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脱・引きこもり姫
乗馬練習開始!
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次の日、私はもう日課のように朝早く起きて、朝食を済ませ、レイアに用意してもらった乗馬専用服を着て、部屋から出る。
レイアはここの所更に忙しいのか、朝食や着替えを済ませたら申し訳無さそうにしてすぐに部屋を出て行く。
そんな中でキュロットなどを頼むのは何だか気が引けたが、彼女は逆に嬉しそうにして、朝イチに私に届けてくれた。ありがたい。
誰もいない部屋を見渡し、よし、と小さく声を出して部屋から出て行った。
いつもの庭園へのルートを歩いていき、早足に廊下を通る。
しかし、次の瞬間、角を曲がる時に誰かとぶつかってしまった。
「わっ!」
「──おっと、失礼。お怪我は?──おや?貴女は……」
「こちらこそすみません。あの──………え?」
目に映ったのは肩まである金髪の髪を緑のリボンで軽く結って、深い緑の瞳をした美青年……──それは紛れもないこの国の第三王子であり、攻略対象でもある、ルイズ・デ・セインティアその人だった。
「ふふっ、まさかこんな所で出会えるなんて。奇遇だね」
「あ、あ、あの、えっと、わ、わたし……!」
皇族と物理的に衝突してしまった恐怖感と、攻略対象に出会ってしまった絶望感が私の中を支配する。
そのせいか、声や体が小刻みに震えてしまい、挙動不審状態になってしまう。
「君、大丈夫かい?ほら、手。起き上がれる?」
「あ……は、はい。すみません。あ、あの、この非礼はなんとお詫びして良いのか……!」
「ふふ、大丈夫だよ。故意にやった訳では無いんだろう?これは事故だよ。気にしないで」
そう言ってルイズ様はニコリと笑う。何となく、ベルジーナ様に雰囲気が似ていると思った。
相手に気にしないでと言われたものの、皇族でもあり攻略対象でもある彼に何のお詫びもせずにいたら、いつの間にか私の首が飛んでいる。
私は首を振って、今度は出来るだけハッキリとした口調で喋った。
「そ、そんな…。私が気になるんです。何かしらのお詫びはさせて下さい…!」
「うーん、困ったなぁ。そんなに言うなら……あ、そうだ!」
彼はぽん、と手を叩くと私に笑顔を向けたまま言った。
「僕、前々から君と話してみたかったんだ。一応手紙も何枚か出したんだけど、丁重に断られていたから。でもあれ、君が書いたものじゃないでしょ?文字に君に対する恭しさが少し出ていたから。だから、今度は君の本音を聞かせて欲しい。無理にとは言わないから。今度の休日、僕とお茶してくれませんか?」
「え…あの…えっと……………は、い」
彼の恐ろしい推理力と観察力、そしてお茶に誘われた衝撃で、半ば無意識に返事をしてしまった。攻略対象恐るべし。
「ほんと?ふふっ、良かった。断られるかと思ったよ。じゃ、予定の空いてる日にちを手紙で送ってもらえる?僕もそれに合わせるから。それじゃあ、また今度」
「は、はい。また今度…」
私は操り人形のようにそのまま淑女の礼をして去って行く背中を見送った。
そのまま見えなくなると、私はへたりと廊下に座ってしまった。
「……──おーい、おーい?お前、聞いてんのか?おーい!エマ?──エマ!」
「え、あ、はい!」
「ったく、ずっとぼーっとしやがって。大丈夫か?気分でも悪いのか?」
私は今、馬小屋のカウンターテーブルに先生と一緒に座っていた。
その間、先程の事が衝撃的過ぎてずっとぼーっとしていたらしい。あんまり記憶も無い。
先生は心配そうに顔を覗き込む。こういう所は優しいなぁと思う。
「す、すみません…。あの、はい。大丈夫です。心配させてすみません」
「大丈夫ならいい。あとそんな謝んな。でも、乗馬中にそんなぼーっとしてたら、危ないから俺は叱るからな?」
「あ…はい。気を付けます」
私がこくりと頷くと彼はニッと歯を見せて笑った。
「よぉーし!なら練習に行くぞ!鞍はもう着けてある。後はお前が乗るだけだ!」
「は、はい!」
彼は私の手を引っ張ってエヴァの下へと連れ出した。
乗馬練習が始まり、私達は小屋の隣にある草原の広場に来ていた。
