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第十六話 ユート、怒る
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私とミストはユートの剣幕に驚いて、ポカーンと口を開けていた。
「な、なぜ嫌なのだ? ユートと私の関係は変わらないのだぞ? 今まで通り、報酬に宝石も渡そう」
「そう言う問題じゃないんだよ!!」
うぅ……。ユートに怒られてしまった。悲しい。
生意気なゴブリンたちに待ち伏せされ、一方的に殴られても嬉々として殴り返すほど気の強い私が、ユートに怒られて泣きそうになってしまった。
拳を握り締め、グッと涙をこらえていたら、ユートが慌て出した。
「ご、ごめんね。ちょっと言い過ぎた」
「うぅ……。ユートが怒った」
「だからごめんって」
ユートはこちらに近付いてきて、涙をこらえる私を椅子ごと抱き締めてくれた。
「本当にごめん。でも、アレルヤが結婚するなんて耐えられないよ」
「なぜだ?」
「なぜって……」
ユートは困ったように私から目を逸らすと、モジモジと身体を揺らした。物事をハッキリ言ってくれるユートが口ごもっている。珍しいな。などと思っていたら、ユートがブツブツと独り言を言い始めた。
「言ってもいいのかなぁ。でも俺、無職のパチンカスだし……。ハイスペのアレルヤとは違いすぎる。身分が違いすぎてミストさんに怒られそう」
「ミスト? なぜミストが出てくるのか分からんが、絶対怒らせないと約束しよう。――いいな? ミスト」
私がミストに確認すると、ミストはなにかを察したのか嫌そうな顔をした。
「いや、怒るかもしれません。――ユート様、立場をわきまえてください」
「ほら、怒ってるー」
「ミスト!!」
私がミストを嗜めると、少し不貞腐れたような表情をした後、口を閉ざした。
「ほら、ミストは黙ってくれたぞ? ユート。言いたいことがあるなら言ってくれ」
「じゃあ言うけど……」
ユートはなぜかほんのり頬を染めた後、信じられない言葉を口にした。
「お、俺……アレルヤのことが好きなんだよ。好きな人が結婚して、他の人のものになるなんて耐えられない」
「え……?」
「俺、無職でパチンカスでヤリチンな最低男だけど、これからは変わる。アレルヤに相応しい男になれるよう努力するよ。だから結婚なんかしないでよ、アレルヤ」
「!」
驚き過ぎて、私は呼吸が止まりそうになった。
ユートが私のことを好き。こんな私のことが好き。
そんなまさか……。
じわじわとユートの言葉が心に染み込んでくる。
嬉し過ぎて、視界がじんわりと歪んだ。
そんな私を見て、ユートがギョッとした。
「アレルヤ? なんで泣いてるの?」
「うわーん! ユートォォー!!」
私はユートに抱き付き、号泣した。
嬉しい。嬉し過ぎる!!
本当は、その言葉がずっと欲しかった。
住む世界が違うから、本当はみにくいからと自分を納得させていたが、そんなのはただの言い訳だ。
本当は、ユートが私のことなんか好きになってくれるわけがないから、気持ちを伝えることを恐れていたのだ。
それなのにユートは、こんな私を好きだと言ってくれた。こんな臆病な私を、好きだと言ってくれたのだ。
私はズビズビ鼻を啜りながら叫んだ。
「私もユートのことが好きだー!! 死ぬほど愛している!!」
私の言葉を聞いて、ユートは安心したように笑った。
「うん。知ってる」
知っているのか!? さすがはユートだな。私の気持ちなどお見通しなのか。
……い、いや。私の態度を見たら誰だって分かるか。まるで飼い主にブンブン尻尾を振る犬のようだからな。
「でも嬉しい。ありがとうね、アレルヤ」
そう言って私を、それはもう優しく抱き締めてくれた。私は嬉しさのあまり涙が止まらなかった。
そんな私たちを見ながら、ミストが呆れたようにつぶやいた。
「ついに両想いになってしまった……。これから大変だぞ」
※※※※
長い時間泣き続けた私の涙も、やっとおさまってきた。それを見て、ユートはポツポツと語り始めた。
なんでもユートは、ずっと前から私の気持ちに気付いていたらしい。だが、ユートは応えなかった。それはユートが無職のパチンカスだからだ。こんな適当な人間が、完璧な私の恋人になるなどおこがましい――と思ったそうなのだ。そんなことはない。ユートの方が完璧だ。私など、本当の姿はみにくいし、鈍感だし、大した男ではない。
だが、私が結婚すると聞いて、居ても立っても居られなくなったそうだ。
ダメ人間なら、変わればいいじゃないか! そう強く思って私に告白してくれたらしい。
「ありがとう、ユート。ユートはダメ人間なんかじゃない。素晴らしい人間だ」
「そうかなぁ。客観的に見て、ものすごくダメ人間だと思うよ?」
ユートの言葉に、ミストもうなずいた。
「私もそう思います」
私はミストをキッと睨み付けた。
「うるさいぞミスト! 黙れ!」
私たちのやり取りを見て、ユートは苦笑した。
「と、言うわけでさ。結婚やめて?」
「あぁ! もちろんだ! 結婚などしないぞ!」
私の言葉を聞いて、ミストはオロオロした。
「い、いや……。魔王様。結婚しなきゃダメですよ。イワルゴス様のことはどうなるのですか?」
「!」
そ、そうだった!
嬉しさのあまり、イワルゴスのことが頭から吹っ飛んでしまった。
でも、結婚はユートが嫌がるし。
どうしたらいいのだ!?
