女王候補になりまして

くじら

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脱・引きこもり姫

幽霊退治⑤

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 幻覚の中に閉じ込められてしまった私とルイズ様はどう脱出するかを二人で模索していた。

「まさか、魔獣であるシーティアラが魔力を使わずに僕達を幻覚に閉じ込めるなんてね。魔力を使っていたらすぐに僕が認知するはずなのに」

「一体、どうやったらそのようなことが……」

「さぁ。それは分からない。でもきっと彼らにとって幻覚作用を施すことは僕達が特段考えずに行っている歩行や呼吸と同じように『出来てあたまり前』なのかもしれないね」

「そうじゃなきゃ、こんな過酷な自然環境に適応できないだろうし……」とルイズ様が言う。
 確かにルイズ様の仰る通りだ。シーティアラだって、魔獣だったとしても、生命が宿っている生き物だ。しかも小動物だから尚更防衛本能は強いだろう。

「………と、とにかく、今は脱出方法を考えましょう!それに、幻覚に掛かったのなら、シーティアラだって近くにいるかもしれませんし」

「そうだね。じゃあ、試しに僕を殺してみてよ」

「はい!…………………………え?」

 ルイズ様はにこにこ笑って何でもないことのように「ん?」と聞いてくる。

「いやいやいやいやいや!急に何を言い出すんですか!こ、殺すって……!」

「大丈夫、ここは幻覚であって現実じゃない。もし現実の身体に異常が起きても、君に害はないよ」

「ルイズ様に害が及びます!!」

 私は必死に引き止めた。
 この国の王子が生き残るか、侯爵家の令嬢が生き残るか。そう問われたら誰だってこの国の王子を選ぶだろう。

「ほ、他に!他に方法があると思うんです!きっとありますから!だから幻覚の中であっても死のうとしないでください!命をもっと大切に!!!」

「そう?じゃあ君が代わりに死んでみる?」

「え」

 そう言われて頭が真っ白になる。ルイズ様のこちらを見据える瞳からは何も感じない。
 途端に、ルイズ様がとても怖く見えた。

「…………………幻覚の中であっても、それは最終手段にしましょう。それ以外に方法が無いのなら私が自身の手で自害をします。…………ルイズ様の手は汚させません」

 私は真剣な瞳で、ルイズ様を見る。喉がゴクリと唾液を飲んだ。

 すると、ルイズ様はぷはっと唐突に笑った。

「ふふふっ、あはははっ!流石に冗談だよ。僕はそこまで非情じゃない。一体僕をなんだと思っているの?ふふふっ」

 ルイズ様の笑顔はいつもの紳士的な笑みよりも子供らしく、無邪気で可愛いと思ってしまった。
 そしてどことなく、いつの日か大声をあげて笑ったアルビー様と笑顔が似ていた。

「で、ですよね………良かったあ…………」

 ほっと一息吐くと、今一度どうするかを考えた。

「とりあえず、この世界とあちらの現実世界のを探してみない?」

「違い………ですか?」

「そう。例えば、今僕が持っているこの薔薇の花びらを見て」

 ルイズ様はそう言って、赤い薔薇の花びらを一枚持つ。

「僕は剣術も得意だけれど魔法も得意としていてね。この花弁をこの世界から無いものにすることもできるんだ」

 確かに原作でも彼は魔法を得意としていた。その方が彼の紳士で優美なイメージに合っていたし、彼自身も好きだった。

 私は魔法を使えないが、彼にとってものを消すことぐらい容易いのだろう。

 すると、ルイズ様が呪文のようなものを唱えて手のひらから淡い光を出す。その光が花びらを包み込んで………───

「きゃあ!」

 次の瞬間、ルイズ様の手のひらに電気の様なものが走って、ばちり、と音を出した。

 ルイズ様の手のひらを見ると、花びらは消滅することなく、まるで焦げたかのように黒く染まっていた。なんなら煙までも昇っている。

「これは………」

「やっぱりね。この世界ではどうやら魔法が使えないみたい。おそらく、シーティアラが魔力に強く反応するからだろうね」

「なるほど………これが現実世界とこちらの世界の違いですか………」

「違いは違いだけれど、おそらくこれだけじゃないだろうね。うーん……他にも探った方が良いかも。もし今の実験をしなかったら魔法を使ってビリビリになって死んじゃったかもしれないし。他にも危険になるものが無いか実験してみよう」

「…………そうですね」

 真面目な顔で末恐ろしいことを言うもんだからより怖さが増幅している。あの花びらみたいにはなりたくないと、想像して背筋が凍った。

 しばらく私たちはこれからどうしようかと模索していると、ずっと私に付いていたリシャーナ様から頂いた、光の魔球がふわふわと私の周りを浮遊し始めた。

『こ………───きこ………すか───!』

「え…………?」

 私はじーっと魔球を見つめる。
 魔球から何やら人の声がする。いやいや、そんなまさか。

『僕の声、聞こえてますか!?』

「わあ!」

 なんと、紫色の魔球からリシャーナ様の声が聞こえてきた。
 私は驚き、飛び退いてしまう。
 それを聞きつけたルイズ様は魔球に向かって「リシャーナ?こちらの声が聞こえる?」
 と冷静に答えた。