「じゃあ、まずは馬に乗る所からだな。手本を見せるから、まずは俺を見てろ」
「はい、分かりました」
先生は昨日と同じように華麗に馬に乗る。
足をあげて、エヴァに跨る姿はさながらおとぎ話の王子の様だった。
「ま、こんな感じだな。エヴァはそこら辺の馬よりもデカいから、慣れてないお前はまず足場を使いながらだな。ほら、やってみろ」
「は、はい。…よいしょっ…と」
後ろから先生に支えて貰いながらエヴァに跨る。視界が一気に地面から高くなる。
以前も先生と共にエヴァに乗ったが、すぐに急発進したため、それ程ゆっくりと周りを見渡すことが出来なかった。その為、今回が初めての体験である。
「どうだ?エヴァに一人で跨った気分は」
「…少し、怖いです」
「ははっ、そうか。ま、その内慣れていくだろ。俺という素晴らしい先生がいるんだからな」
そう言って先生は太陽の笑顔を私に向けた。相変わらずのイケメンと性格だ。顔面は目の保養になる。
「んじゃ、次はだな──」
私は彼の指示に従いながら、乗馬練習に励み続けた。
「ああっ~!つっかれた!」
「お疲れ様です。お嬢様」
乗馬練習を終え、早々に部屋に戻るとそのままベッドにダイブした。 今日は精神的にも体力的にも限界だったのだ。
レイアは珍しく部屋におり、ベッドにダイブした私を注意しつつも、労ってくれた。好き。
これは余談だが、私の部屋…というより、女王候補全員のベッドはキングサイズのベッドなので、ダイブのしがいがある。それにめっちゃふかふかだ。毎晩寝るのに苦労しない。
「お嬢様。本日もまたレジック様から課題のお手紙が届いておりますが、いかが致しますか」
「んん~…?断ってもらえる?」
「かしこまりました。では断りの文面を書きますね」
「うん……ふぁ~。眠……」
「いけませんよお嬢様。夕食は無理でもせめてお風呂にはお入り下さい」
「うんー…分かったよぉ…んん…」
「本当に分かっております?」
私はレイアに半自動的にお風呂に入らされ、そのまま綺麗にされて髪を魔道具で乾かし、そして再びベッドに寝かされた。流石レイア、やる事が秒だ。
「では、お嬢様。おやすみなさいませ。…良い夢を」
私はそのまま深い眠りについたのだった。
レイアはここの所更に忙しいのか、朝食や着替えを済ませたら申し訳無さそうにしてすぐに部屋を出て行く。
そんな中でキュロットなどを頼むのは何だか気が引けたが、彼女は逆に嬉しそうにして、朝イチに私に届けてくれた。ありがたい。
誰もいない部屋を見渡し、よし、と小さく声を出して部屋から出て行った。
いつもの庭園へのルートを歩いていき、早足に廊下を通る。
しかし、次の瞬間、角を曲がる時に誰かとぶつかってしまった。
「わっ!」
「──おっと、失礼。お怪我は?──おや?貴女は……」
「こちらこそすみません。あの──………え?」
目に映ったのは肩まである金髪の髪を緑のリボンで軽く結って、深い緑の瞳をした美青年……──それは紛れもないこの国の第三王子であり、攻略対象でもある、ルイズ・デ・セインティアその人だった。
「ふふっ、まさかこんな所で出会えるなんて。奇遇だね」
「あ、あ、あの、えっと、わ、わたし……!」
皇族と物理的に衝突してしまった恐怖感と、攻略対象に出会ってしまった絶望感が私の中を支配する。
そのせいか、声や体が小刻みに震えてしまい、挙動不審状態になってしまう。
「君、大丈夫かい?ほら、手。起き上がれる?」
「あ……は、はい。すみません。あ、あの、この非礼はなんとお詫びして良いのか……!」
「ふふ、大丈夫だよ。故意にやった訳では無いんだろう?これは事故だよ。気にしないで」
そう言ってルイズ様はニコリと笑う。何となく、ベルジーナ様に雰囲気が似ていると思った。
相手に気にしないでと言われたものの、皇族でもあり攻略対象でもある彼に何のお詫びもせずにいたら、いつの間にか私の首が飛んでいる。
私は首を振って、今度は出来るだけハッキリとした口調で喋った。
「そ、そんな…。私が気になるんです。何かしらのお詫びはさせて下さい…!」
「うーん、困ったなぁ。そんなに言うなら……あ、そうだ!」
彼はぽん、と手を叩くと私に笑顔を向けたまま言った。
