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聖アサド学園中等部に入学①

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俯いていた顔を上げたら、目の前に膝をついたルーカス君がいました。

「守ってやる」的なことを言われ、握りしめていた手を優しく包んでくれました。
これで''ドキッ"としない女の子はいないでしょう。

体が大きくて、一見、怖そうに見えるルーカス君ですが、男らしくて頼りになりそうです。









今日は聖アサド学園中等部の入学式。

今日は朝からお父様達もアサドニアに来てくれています。
どうやら聖ベスティ学園の入学式とは日程がかぶらなかったみたいで、両親に来てもらうことができました。

聖アサド学園の制服は紺色を基調としたブレザータイプの制服でした。
こちらも細かく採寸してもらい、サイズもぴったりです。

私の制服に合わせて、ルーヴの首輪も新調しました。濃いネイビーの首輪に綺麗なブルーの石が付いたもの。
私が首輪と石の色を選んだんですが、どうやらこの首輪にも色々と細工がしてありそうです。




ルーカス君家族と私の家族を乗せた馬車二台が学園へ向かいます。

馬車を降りる時、お父様のエスコートで降りようとしたら、ルーカス君が待ち構えていました。

ルーカス君の手を借りて馬車を降りると、''ザワッ''と学園の馬車停留所がざわつきました。
どうやら、ベスティニアから留学生が来るのは噂になっていたようで、その子見たさに待機していた方々がいたようです。

ルーカス君に手を引かれた私が馬車から降り、お父様達の後に続き歩いていると、ジロジロと、多方面からの視線を感じます。

ただ、どんな留学生なのかと興味があるだけの視線と、不躾な視線。
明らかに、私がルーカス君にエスコートしてもらっているのが気に食わないであろう方々もいるようです。

ルーカス君には、まだ正式な婚約者がいません。一応、婚約者になるだろうと噂される候補のご令嬢達はいるようですが、ある程度、王妃になる人の資格は考慮されるものの、ルーカス君は恋愛結婚ができるのです。
仮にルーカス君が恋に落ちたら、平民の女の子が王妃になるってこともありなのです。ただ、それは現実的な話ではないですけどね。とてもじゃないですけど、平民が王妃の立場に立つのは無理だと思います。どんなに優秀な子だとしてもです。

シンデレラストーリーは、王族に嫁ぐというのは、この世界で過去に例がないのです。
ものすごく優秀で特別な才能があって、すごく頑張ったとして、公爵家に嫁げるかどうか...。
平民が嫁げるとしたら、男爵家が現実的ですね。




「ルーカス様、そちらの方はどなたですの?」



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