神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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旅の始まり

目覚め

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 何かに呼ばれて目を覚めした。
 大木の側に座り寄りかかって眠っていたリーンは、ぼんやりと目を開ける。
 人が…こっちを…見ている…?
 近付いて…。
 大地からいばら⚫⚫⚫が飛び出して来て、守護するようにバリケードを作る。
 …そうだ『守護の実』を使ったんだ…。
「…。」
 人が、その場から少し離れると、いばら⚫⚫⚫は大地に少し戻っていき、直ぐにでも、再びバリケードを作れるよう身構えている。
 そして、人が少し離れた場所から話しかけてきた。
「警戒を解いて欲しい。あなたは白獣はくじゅうから馬車をまもった、協力者ではないのか?」
「…白獣はくじゅう…」
 そうだ、眠る前、子獣を拐われた白獣はくじゅうのシロが怒り狂っていて、人を移動させるのを手伝った事を思い出す。
 リーンが、いばら⚫⚫⚫に手を触れさせると、バリケードを作っていたいばら⚫⚫⚫は、大地に戻って行く。
「俺はルーク。街への移動中、君を見つけたから目覚めるまで待っていた。ここは危険だ」
 まだ少しぼんやりとする視界には、金髪の好青年が必死に訴え掛けている。
 その奥に、体格のいい赤髪の青年と、細身の白髪の青年が見え、夜営用のテントまで見える。
 …変な気配はしない。
 日が傾いているが、まだ明るいので、夕方になっているのだろうか?
 リーンは眠る前に置いた、大きめの木の実を手に取り元に戻す。
「…『守護の実』」
 ザザッと木が揺れ、木の実の中に入れてあったいろんなモノが戻っていく。
「なんだ。それは?魔具まぐみたいだが…」
 興味深々で、手元の『守護の実』を見てくる。
「…これは『守護の実』…魔具みたいなものだけど…これは…」
 寄りかかっていた木から立ち上がろうとして目眩をおこし、木に手をつき、被っていたフードが落ちて、さらりとした漆黒の髪が風に揺られる。
 回復していない…。
 なのに何故、目が覚めた…。
 …人が…いるから?…それとも…。
「大丈夫か?」
 ルークと名乗る青年が近付いて来る。
「ああ…」
 リーンは『守護の実』をポーチにしまう。
 これは大切なモノだから無くしたくない。
「こっちに来て食事をしないか?ずっと眠っていてお腹が空いているのかも…。少し食べれば落ち着くと思うぞ」
 そう言って手を差しのべてきた。
 リーンは戸惑いながらその手を取ると、一気に魔力が流れ込んできて、思わず手を離してしまう。
 なんだ?今の…。
 ルークを見上げると、どうしたんだ。と、ばかりに驚いている。
「…すまない。少し驚いて…」
「?」
 ルークは不思議そうにこちらを見る。
「魔力が急に流れて来たから…」
「…俺、魔法は使えないぜ。魔力なんて…」
 魔法が使えない?
 これだけの保有魔力の量が有るのに?
「制御出来てないのか?」
 無意識に触れるだけで、魔力が流れ込んでくるなんて初めてだ。
 ルークは目を見開いて、離れた手を握り返してきた。
「俺に魔力が有るのか?!」
 何を言っている?
 それより、魔力の流が強すぎる!
「…手を離してくれ。…今の私には受け止めきれない…」
「す、すまない…」
 慌ててルークは手を離す。
「ジェス、ガーディ。ちょっと来い」
「どうしたんです?」
 少し離れた所にいた二人が近付いて来る。
「一人ずつ順番に彼の手をつかんでくれ」
 二人は驚いて顔を見合せる。
「触れなくて良いから、…何が知りたい?」
 リーンはルークに問う。
「俺は本当に魔力を持っているのか?」
 二人はルークの顔を見る。
 魔力が有ることを知らない?
 二人の様子からして、回りも気付いていない?
「ルーク様…」
 …本当に知らないのだ。
「魔力はある。ただ、魔法が使えないのなら、使い方を知らないか、使えないように魔法を掛けられているか、変換されて別の場所に流れているか、だと、思うけど…」
「…。」
 三人は不思議そうに顔を見合せる。
「俺達と一緒に来てくれないか」
 ルークが真剣な表情で言ってくる。
「身体が回復していないのなら、それまでの間だけでもいい。衣食住は保証する。俺達の知らない魔法を教えてくれ!」
「…。」
 あまり、人族とはかかわり合ってはいけない。
 かといって、置いて行かれても、ここでは回復に時間がかかってしまう。
「ソコは、森のように木々の有る所なのか?」
 それが回復の第一条件。
「思いっきり山の中にだぜ。」
「街が見下ろせる山の中腹に有る。時々、野生の動物も現れるぜ…」
 そう言って彼らは笑う。
 通常の魔力量に戻るまでは…普通でも三日はかかる。
「だったら、しばらくお世話になります。…でも、あなた達の知らない魔法と、言っても…」 
 特に変わったことをしているわけではない。
「さっきの木の実。初めて見た」
「俺も初めてだ」
 彼らは興奮気味に話しだす。
「カズキでも、木の屋根を作るくらいだぜ」
「それより、食事しませんか?作っててお腹空いて…」
 ガーディが口を挟む。
「そうだな」
 ルークが笑い、ガーディが食事を準備するためにテントへ向かって歩きだす。
 そういえば、眠っていたから、お腹が空いている。
 今度はゆっくりと立ち上がり、側に来た白髪のジェスが肩を貸してくれ、身体を支えて歩きだした。
「そう言えば、名前は?」
 隣を歩くルークが興味深々に顔をのぞき込んでくる。
「私の名はリーン」
 覗き込んでくるルークの青い瞳に吸い込まれそうになり、視線を外す。
 なんだろう…これは…。
 何か意味があるのだろうか…。
 今まで経験したことの無い予感に、不安を募らせた。
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