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蜜月
子獣のルナ
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リーンと一緒にチイに呼ばれた部屋に行くと、足元に豹の子獣が転がり込んできた。
獣体の姿で、両手で抱えられるくらいの、綺麗な金茶色の毛並みの豹の子供だった。
「ルナ」
リーンが呼ぶと、リーンの腕のなかに飛び乗り、首もとにゴロゴロと顔を擦り付ける。
可愛い…。
リーンも、ニコニコと頭を撫でてあげている。
「子獣は初めて見る。産まれたから時から、この姿なのか?」
ルークは気になることを質問した。
「ええ、そうよ。時々獣人化するけど、この姿の方が楽みたい。魔力が安定してくれば、獣人の姿を保てるわ」
チイがキッチンの方から返事をする。
「でもそれは、魔力が強いから」
リーンがルナを抱えたまま、ソファーに座り追加で話す。
「通常は獣人の姿で産まれて来る。そして、獣化出来ない。でも、魔力が強いと、獣化できてしまう」
ルークもリーンの横に座り、気持ち良さそうに撫でられるルナを見ていた。
チイが、テーブルに飲み物を持ってきてくれた。
「ルナは獣化したまま産まれたの…そして、目を開けて、獣人化したのよ」
無意識に変化したと言うことか…。
「…。」
途方もない話しに、付いていけなくなりそうだ。
チイは、苦笑いして別のソファーに座り、
「ルナ」
と、呼ぶとリーンの腕から抜け出たルナがチイの腕のなかに潜り込み、獣人の姿に変わる。
チイによく似たフワフワの金髪の白い肌の子獣人が、チイの腕の中で、こちらをじっと見てくる。
「それも女性体。私の家系は、女性体の家系なのかも知れないわ…」
チイがソファーに置いてあったルナの服を着せ始める。
「そうだ、希少だと聞いている」
ルークは獣人族の知識を総動員して思い出していた。
詳しくわ知らないが、数十人ほどしか女性体はいないと書いてあった。
「そうなの…それも一族の長主に当たる。だから少し不安なのよね…」
獣人族にも、何か掟のようなモノがあるのかもしれない。
一族と言うことは、何か家系が関係してくるのか…。
「そこはヒイロが何とかするよ。…所でヒイロは?」
リーンは辺りを見回して、気配を探す。
「…仕事に行っているわ」
「ええっ!長期調査の為に、休暇をって言ったのヒイロだよ!」
チイは苦笑いして答える。
「…その為の引き継ぎ、終わらないの…。あの人どれだけ仕事を抱え込んでいたのか…」
「…。」
ルークも人の事は言えない…と、内心思いながら、二人の話を聞いていた。
時間も無いことだしと、チイに別れを告げて、ルークはリーンと一緒に、グオルクの町に出掛ける事になった。
チイが、夕食を準備してくれるので、それまでにヒイロを連れて帰ることを約束して…。
外に出ると、リーンとチイのいた家は、少し郊外の静かな場所だった。
家はレンガ作りが多く見られ、一軒一軒が広く、大きな庭が付いていた。
…子獣達が獣化して、少し走り回れるだけの広さが有るためだろう。
二人はのんびりと、町の中心に向かって歩き出した。
狼の耳、豹の耳…ここではそれが普通で、カザナのお屋敷のいる獣人みたいに耳を隠さないで、歩いている。
すれ違う町行く人…獣人は二人をチラチラと見ながら通りすぎていく。
「…見られてるけど」
「気になる?」
「まあな…」
見知らぬ獣人達にジロジロ見られるのは、居心地が悪い。
リーンは苦笑いする。
「ここでは、人族は少ないからね。物珍しいんだよ。…気になるなら、帽子かフードを被ればいいけど…」
「リーンは?」
ここに、住んでいたリーンは気にならないのだろうか。
「…慣れて気にしない」
「それなら俺も気にしないようにする」