「僕、前々から君と話してみたかったんだ。一応手紙も何枚か出したんだけど、丁重に断られていたから。でもあれ、君が書いたものじゃないでしょ?文字に君に対する恭しさが少し出ていたから。だから、今度は君の本音を聞かせて欲しい。無理にとは言わないから。今度の休日、僕とお茶してくれませんか?」
「え…あの…えっと……………は、い」
彼の恐ろしい推理力と観察力、そしてお茶に誘われた衝撃で、半ば無意識に返事をしてしまった。攻略対象恐るべし。
「ほんと?ふふっ、良かった。断られるかと思ったよ。じゃ、予定の空いてる日にちを手紙で送ってもらえる?僕もそれに合わせるから。それじゃあ、また今度」
「は、はい。また今度…」
私は操り人形のようにそのまま淑女の礼をして去って行く背中を見送った。
そのまま見えなくなると、私はへたりと廊下に座ってしまった。
「……──おーい、おーい?お前、聞いてんのか?おーい!エマ?──エマ!」
「え、あ、はい!」
「ったく、ずっとぼーっとしやがって。大丈夫か?気分でも悪いのか?」
私は今、馬小屋のカウンターテーブルに先生と一緒に座っていた。
その間、先程の事が衝撃的過ぎてずっとぼーっとしていたらしい。あんまり記憶も無い。
先生は心配そうに顔を覗き込む。こういう所は優しいなぁと思う。
「す、すみません…。あの、はい。大丈夫です。心配させてすみません」
「大丈夫ならいい。あとそんな謝んな。でも、乗馬中にそんなぼーっとしてたら、危ないから俺は叱るからな?」
「あ…はい。気を付けます」
私がこくりと頷くと彼はニッと歯を見せて笑った。
「よぉーし!なら練習に行くぞ!鞍はもう着けてある。後はお前が乗るだけだ!」
「は、はい!」
彼は私の手を引っ張ってエヴァの下へと連れ出した。
乗馬練習が始まり、私達は小屋の隣にある草原の広場に来ていた。
「じゃあ、まずは馬に乗る所からだな。手本を見せるから、まずは俺を見てろ」
「はい、分かりました」
先生は昨日と同じように華麗に馬に乗る。
足をあげて、エヴァに跨る姿はさながらおとぎ話の王子の様だった。
「ま、こんな感じだな。エヴァはそこら辺の馬よりもデカいから、慣れてないお前はまず足場を使いながらだな。ほら、やってみろ」
「は、はい。…よいしょっ…と」
後ろから先生に支えて貰いながらエヴァに跨る。視界が一気に地面から高くなる。
以前も先生と共にエヴァに乗ったが、すぐに急発進したため、それ程ゆっくりと周りを見渡すことが出来なかった。その為、今回が初めての体験である。
「どうだ?エヴァに一人で跨った気分は」
「…少し、怖いです」
「ははっ、そうか。ま、その内慣れていくだろ。俺という素晴らしい先生がいるんだからな」
そう言って先生は太陽の笑顔を私に向けた。相変わらずのイケメンと性格だ。顔面は目の保養になる。
「んじゃ、次はだな──」
私は彼の指示に従いながら、乗馬練習に励み続けた。
「ああっ~!つっかれた!」
「お疲れ様です。お嬢様」
乗馬練習を終え、早々に部屋に戻るとそのままベッドにダイブした。 今日は精神的にも体力的にも限界だったのだ。
レイアは珍しく部屋におり、ベッドにダイブした私を注意しつつも、労ってくれた。好き。
これは余談だが、私の部屋…というより、女王候補全員のベッドはキングサイズのベッドなので、ダイブのしがいがある。それにめっちゃふかふかだ。毎晩寝るのに苦労しない。
「お嬢様。本日もまたレジック様から課題のお手紙が届いておりますが、いかが致しますか」
「んん~…?断ってもらえる?」
「かしこまりました。では断りの文面を書きますね」
「うん……ふぁ~。眠……」
「いけませんよお嬢様。夕食は無理でもせめてお風呂にはお入り下さい」
「うんー…分かったよぉ…んん…」
「本当に分かっております?」
私はレイアに半自動的にお風呂に入らされ、そのまま綺麗にされて髪を魔道具で乾かし、そして再びベッドに寝かされた。流石レイア、やる事が秒だ。
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私はそのまま深い眠りについたのだった。
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