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第七話 ペット自慢
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私は家を出ると、ゾンビラー様のお住まいに向かった。ダンジョンに潜むモンスターたちは、毎朝ゾンビラー様のお住まいに集合して朝の挨拶をするのだ。それから各自グループを作り、ダンジョン内をさまよって冒険者たちを追い払うというのがいつものルーティンだ。
私がゾンビラー様のお住まいに着いた頃には、すでに全てのモンスターが集結していた。どうやらゾンビラー様はまだお部屋から出てきていないようだ。
私は一応モンスターたちの上司なので、みんなの顔が見渡せる最前列に向かった。
すると、昨日一緒にダンジョンを徘徊したスライムのスラ次郎が私に気付いたようで、ぴょんぴょん飛び跳ねながらこちらに近付いてきた。
「スケルトン将軍ー。おはようございます! 昨日は大丈夫でしたか? あの変態冒険者はどうなったのです?」
変態冒険者とは、イーザスのことだ。
昨日イーザスは私にべったりくっついて離れなかったので、スラ次郎は家に帰ったあとも、私を心配していたのだろう。
「おぉ。スラ次郎、おはよう。心配してくれてありがとう。あの変態冒険者はな、今日から私のペットとなったぞ」
「え!? 意味が分からないんですけど!」
まぁ、確かにいきなりペットと言われても混乱するよな。
私は昨日、イーザスが家にまで着いてきたので仕方なく泊めたこと。それから料理を作らせたら結構美味いので、ペットとして飼ったことを説明した。
説明を聞き終わったスラ次郎は、えぇ……? と顔をしかめた。
「スケルトン将軍……。やめた方がいいですよ。アイツ、僕たちを襲おうとした変態ですよ?」
「大丈夫だ。これからやつの性欲は私が管理する。もうモンスターを襲うことはないだろう」
「そうですかぁ? それにしてもスケルトン将軍、物好きですねぇ」
「ははは。慣れると案外可愛いぞ? バカなところがたまらん」
そんな会話をしていたら、閉じていた部屋の扉がゆっくり開いた。
中から我らのボス、大毒蠍のゾンビラー様が登場した。
ゾンビラー様は全長十メートル程ある、巨大な蠍だ。今日のお姿も神々しい。私はピシッと背筋を伸ばし、スラ次郎との会話を中断した。
「みなの者。おはよう」
ゾンビラー様は地を這うような低い声で私たちに挨拶をした。
私たちは声を揃え、「おはようございます! ゾンビラー様!」と挨拶を返した。
「今日もダンジョンにやって来るバカ冒険者どもを懲らしめるのだ。みなの者、頑張るのだぞ」
「「はい!!」」
「では、スケルトン将軍。みなの者を代表して、なにかワシに連絡することはあるか?」
ゾンビラー様がこちらを見たので、私はフルフルと首を振った。
「いえ、特にありませ――」
「はいはーい! 僕はありまーす!」
私が言い終わる前に、スラ次郎がぴょんぴょん飛び跳ねて口を開いた。
ゾンビラー様がスラ次郎を見つめる。
「どうしたのだ? スラ次郎」
「あのね、あのね。スケルトン将軍、人間を飼い始めたらしいんです。でもその人間、変態なんです。だから僕、スケルトン将軍のことが心配で……」
途端に辺りがざわめいた。
「え!? もしかしてスケルトン将軍、昨日着いてきた変態を飼うことにしたのですか?」
「やめた方がいいですよ! エッチなことされちゃいますよ!」
次々に心配する声が上がり、私は苦笑した。
イーザスの存在を知らないゾンビラー様は、わけが分からないという表情をしている。
「スケルトン将軍。そのペットについて説明せい」
「はっ!」
私はイーザスとの出会いから、ペットになったいきさつまで全てを話した。
話を聞き終えたゾンビラー様は、わっはっはっと大きな声で笑い始めた。
「なんじゃその面白い人間は! モンスターに欲情するとは、まさしく変態じゃな!」
「おっしゃる通りです。でも、意外と人懐こくて可愛いのですよ? しかも、役に立つのです。今日も私の食事を作ってくれました」
私の言葉に、スラ次郎は反論した。
「あんなの可愛くないですよぉ。それに、スケルトン将軍にしか懐かないし」
「ふふ……。私にしか懐かないから可愛いのだ。スラ次郎も、ペットを飼ってみたら分かるぞ?」
私たちの会話を聞いていたゾンビラー様は、興味津々といった様子で目を輝かせた。
「ううむ。その人間、面白いのぉ! ワシも是非会ってみたい!」
「私の家にいますので、いつでも会えますよ」
「では今夜、仕事終わりに会いに行ってみるか!」
「かしこまりました。お待ちしております」
と、言うわけで今晩ゾンビラー様がうちに来ることになった。
イーザスはバカだけど、まぁ、大丈夫だろう。
一応ゾンビラー様の前で粗相をしないよう、帰ったらしつけをしておこう。
などと思いながら、私はご機嫌だった。
