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希望
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ヒューゴとは気まずいまま、年が明けた。
年末年始はほとんどの使用人が居なくなる。
実家に帰省する人がほとんどだ。
ラインハルトは毎年、別荘に行って家族と仲良く過ごすらしい。
私は屋敷の居残り組の一人であるテイジーと仲良くなった。
テイジーは孤児院育ちでブロック公爵に就職するまで、親戚中をたらい回しにされたらしい。
優しい彼女は私がイジメに合っているのに心を傷めていたそうだ。
見てみぬ振りしかできず、苦しい思いをしていた。
「デイジー、大丈夫だって、あまり気にしないで」
「でも、手助けしなくてごめんなさい」
「手助けしたら、あなたまでイジメられちゃうわ」
ベネットさんのアドバイスで先日マリーに相談した。
彼女は「ホントに辛い思いをさせちゃってごめんなさいね。ラインハルト様に伝えておくわ」と言っていたので、少しばかり安心した。
「でも、ミアは強いわね。私ならとっくに逃げてる」
「私も逃げたいけど、行くアテはないし、借金もあるし」
だんだん、声のトーンが落ちていく。
自分で言ってて悲しくなってくる。
「ミア、私で良ければ愚痴言ってね」
テイジーの笑顔が眩しかった。
彼女に話だけで、だいぶ気が晴れた。
テイジーと食堂を出るとそれぞれ自分の仕事の持ち場に戻る。
私の仕事はほとんど危険、キツイ、汚いものばかりだ。
まずは、トイレ掃除をする。
臭いがキツイのでハンカチを広げ口と鼻を覆い、後頭部の後ろで括る。
ブラシでゴシゴシ擦ると飛び散るので、まずは洗剤を振りかけしばらく置いてから流し、残っている汚れだけ拭き取る。
屋敷、寮、厨房全てすると、今度はブロック公爵邸の周りにある土手の掃除に行く。
大きいシャベル片手に泥を掻き出す。
水を含んだ泥は重たく、屈んで力を入れて慎重にバケツに運ぶ。
定期的に掻き出さないと排水口がつまり汚水が溜まり、厨房に逆流してしまう。
一通り掻き出すと、私は重いバケツを持って次の仕事場に行った。
「ミア!」
後ろからラインハルトの声が聞こえた。
聞こえない振りをして、私はそのまま歩いた。
バケツを持つ手が痛い。
さっさと、次の仕事先である畑の肥料作りに向かわないと。
「俺が持つ」
ラインハルトは泥の入ったバケツを軽々と持ち上げた。
「ラインハルト様、私の仕事です。服も汚れますから」
こんなところ、他のメイドに見つかるとややこしくなる。
また仕事が増える。
「それより、何でこんな重労働をさせられてるんだ? ミアの仕事じゃなだろ?」
お前のせいだろ!?
「体を売る仕事じゃないなら構わないです」
私は皮肉たっぷりに嫌味を言う。
「それにシャティさんから、ラインハルト様に近づかないように言われてますので、話かけないで下さい」
私はバケツを諦め、速足で野菜がある畑の方へ向った。
「シャティが?! 確か、給料を取られたって」
「ええ、未だに貰ってません。マリー様にも伝えてますが、改善されてません」
ラインハルトを睨むと、彼はバケツを地面に置き私の手首を掴んだ。
「離して下さい!」
「俺の部屋に来てくれ。未払い分の給料払う」
私は「給料を払う」の言葉にピタっと大人しくなった。
「また何かしなきゃならないんですか?」
「信じないならいい。来ないなら、このまま給料無しだ」
私は迷ったが、ラインハルトについて行くことにした。
年末年始はほとんどの使用人が居なくなる。
実家に帰省する人がほとんどだ。
ラインハルトは毎年、別荘に行って家族と仲良く過ごすらしい。
私は屋敷の居残り組の一人であるテイジーと仲良くなった。
テイジーは孤児院育ちでブロック公爵に就職するまで、親戚中をたらい回しにされたらしい。
優しい彼女は私がイジメに合っているのに心を傷めていたそうだ。
見てみぬ振りしかできず、苦しい思いをしていた。
「デイジー、大丈夫だって、あまり気にしないで」
「でも、手助けしなくてごめんなさい」
「手助けしたら、あなたまでイジメられちゃうわ」
ベネットさんのアドバイスで先日マリーに相談した。
彼女は「ホントに辛い思いをさせちゃってごめんなさいね。ラインハルト様に伝えておくわ」と言っていたので、少しばかり安心した。
「でも、ミアは強いわね。私ならとっくに逃げてる」
「私も逃げたいけど、行くアテはないし、借金もあるし」
だんだん、声のトーンが落ちていく。
自分で言ってて悲しくなってくる。
「ミア、私で良ければ愚痴言ってね」
テイジーの笑顔が眩しかった。
彼女に話だけで、だいぶ気が晴れた。
テイジーと食堂を出るとそれぞれ自分の仕事の持ち場に戻る。
私の仕事はほとんど危険、キツイ、汚いものばかりだ。
まずは、トイレ掃除をする。
臭いがキツイのでハンカチを広げ口と鼻を覆い、後頭部の後ろで括る。
ブラシでゴシゴシ擦ると飛び散るので、まずは洗剤を振りかけしばらく置いてから流し、残っている汚れだけ拭き取る。
屋敷、寮、厨房全てすると、今度はブロック公爵邸の周りにある土手の掃除に行く。
大きいシャベル片手に泥を掻き出す。
水を含んだ泥は重たく、屈んで力を入れて慎重にバケツに運ぶ。
定期的に掻き出さないと排水口がつまり汚水が溜まり、厨房に逆流してしまう。
一通り掻き出すと、私は重いバケツを持って次の仕事場に行った。
「ミア!」
後ろからラインハルトの声が聞こえた。
聞こえない振りをして、私はそのまま歩いた。
バケツを持つ手が痛い。
さっさと、次の仕事先である畑の肥料作りに向かわないと。
「俺が持つ」
ラインハルトは泥の入ったバケツを軽々と持ち上げた。
「ラインハルト様、私の仕事です。服も汚れますから」
こんなところ、他のメイドに見つかるとややこしくなる。
また仕事が増える。
「それより、何でこんな重労働をさせられてるんだ? ミアの仕事じゃなだろ?」
お前のせいだろ!?
「体を売る仕事じゃないなら構わないです」
私は皮肉たっぷりに嫌味を言う。
「それにシャティさんから、ラインハルト様に近づかないように言われてますので、話かけないで下さい」
私はバケツを諦め、速足で野菜がある畑の方へ向った。
「シャティが?! 確か、給料を取られたって」
「ええ、未だに貰ってません。マリー様にも伝えてますが、改善されてません」
ラインハルトを睨むと、彼はバケツを地面に置き私の手首を掴んだ。
「離して下さい!」
「俺の部屋に来てくれ。未払い分の給料払う」
私は「給料を払う」の言葉にピタっと大人しくなった。
「また何かしなきゃならないんですか?」
「信じないならいい。来ないなら、このまま給料無しだ」
私は迷ったが、ラインハルトについて行くことにした。
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