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それぞれの側近④(レイモンド)
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ベスティニアから留学生がやってきた。
王の末息子の双子の娘の一人。王子であった父親は公爵家に婿入りしているから公爵家令嬢だが、獅子の特長を持っているから‘準王族’でお姫様になる。
さらに《白毛》で精霊の《愛し子》だと言われている子。
ベスティニアの王妃がアサドニアから嫁いでいるからか、その縁でこちらの国に留学してきたようだ。
留学の申し出に、アサドニアとしては大歓迎で迎え入れているという。
滞在先はお城のようで、ルーカス様直々にお世話をなさるようだ。
留学してくる子には、色々な噂がある。
その中には良くない噂もあって、もし、その噂が本当ならルーカス様には関わってほしくないと思っている。
ただ、アサドニアの王家がその子を迎え入れている以上、良くない噂の方は真実とは違うのだろう。
留学してくる子は双子だという。もしかしたら、良くない噂の方は双子の姉のことなのかもしれない。
中等部の入学式。
ルーカス様にエスコートされた留学生を遠目から見かけた。
我々側近への紹介は明日以降だと言われていたが、ルーカス様の様子を見るに、すでに留学生はルーカス様にとって大事な子になりつつあるのだと感じられた。
そんな二人の様子に厳しい視線を送る者達もいたが、早々にもう一人の統括でもあるアリシア様が留学生の庇護を示された。
そのことについて、我々側近の中でも感じることは違うようだが、ルーカス様とアリシア様が留学生を認めているのなら、我々も認められるような存在なのだと思った。
アサドニアに来て、早々にお二人のそばにいられる留学生に多少の嫉妬心はあるが、俺は自分の直感を信じている。
次の日、他の側近にせっつかれて、ルーカス様達が教室に入ってきたところで、こちらから声をかけに行った。
留学生の紹介をルーカス様にお願いする。
留学生は、〈ソフィア・ヴォルツ〉。
子犬のように見える狼を連れていた。〈ルーヴ〉という名で、契約精霊だという。
ルーカス様と留学生は契約精霊だと言っていたが、あれは、そんな者じゃないだろう。
俺が名を告げると、留学生も話してきた。
「よろしく」と頭を下げたのを見て、思わず頭を撫でてしまった。
たぶん、あの《白毛》に触れてみたかったのだ。
留学生を間近に見てから、胸がバクバクするのが止まらない。
これが、《白毛》を宝とする‘獣人’の気持ちなのか...。
目の前の子をすでに守りたくなっている自分がいる。
留学生の下げた頭が上がって、目が合った瞬間は、思わず微笑んでしまった。
すでに留学生を受け入れている自分がいるのがわかった。
まずは留学生の名を呼ぶ許可をもらうことから始めようか...。
王の末息子の双子の娘の一人。王子であった父親は公爵家に婿入りしているから公爵家令嬢だが、獅子の特長を持っているから‘準王族’でお姫様になる。
さらに《白毛》で精霊の《愛し子》だと言われている子。
ベスティニアの王妃がアサドニアから嫁いでいるからか、その縁でこちらの国に留学してきたようだ。
留学の申し出に、アサドニアとしては大歓迎で迎え入れているという。
滞在先はお城のようで、ルーカス様直々にお世話をなさるようだ。
留学してくる子には、色々な噂がある。
その中には良くない噂もあって、もし、その噂が本当ならルーカス様には関わってほしくないと思っている。
ただ、アサドニアの王家がその子を迎え入れている以上、良くない噂の方は真実とは違うのだろう。
留学してくる子は双子だという。もしかしたら、良くない噂の方は双子の姉のことなのかもしれない。
中等部の入学式。
ルーカス様にエスコートされた留学生を遠目から見かけた。
我々側近への紹介は明日以降だと言われていたが、ルーカス様の様子を見るに、すでに留学生はルーカス様にとって大事な子になりつつあるのだと感じられた。
そんな二人の様子に厳しい視線を送る者達もいたが、早々にもう一人の統括でもあるアリシア様が留学生の庇護を示された。
そのことについて、我々側近の中でも感じることは違うようだが、ルーカス様とアリシア様が留学生を認めているのなら、我々も認められるような存在なのだと思った。
アサドニアに来て、早々にお二人のそばにいられる留学生に多少の嫉妬心はあるが、俺は自分の直感を信じている。
次の日、他の側近にせっつかれて、ルーカス様達が教室に入ってきたところで、こちらから声をかけに行った。
留学生の紹介をルーカス様にお願いする。
留学生は、〈ソフィア・ヴォルツ〉。
子犬のように見える狼を連れていた。〈ルーヴ〉という名で、契約精霊だという。
ルーカス様と留学生は契約精霊だと言っていたが、あれは、そんな者じゃないだろう。
俺が名を告げると、留学生も話してきた。
「よろしく」と頭を下げたのを見て、思わず頭を撫でてしまった。
たぶん、あの《白毛》に触れてみたかったのだ。
留学生を間近に見てから、胸がバクバクするのが止まらない。
これが、《白毛》を宝とする‘獣人’の気持ちなのか...。
目の前の子をすでに守りたくなっている自分がいる。
留学生の下げた頭が上がって、目が合った瞬間は、思わず微笑んでしまった。
すでに留学生を受け入れている自分がいるのがわかった。
まずは留学生の名を呼ぶ許可をもらうことから始めようか...。
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