「な、なぜ嫌なのだ? ユートと私の関係は変わらないのだぞ? 今まで通り、報酬に宝石も渡そう」
「そう言う問題じゃないんだよ!!」
うぅ……。ユートに怒られてしまった。悲しい。
生意気なゴブリンたちに待ち伏せされ、一方的に殴られても嬉々として殴り返すほど気の強い私が、ユートに怒られて泣きそうになってしまった。
拳を握り締め、グッと涙をこらえていたら、ユートが慌て出した。
「ご、ごめんね。ちょっと言い過ぎた」
「うぅ……。ユートが怒った」
「だからごめんって」
ユートはこちらに近付いてきて、涙をこらえる私を椅子ごと抱き締めてくれた。
「本当にごめん。でも、アレルヤが結婚するなんて耐えられないよ」
「なぜだ?」
「なぜって……」
ユートは困ったように私から目を逸らすと、モジモジと身体を揺らした。物事をハッキリ言ってくれるユートが口ごもっている。珍しいな。などと思っていたら、ユートがブツブツと独り言を言い始めた。
「言ってもいいのかなぁ。でも俺、無職のパチンカスだし……。ハイスペのアレルヤとは違いすぎる。身分が違いすぎてミストさんに怒られそう」
「ミスト? なぜミストが出てくるのか分からんが、絶対怒らせないと約束しよう。――いいな? ミスト」
私がミストに確認すると、ミストはなにかを察したのか嫌そうな顔をした。
「いや、怒るかもしれません。――ユート様、立場をわきまえてください」
「ほら、怒ってるー」
「ミスト!!」
私がミストを嗜めると、少し不貞腐れたような表情をした後、口を閉ざした。
「ほら、ミストは黙ってくれたぞ? ユート。言いたいことがあるなら言ってくれ」
「じゃあ言うけど……」
ユートはなぜかほんのり頬を染めた後、信じられない言葉を口にした。
「お、俺……アレルヤのことが好きなんだよ。好きな人が結婚して、他の人のものになるなんて耐えられない」
「え……?」
「俺、無職でパチンカスでヤリチンな最低男だけど、これからは変わる。アレルヤに相応しい男になれるよう努力するよ。だから結婚なんかしないでよ、アレルヤ」
「!」
驚き過ぎて、私は呼吸が止まりそうになった。
ユートが私のことを好き。こんな私のことが好き。
そんなまさか……。
じわじわとユートの言葉が心に染み込んでくる。
嬉し過ぎて、視界がじんわりと歪んだ。
そんな私を見て、ユートがギョッとした。
「アレルヤ? なんで泣いてるの?」
「うわーん! ユートォォー!!」
私はユートに抱き付き、号泣した。
嬉しい。嬉し過ぎる!!
本当は、その言葉がずっと欲しかった。
住む世界が違うから、本当はみにくいからと自分を納得させていたが、そんなのはただの言い訳だ。
本当は、ユートが私のことなんか好きになってくれるわけがないから、気持ちを伝えることを恐れていたのだ。
それなのにユートは、こんな私を好きだと言ってくれた。こんな臆病な私を、好きだと言ってくれたのだ。
私はズビズビ鼻を啜りながら叫んだ。
「私もユートのことが好きだー!! 死ぬほど愛している!!」
私の言葉を聞いて、ユートは安心したように笑った。
「うん。知ってる」
知っているのか!? さすがはユートだな。私の気持ちなどお見通しなのか。
……い、いや。私の態度を見たら誰だって分かるか。まるで飼い主にブンブン尻尾を振る犬のようだからな。
「でも嬉しい。ありがとうね、アレルヤ」
そう言って私を、それはもう優しく抱き締めてくれた。私は嬉しさのあまり涙が止まらなかった。
そんな私たちを見ながら、ミストが呆れたようにつぶやいた。
「ついに両想いになってしまった……。これから大変だぞ」
※※※※
長い時間泣き続けた私の涙も、やっとおさまってきた。それを見て、ユートはポツポツと語り始めた。
なんでもユートは、ずっと前から私の気持ちに気付いていたらしい。だが、ユートは応えなかった。それはユートが無職のパチンカスだからだ。こんな適当な人間が、完璧な私の恋人になるなどおこがましい――と思ったそうなのだ。そんなことはない。ユートの方が完璧だ。私など、本当の姿はみにくいし、鈍感だし、大した男ではない。
だが、私が結婚すると聞いて、居ても立っても居られなくなったそうだ。
ダメ人間なら、変わればいいじゃないか! そう強く思って私に告白してくれたらしい。
「ありがとう、ユート。ユートはダメ人間なんかじゃない。素晴らしい人間だ」
「そうかなぁ。客観的に見て、ものすごくダメ人間だと思うよ?」
ユートの言葉に、ミストもうなずいた。
「私もそう思います」
私はミストをキッと睨み付けた。
「うるさいぞミスト! 黙れ!」
私たちのやり取りを見て、ユートは苦笑した。
「と、言うわけでさ。結婚やめて?」
「あぁ! もちろんだ! 結婚などしないぞ!」
私の言葉を聞いて、ミストはオロオロした。
「い、いや……。魔王様。結婚しなきゃダメですよ。イワルゴス様のことはどうなるのですか?」
「!」
そ、そうだった!
嬉しさのあまり、イワルゴスのことが頭から吹っ飛んでしまった。
でも、結婚はユートが嫌がるし。
どうしたらいいのだ!?
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