神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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蜜月

調査

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 リーンは久しぶりに、もう一つの家族。
 獣人の町グオルクにいる、ヒイロとチイを訪ねていった。
 ヒイロは昔からの友人であり、兄のような存在だ。
 困った時は助けてくれるし、良き相談相手でもある。
 そして、聖域と呼ばれる魔素の多いエリアに入れる、数少ない獣人の一人でもあった。
 チイはヒイロのつがいで、獣人でも数少ない女性体だ。
 リーンがジーンとユーリを産んだ同じ頃、ヒイロとの子供をチイも出産していた。
 だから、本当は心配掛けたくないのだけれど…。


「ヒイロ。どうだった?」
「リーンの思った通りだ」
 以前からヒイロに頼んでいた、調査の途中経過を聞きに来たのだ。
 ヒイロと、彼の仲間たちは、難しい顔をして、部屋に入ってきたリーンを見る。
「この一帯は、まだ、聖域に近いからそれほど影響はない。少し離れた、カザンナ王国と、ギザ王国の奥だと思う」
「…やはりそうなのか…」
 以前から気になっていた、地下水の低下の件だ。
 『魔女の森』では、ソフィアが予測能力を持っているため、かなり前から水槽を作って対策は施している。
 カザンナ王国の外れの『虹の森』では、水の流れが急に遅くなり、今までの半分くらいしか、川の水が流れなくなった。
 ギザ王国の『閉じた森』では、立ち枯れが止まらない。
 各地でまだ、生活には影響は無いが、確実に何かが起こっていた。
 調べていくうちに、全てが繋がり、水の影響…地下水の変化が、問題視されていた。
 だが、地中の中の事を調べるのは簡単ではない。
 大地に特化した者を各地で集め、自分達の領域調査に乗り出したのは、二年ほど前からだ。
 そう、ジーンとユーリの誕生日を迎えた後、グオルクまで急いで戻り、現状を説明して、調査隊を編成して、動いてもらったのだ。
 獣人の町グオルクを中心に、各地の獣人達をまとめたのはヒイロだ。
 広大な獣人の領域を調べるのに、二年の歳月が、掛かってしまった。
 それでもまだ、終わっていない。
 だが調べて行くうちに、どの辺が中心となっているのかを、導きだしていた。
 カザンナ王国と、ギザ王国の奥。
 それが、答えだった。
 ソコは、獣人の領域からも外れ、人族のカザンナ王国でも、ギザ王国でもない、誰も行ったことの無い地域。
 遥か彼方に見えるが、誰も足を踏み入れていない場所。
 古くから有るこの町グオルクにでさえ、記述が無い。
 何処かに有るのかもしれないが、探している時間は無い。
 未知の領域。
 ヒイロはため息をついた。
「行くしかないか…」
「そうだね。多分、あの奥で何かが起こっている。それを突き止めないと、何十年後かに、ここまで侵食される…」
「しばらく帰れないぞ」
 ヒイロは真剣な眼差しで、リーンを見る。
「うん。分かってる…」
「一回で見つかるとは思っていない。長期戦だ」
 リーンも頷く。
「ある程度の距離を持って小屋を作り、『転移魔法』を張り付ける。何かあった時の避難所も兼ねてだ」
「その辺は、僕たちに任せて」
 部屋の中にいた、羽を持つ有翼族ゆうよくぞくの金髪の少年が微笑む。
 『転移魔法』が得意と言っていた、上位魔法を使う者だ。
「出発は一ヶ月後の満月。各々、準備して、ここへ集合だ」
 ヒイロが号令を掛け、頷く。
「近隣の住民に、異変があったらすぐに伝えるよう、連絡もよろしく」
「ああ」
 ヒイロは複雑そうな顔で、リーンを見る。
「…チビどもの所に帰ってやれ。…しばらく会えなくなる」
「うん…」
 リーンは苦笑いして、部屋を出た。


 獣人の町グオルクのリーンの部屋に、封じてある大きな魔方陣が壁に有る。
 リーンはそれに手を触れさせ、封印を解く。
「カザンナ王国のカザナの小屋へ」
 そして、その場からリーンの姿は消えた。




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