なぜなら誰かに自慢のペットを見てもらいたかったからだ。
ゾンビラー様も、イーザスを見たらきっと気に入るだろう。会わせるのが楽しみだ。
私は今晩のことを考えて、ワクワクと胸をときめかせたのであった。
私がゾンビラー様のお住まいに着いた頃には、すでに全てのモンスターが集結していた。どうやらゾンビラー様はまだお部屋から出てきていないようだ。
私は一応モンスターたちの上司なので、みんなの顔が見渡せる最前列に向かった。
すると、昨日一緒にダンジョンを徘徊したスライムのスラ次郎が私に気付いたようで、ぴょんぴょん飛び跳ねながらこちらに近付いてきた。
「スケルトン将軍ー。おはようございます! 昨日は大丈夫でしたか? あの変態冒険者はどうなったのです?」
変態冒険者とは、イーザスのことだ。
昨日イーザスは私にべったりくっついて離れなかったので、スラ次郎は家に帰ったあとも、私を心配していたのだろう。
「おぉ。スラ次郎、おはよう。心配してくれてありがとう。あの変態冒険者はな、今日から私のペットとなったぞ」
「え!? 意味が分からないんですけど!」
まぁ、確かにいきなりペットと言われても混乱するよな。
私は昨日、イーザスが家にまで着いてきたので仕方なく泊めたこと。それから料理を作らせたら結構美味いので、ペットとして飼ったことを説明した。
説明を聞き終わったスラ次郎は、えぇ……? と顔をしかめた。
「スケルトン将軍……。やめた方がいいですよ。アイツ、僕たちを襲おうとした変態ですよ?」
「大丈夫だ。これからやつの性欲は私が管理する。もうモンスターを襲うことはないだろう」
「そうですかぁ? それにしてもスケルトン将軍、物好きですねぇ」
「ははは。慣れると案外可愛いぞ? バカなところがたまらん」
そんな会話をしていたら、閉じていた部屋の扉がゆっくり開いた。
中から我らのボス、大毒蠍のゾンビラー様が登場した。
ゾンビラー様は全長十メートル程ある、巨大な蠍だ。今日のお姿も神々しい。私はピシッと背筋を伸ばし、スラ次郎との会話を中断した。
「みなの者。おはよう」
ゾンビラー様は地を這うような低い声で私たちに挨拶をした。
私たちは声を揃え、「おはようございます! ゾンビラー様!」と挨拶を返した。
「今日もダンジョンにやって来るバカ冒険者どもを懲らしめるのだ。みなの者、頑張るのだぞ」
「「はい!!」」
「では、スケルトン将軍。みなの者を代表して、なにかワシに連絡することはあるか?」
ゾンビラー様がこちらを見たので、私はフルフルと首を振った。
「いえ、特にありませ――」
「はいはーい! 僕はありまーす!」
私が言い終わる前に、スラ次郎がぴょんぴょん飛び跳ねて口を開いた。
ゾンビラー様がスラ次郎を見つめる。
「どうしたのだ? スラ次郎」
「あのね、あのね。スケルトン将軍、人間を飼い始めたらしいんです。でもその人間、変態なんです。だから僕、スケルトン将軍のことが心配で……」
途端に辺りがざわめいた。
「え!? もしかしてスケルトン将軍、昨日着いてきた変態を飼うことにしたのですか?」
「やめた方がいいですよ! エッチなことされちゃいますよ!」
次々に心配する声が上がり、私は苦笑した。
イーザスの存在を知らないゾンビラー様は、わけが分からないという表情をしている。
「スケルトン将軍。そのペットについて説明せい」
「はっ!」
私はイーザスとの出会いから、ペットになったいきさつまで全てを話した。
話を聞き終えたゾンビラー様は、わっはっはっと大きな声で笑い始めた。
「なんじゃその面白い人間は! モンスターに欲情するとは、まさしく変態じゃな!」
「おっしゃる通りです。でも、意外と人懐こくて可愛いのですよ? しかも、役に立つのです。今日も私の食事を作ってくれました」
私の言葉に、スラ次郎は反論した。
「あんなの可愛くないですよぉ。それに、スケルトン将軍にしか懐かないし」
「ふふ……。私にしか懐かないから可愛いのだ。スラ次郎も、ペットを飼ってみたら分かるぞ?」
私たちの会話を聞いていたゾンビラー様は、興味津々といった様子で目を輝かせた。
「ううむ。その人間、面白いのぉ! ワシも是非会ってみたい!」
「私の家にいますので、いつでも会えますよ」
「では今夜、仕事終わりに会いに行ってみるか!」
「かしこまりました。お待ちしております」
と、言うわけで今晩ゾンビラー様がうちに来ることになった。
イーザスはバカだけど、まぁ、大丈夫だろう。
一応ゾンビラー様の前で粗相をしないよう、帰ったらしつけをしておこう。
などと思いながら、私はご機嫌だった。
なぜなら誰かに自慢のペットを見てもらいたかったからだ。
ゾンビラー様も、イーザスを見たらきっと気に入るだろう。会わせるのが楽しみだ。
私は今晩のことを考えて、ワクワクと胸をときめかせたのであった。
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