ルークがそう言うと、嬉しそうにリーンが笑う。
何が嬉しいのか分からないが、それも気にしないことにした。
獣体の姿で、両手で抱えられるくらいの、綺麗な金茶色の毛並みの豹の子供だった。
「ルナ」
リーンが呼ぶと、リーンの腕のなかに飛び乗り、首もとにゴロゴロと顔を擦り付ける。
可愛い…。
リーンも、ニコニコと頭を撫でてあげている。
「子獣は初めて見る。産まれたから時から、この姿なのか?」
ルークは気になることを質問した。
「ええ、そうよ。時々獣人化するけど、この姿の方が楽みたい。魔力が安定してくれば、獣人の姿を保てるわ」
チイがキッチンの方から返事をする。
「でもそれは、魔力が強いから」
リーンがルナを抱えたまま、ソファーに座り追加で話す。
「通常は獣人の姿で産まれて来る。そして、獣化出来ない。でも、魔力が強いと、獣化できてしまう」
ルークもリーンの横に座り、気持ち良さそうに撫でられるルナを見ていた。
チイが、テーブルに飲み物を持ってきてくれた。
「ルナは獣化したまま産まれたの…そして、目を開けて、獣人化したのよ」
無意識に変化したと言うことか…。
「…。」
途方もない話しに、付いていけなくなりそうだ。
チイは、苦笑いして別のソファーに座り、
「ルナ」
と、呼ぶとリーンの腕から抜け出たルナがチイの腕のなかに潜り込み、獣人の姿に変わる。
チイによく似たフワフワの金髪の白い肌の子獣人が、チイの腕の中で、こちらをじっと見てくる。
「それも女性体。私の家系は、女性体の家系なのかも知れないわ…」
チイがソファーに置いてあったルナの服を着せ始める。
「そうだ、希少だと聞いている」
ルークは獣人族の知識を総動員して思い出していた。
詳しくわ知らないが、数十人ほどしか女性体はいないと書いてあった。
「そうなの…それも一族の長主に当たる。だから少し不安なのよね…」
獣人族にも、何か掟のようなモノがあるのかもしれない。
一族と言うことは、何か家系が関係してくるのか…。
「そこはヒイロが何とかするよ。…所でヒイロは?」
リーンは辺りを見回して、気配を探す。
「…仕事に行っているわ」
「ええっ!長期調査の為に、休暇をって言ったのヒイロだよ!」
チイは苦笑いして答える。
「…その為の引き継ぎ、終わらないの…。あの人どれだけ仕事を抱え込んでいたのか…」
「…。」
ルークも人の事は言えない…と、内心思いながら、二人の話を聞いていた。
時間も無いことだしと、チイに別れを告げて、ルークはリーンと一緒に、グオルクの町に出掛ける事になった。
チイが、夕食を準備してくれるので、それまでにヒイロを連れて帰ることを約束して…。
外に出ると、リーンとチイのいた家は、少し郊外の静かな場所だった。
家はレンガ作りが多く見られ、一軒一軒が広く、大きな庭が付いていた。
…子獣達が獣化して、少し走り回れるだけの広さが有るためだろう。
二人はのんびりと、町の中心に向かって歩き出した。
狼の耳、豹の耳…ここではそれが普通で、カザナのお屋敷のいる獣人みたいに耳を隠さないで、歩いている。
すれ違う町行く人…獣人は二人をチラチラと見ながら通りすぎていく。
「…見られてるけど」
「気になる?」
「まあな…」
見知らぬ獣人達にジロジロ見られるのは、居心地が悪い。
リーンは苦笑いする。
「ここでは、人族は少ないからね。物珍しいんだよ。…気になるなら、帽子かフードを被ればいいけど…」
「リーンは?」
ここに、住んでいたリーンは気にならないのだろうか。
「…慣れて気にしない」
「それなら俺も気にしないようにする」
ルークがそう言うと、嬉しそうにリーンが笑う。
何が嬉しいのか分からないが、それも気にしないことにした。
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