『!この声はルイズ兄様!無事で良かったです。エマ嬢もご無事で何よりです』

「「リシャーナ(様)!」」

 魔球から聞こえてきたリシャーナ様の声に私たちはほっと一息ついた。

『おいエマ!ルイズ!大丈夫か!?』

「アルビー様!?」

 すぐさま慌てた声音でアルビー様の声も聞こえてきた。

『くそっ、なんで声だけなんだ。リシャーナ、姿も見られるように出来ないのか?』

『姿をお見せしたいのは山々なんですが、魔法にも上限というものがあります。エマ様に授けた魔球では魔力が足りません』

「あ、あの!私たちは本当に大丈夫なので!どこも怪我はしてませんし、命に別状はないかと!」

「ああ、僕たちは大丈夫だ。そんなことよりリシャーナ、アルビー。そちらの世界から僕たちに干渉出来たってことは何か解決の目処があるんだね?」

 アルビー様は本題を促すように、その場を仕切った。流石、この三兄弟の中では一番歳上なだけはある。

『第三王子の命と女王候補の命をそんなことって………まあいいや。ええ、もちろんありますよ。解決の糸口が』

 そう言って、リシャーナ様は分かりやすく、淡々と説明をしていった。

『まず、 お二人がいる世界は現実世界と酷似していますが、全くの別物です。小さな変化はちらほらあるのですが、一つ、大きく異なるものがあります』

「魔素、だね」

『そうです。魔素です。現実世界にはそこら中に魔素が満たされており、自然界の重要な元素の一つですが、そちらの世界には魔素が全くありません。その理由はシーティアラが魔力に反応する生き物だからです』

「確かに、シーティアラにとって、幻覚の中は腹の中そのもの。自分の体の中に警戒の対象があれば、誰だって嫌だろうね」

 なるほど、と私は一人納得する。
 魔法や魔術に関してはリシャーナ様の方が知識は上かもしれないが、博識なルイズ様もシーティアラについてはかなり詳しいらしく、リシャーナ様に負けず劣らず、といった状態だった。

『なので、僕たちはそこを突きます。そちらの世界では魔法が一切使えない代わりに、外の世界からの魔法の干渉が弱く、結界が不十分です。僕たちが伝達出来ている、この魔球もその効果の一部です。現実世界で生み出された魔法はシーティアラには干渉できません。逆にシーティアラに取り込まれた幻覚世界では魔法は一切使えません。なので、そちらの魔球はシーティアラの中に入っても消えないのです。僕たちはこれを管轄外魔法と呼んでいます』

「ふむ……なるほど。続けて」

 私は頭がちんぷんかんぷんだが、ルイズ様は先を急ぐように真剣に話を聞いていた。
 そんな姿も惚れ惚れするほどかっこいい。

『シーティアラの中から脱出するには方法が二つあります。一つ目は僕たちの魔力をシーティアラの魔力に流し込むことで、魔力暴走を起こさせ、気絶させ、緩んだ幻覚の決壊を破壊すること。二つ目は魔力を持たない者がシーティアラの魔力を取り込み、魔法によって生み出された幻覚を魔力無しにすることで消滅させること。この二つです。ですが、僕としては一つ目の方はオススメ致しません』

「何故だい?」

『大幅に時間がかかるからです。シーティアラの魔力は膨大で、それを乱すにはそれを上回る魔力を必要とするからです。僕で半分魔力を満たすことはできると思いますが、もう半分を満たすには数百万人の魔力持ちの人間を呼び出さないと不可能です』

「ふむ………それは困るね。では二つ目の作戦にしよう」

『了解しました。では、エマ嬢。作戦の全ては貴女にかかっていますよ』

「あっ、はいわかりまし……………………………え?」

 急に私の名前が入ってきて、脳が一瞬で停止する。
 作戦の全ては私に掛かっている………?何を言っているんだあの王子は。

「リシャーナ。どうやら彼女は理解が追いついていないようだよ。彼女にも分かるようにゆっくり説明してあげてくれ」

 私に向かってクスッと笑うルイズ様。他人事のように思ってるんじゃないだろうな。

『はぁ……………わかりました。本当に大丈夫かなこの人………では、説明しますからゆっくり聞いて下さいね?エマ嬢』

「は、はあ……」

『貴女は魔力を持たない人間だと伺っております。貴女もご存知の通り、魔力を持たない人間はいくら魔力を取り込んでも絶対に魔力暴走は起こさないし、気絶もしません。魔力を保存する器そのものが無いからです。それは、魔力を取り込んで無にするという考えもできます。魔力無しの人間に魔力を取り込まれた場合、魔力は復活せずにそのまま消滅するからです。なので、唯一魔力無しの貴女を利用させて頂きます。勝手に利用されるのは癪かもしれませんが、王子を救出した英雄として立たせるのでご勘弁を。では、作戦を言います』

 信じられないくらい早口で言われたけれど、何とか理解は出来た。つまり私は唯一魔力をたくさん取り込んでも何も害のない人間だから、シーティアラの魔力を取り込み、シーティアラを魔力無しにすれば良いのね。

