのし掛かられた程度で潰れるとでも思ったか?浅い知恵だなぁ、ゲロ、蛙は大木程度で潰れんよ」
「手を伸ばして!スター☆トダッシュ!」
右手に杖を持ち、杖先を足に向けた。クラウチングスタートのような体勢で足に魔力を溜め込み、一気に放出すると同時に俺向かってダッシュした。カレンの後ろには星々が煌めいていた。
掛け声と同時に手を伸ばすと、その手をカレンが引っ張り、そのままの勢いで木の下をギリギリ潜り抜けた。
「ありがとうカレン、やっぱりなんとかしてくれると思ってた!」
「私の助け前提にするのやめてよね本当にもう!」
悪態をつくも、目しっかりと蛙人間を捉えたいた。当の蛙人間は大木をズシンと地面に落とし、カレンの方を見た。
「カー!油断したぜ、ゲロ、そういえば発信先は貴様のからだったなぁ、」
ズシン!
と、のし掛かられた大木を下ろす。蛙人間はギロリとこちらを見た。遮る木々が倒れたことで、蛙人間に月明かりが刺した。薄汚れた緑色の何かを纏っている。それが光を反射して光沢を作っていた。蛙のような目玉がその服にくっついているが恐らく服の飾りだろうか?
「そうか、こいつが回収係か」
「回収かかり?」
トウカを抱え、もう片方の杖を持つ手で冷や汗をぬぐうジニアが呟いた。それにトウカが聞き返す。
「あぁ、さっき話しただろう、転移者をさらっていると。こいつら各地の転移者を回収している実行者だ。私も見るのは始めてだが、噂は聞いていたよ。『スクミトライブ』だったか、その三人組の一人だ」
何だそのへんてこりんなグループ名...。スクミトライブ、すくみ、蛙...三竦み!?
頭の中で電流走る!
三竦み。「蛙」はナメクジを食らい、「ナメクジ」は蛇を溶かし、「蛇」は蛙を食らう。この三者は互いに一人に得意だが不得意で、そのせいで迂闊に動くことができず、故に争いがなく平和な状態の事である。
恐らくそれにちなんで蛙の格好を、ということは他にも二人、ナメクジとヘビがいるのかよ。
心配になり森の周りにも注意を巡らす。だがそれを見た蛙人間が諭した。
「あいつらはいねぇよ、ゲロだけだ。ま、この程度ならゲロ一匹で十分だがなぁ」
ニタニタと視線をジニアたちに向けた。
ジニアはそれに反応して杖の握りを強めたが、トウカに視線をやると、その無駄な力が抜けた。
「下らない挑発だな、そもそもお前の言葉を信用するとでも思ったか?」
「いいや違うんだよなぁ、ゲロ、あいつらがいたら
俺の巻き添えにしてしまうだろう?」
そういうと、表情が変わった。手が素早く印を組む。ジニアにはそれが何なのかが分かっていた!
「ヤバい!カレン飛べ!」
「分かってー」
「遅い!魔術忍法!我泥引吸!」
蛙人間が手を地面にやると、次の瞬間、地面が歪み、柔らかくなり、巨大な蛙の口の中になった。泥によって作られた巨大な蛙が、大木を、四人を、そして蛙人間自身をも飲み込んだ。
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