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天水球

獣人のキリト 2 ***

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 不意にガサリと音がして振り返ると、ルークが茫然ぼうぜんとそこに立っていた。
 顔を背け、火照った身体が震え出した。
「…見ないで…」 
 リーンは震える声をしぼりだし、狼狽うろたえて身体を縮込ませ、それに気付いたキリトはリーンを抱き締めた。
「あんたに、見られたくないそうだ!あっちへ行け!」
 キリトに睨まれ、ルークはふらふらと背を向け、その場を離れていった。
 見られた…。
 こんな姿を…見られたくなかったのに…。
 リーンの目から涙があふれてきた。
 見られる羞恥心はあっても…悲しくて…苦しくて…どうしようもない…そんな感情は知らない…。
えちまったな…」
 キリトがリーンの涙を拭い、リーンのモノをこすりながら、背中に口付ける。
「もう少し付き合え…」
 キリトはそう言って、動き出した。


 キリトは嬉さと苛立ちを抱えていた。
 久しぶりにリーンに会えて、腕の中に抱くことが出来て嬉しかった。
 はぐれ獣人だったキリトは、リーンに拾われ、獣人の町グオルクのヒイロの元にいる。
 (*神の宿り木~旅の途中~ジン~の、はぐれ獣人)
 ヒイロはリーンの家族のようなもので、行き場の無かった俺を雇ってくれた。
 今回はそのヒイロが、『リーンが無茶をしているから様子を見てこい』と、『動けないようなら連れて帰って来い』と、指示を受けての事だった。
 魔力が枯渇こかつしているリーンと『魔力の交合こうごう』をして、愛しさを堪能していると、夢中になっていて、人が近くに来るまで気付かなかった。
「…見ないで…」
 リーンは震える声を縛りだし、狼狽うろたえて身体を縮込ませていた。
 そんなリーンは珍しかった。
 『魔力の交合』は、治療だと、恥ずかしがっていても、こんな風に狼狽える事はなかった。
 キリトはリーンを抱き締め、その人族を睨み付けた。
「あんたに、見られたくないそうだ!あっちへ行け!」
 人族は、ふらふらと背を向け、その場を離れていった。
 こちらから姿は見えないが、まだ、近くにいる…。
 見ればリーンは涙を流していた。
 本当に、こんな事は珍しいのだ。
 リーンを感情のままに泣かせる人族に、苛立ちを覚えた。
「萎えちまったな…」
 キリトはリーンの涙を拭い、リーンのモノを擦りながら、震える背中に口付ける。
 暖めてやるから…。
「もう少し付き合え…」
 気持ち良くなって…忘れてしまえ!
 キリトはそう言って、ゆるゆると動き出した。

 リーンを包み込むように…ゆっくりと熱を上げさせ、理性と本能で揺れるリーンを突き上げた。
「ああぁん…あっ…あっ…」 
 リーンは止まらない涙と、火照る身体を満たして欲しいのと、そんな狭間で苦しんでいるようだった。
「んっっ…ああぁ…!」
 リーンが完全に意識を飛ばして、ぐったりとキリトの腕の中に倒れ込んできた。
「…。」
 涙で濡れた顔を拭い、目元に口付けする。
「…やっぱり、…俺では…ダメなのか…?」
 キリトはリーンの身体をそっと抱き締めた。 


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