【完結】クールなイケメンに育った愛弟子は、なぜか俺にそっけない

チョロケロ

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第三話 セラピドとの出会い

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 セラピドと出会ったのは今から八年前だ。
 セラピドは十二歳。俺はまだピチピチの二十歳だった。
 
 その日俺は大きな街に買い物へ来ていて、スリにあった。財布をスられたのにはすぐ気が付いた。俺の財布をスッたのは、ボロボロの服を着た薄汚いガキだった。
 俺が『おいコラ。クソガキ』と声を掛けると、そのガキは走って逃げた。すぐに追いかけて行き止まりに追い込む。逃げ場がないことに気が付いたガキはこちらを振り返り、憎たらしい顔で睨み付けてきた。

「財布返せ。そうしたら見逃してやるよ」

 ガキはギリギリと歯を鳴らし「嫌だね!」と叫んだ。
 じゃあ、騎士団に引き渡すしかねーなぁ。でも、こんな小さなガキを牢屋に入れるのは可哀想だな、どうしようか? などと悩み、ぼりぼり頭を掻いていたら、突然ガキが両手を大きく広げた。
 なにをするんだ? と思いながらガキの行動を見守っていたら、ガキの頭上に拳大くらいの火の玉が出現した。火の玉は宙に浮かび、メラメラと燃えている。

「!?」

 これは……魔法だ。コイツ、詠唱も唱えずに魔法を……!
 驚く俺の目の前で、ガキは火の玉をこちらに投げつけた。拳大なので楽々避けられる。避けた隙を狙って、ガキが俺の横をすり抜けて逃げようとした。逃げられちゃいかんと思って、ガキの首根っこをパシッと掴んだ。
 ガキは「離せよー!」と言ってギャアギャア暴れている。離す気なんてねーよ。それより聞きたいことがある。

「ガキ。良い魔法使うなぁ。誰に教わった?」
「誰にも教わってねーよぉ! いつの間にか出来るようになってたんだよー!」
「!」

 なんと! 誰にも教わらずに自分の力だけで火の玉が出せるようになったのか! そいつはすげー才能だ!
 鍛えたら良い魔導士になるぞ。
 俺はワクワクした。自分より才能がある者を見ると、誰だってワクワクするだろう?
 コイツをこんなところで埋もれさせるのはもったいない。是非、俺の手で鍛えたいと思った。

「お前、親は?」
「親なんかいねーよ! 見りゃわかんだろ! オイラは浮浪児だ、クソジジイ!」

 そうか。親に捨てられてこの街でスリをしながら生きているのか。なかなか肝の据わった奴だ。ますます気に入った。

「じゃあ、俺と来い。俺がお前を一人前の魔導士にしてやる」
「ふさげんな! このロリコン! そんなこと言って家に連れ込んで、変なことする気だろ!」

 ふざけんな、このクソガキ。
 こんな痩せっぽっちのクソチビガキに欲情するわけねーだろ!
 だが、警戒心が強いのも好ましい。そういう性格も、魔導士に向いている。
 なんとかコイツを弟子にする方法はないか?

 少し悩んでひらめいた。

「じゃあ俺と勝負しろ。負けた方が勝った方の言うことを聞く。どうだ?」

 ガキは一瞬目をパチクリさせたあと、ニヤリと不適な笑みを浮かべた。

「おもしれーじゃん。じゃあ、オイラが勝ったらこの財布は貰うからな!」
「いいぞ。しかしえらい自信だな」
「へへっ。オイラ、火の玉だけじゃなく、氷の塊や岩の塊も作れるんだ。そんなオイラに勝負を挑むなんて、おっさんバカだなぁ!」

 なんと……! そんなことまで出来るのか!? コイツは天才だ! ますます欲しくなった。
 俺はガキの首根っこを離してやった。
 ガキは逃げずに、俺の真正面に立った。

「じゃあー! 行くぞおっさん!」

 ガキが無鉄砲にこちらに突進してきた。
 それを俺は、ニヤニヤ笑いながら迎え打ったのだった。

※※※※

 当たり前だが、俺の勝利だ。
 こうして俺は薄汚いガキを弟子として家に連れ帰った。

 そのガキこそ、セラピドなのだ。

 セラピドは俺に負けたあと、途端に大人しくなった。
 それから目を輝かせて、「オイラもおっさんみたいになりたい!」などと言い出したので笑ってしまった。
 どうやら俺のことを認めてくれたようだ。

 それから俺は、俺のもちいる全ての知識をセラピドに与えた。セラピドは水を得た魚のようにぐんぐん知識を吸収し、あっという間に俺と肩を並べるほどの魔導士へと成長した。
 成長するとともに、口調も立ち振る舞いも上品になっていった。昔はオイラとか言ってたくせに、いつの間にか『私』呼びになったんだぜ? 笑っちまうよなぁー!

 そんな感じで二人で仲良く暮らしていたのに、ある日セラピドは突然独り立ちしたいと言って家を出て行ってしまった。セラピドが十七歳のときだ。
 もうセラピドは一人前になったと思ったし、広い世界を見せてもいい頃だと思った。
 だから止めなかったのだが、まさかあの野郎……。あれから手紙一つ寄越さないとは。
 どうしているのか心配していたが、まさかこんなところで再会できるなんて。

 立派なイケメンに育ってて嬉しいぞ!
 そんなことを思いながら、俺は嫌そうな顔をしたセラピドの頭を、ワシワシ撫でてやったのだった。

 
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