 そして、リシャーナ様の作戦はこう。

『まず、僕の魔球からエマ嬢に魔力を吸収するための魔道具を送ります。魔道具そのものに魔力は無いので、シーティアラによって消えたりしません。使い方は魔力無しのエマ嬢が、吸口をシーティアラに向けて、反対に搭載されているバッジをエマ嬢の胸元に付けて、あとは魔道具に付いているスイッチを押すだけです。今からの魔道具を送ります』

 すると、魔球からヌルッと楽器のラッパのようなものが出てきた。ベルのようなそれは中の空洞が少し広めになっている。ラッパでいう、マウスピースの方はマウスピースでは無く、紐に繋がれた王国のエンブレムのバッジだった。

「変な形……」

『何か言いましたか?』

「い、いえ!何も」

 ふふっと、頭上からルイズ様の笑い声が聞こえる。悪気があって言ったんじゃないんだってば。

『その魔道具は貴女の命も、ルイズ兄様の命も預かる大切な道具なんですからね。間違っても壊したりしないで下さいよ』

「こ、壊しませんよ!私を何だと思ってるんですか!」

『ルイズ兄様には申し訳ありませんが、シーティアラの引き付け役になって欲しいです。あくまでもここはシーティアラの住処のような所なので、絶対に近くにシーティアラはいます。魔球をルイズ兄様に渡すので、是非活用してください。シーティアラは幻覚を見せるだけなので殺傷能力はあまりないと思うのですが、危険を感じたらすぐさま逃げて下さいね。兄様の命が危ぶまれたら国家問題に発展しかねませんから』

「ああ、勿論わかってるよ」

 本当に分かってるのかなこの人……。
 先程、軽々と私に「殺してみて」と発言した人には見えなかった。

『そしてエマ嬢。貴女のそのバッジは貴女と一体化している状態です。そのバッジの紐からシーティアラの魔力が入ってきて、貴女の中に吸収されます。間違っても、吸収している間にそのバッジを外さないようにしてくださいね。僕たちが出来ることはここまでですが………早く帰還できることを祈っています』

「………もちろんです。必ず、ルイズ様と一緒に帰還します。なので、安心して待っていて下さい」

『……………安心できるかどうかは分かりませんが………そうですね。迷い込んだのが貴女で良かった。貴女ならどんな逆境にも泣き言を言いつつも乗り越えていけそうですね』

『……お、リシャーナが笑ってる。珍しいこともあるもんだな』

『………うるさいです。アルビー兄様』

 魔球越しに聞こえる会話に私はほっとする。大丈夫。きっとできる。

「それじゃ、エマ。そろそろ行こうか」

『あっ、ちょっと待てエマ!』

 ルイズ様の声に返事をしようとすると、魔球から慌てた声のアルビー様が話しかけてきた。

「はい?どうしましたか?アルビー様」

『エマ、お前を守ってやれなくてすまなかった。二人でお前らの周辺を見張っていたのに。本当に悔しい。俺の力不足だ』

「えっ、いやいやいや!アルビー様のせいじゃありませんよ。取り込まれてしまった側にも責任はあると思いますし、誰のせいでもありませんから」

「そうだよ、アルビー。それに謝罪するのはエマだけなのかい?」

『ルイズも本当にすまなかった!いつかこの借りは必ず返す。だから今だけ、エマを守っててくれ』

「今だけ……………ね。アルビー、いつからお前はそんなかっこ悪い男になったんだい?そんなんだったら僕がこの可愛くて面白いお姫様を奪ってしまおうかな」

 そう言うと、ルイズ様はするりと私の左手をとり、手の甲にちゅ、とキスを落とした。
 一瞬の行動に私は頭が真っ白になる。

「んなっ!」

「ふふっ」

『………なんだ?今の音は?おい待てルイズ!エマに変なことしてないよな!?おい!返事をしろ!』

 怒った声のアルビー様の反応に楽しそうな顔でルイズ様は言った。

「さあさあ、リシャーナ。早く伝達魔法を切っちゃって。お楽しみはこれからなんだから」

『はぁ…………ルイズ兄様……こういうのは困ります。特に一番あやすのが面倒なアルビー様をこんな状態にさせて僕に投げやりにしないで下さい』

『あやすのが面倒ってなんだよ!?』

『ちょ、アルビー兄様は黙っていて下さい!』

 プツリと、魔球から声がしなくなると同時にルイズ様はアハハッと声をあげて笑った。

「本当に、君もアルビーもリシャーナも面白いなぁ。顔、真っ赤にしちゃって。君は本当に女王候補なのかな?こういう教育もきちんと受けているはずなのだけれど」

「…………実戦経験はゼロに等しいですよ……」

「ふふふ、そうなんだ。とっても可愛らしくて良いと思うよ」

 顔を覗き込むルイズ様を無視して、私は歩き出した。

「さっさと行きますよ!ルイズ様!」

「ふふっ。ああ、もちろんさ」

 そうして私たちは幻覚の中でシーティアラを探し出した。


























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